医療機関におけるがん診療の質を評価する指標の開発とその計測システムの確立に関する研究

文献情報

文献番号
201020025A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関におけるがん診療の質を評価する指標の開発とその計測システムの確立に関する研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
祖父江 友孝(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん統計研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 島田安博(国立がん研究センター中央病院)
  • 杉原健一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 浅村尚生(国立がん研究センター中央病院)
  • 向井博文(国立がん研究センター東病院)
  • 國土典宏(東京大学・医学部附属病院)
  • 東 尚弘(東京大学医学系研究科公共健康医学専攻健康医療政策学)
  • 目片英治(滋賀医科大学、消化器外科)
  • 大谷幹伸(茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンタ-)
  • 東出俊一(市立長浜病院 外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
16,018,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん対策基本法に定めるがん医療の均てん化の進捗管理には、がん医療の質を評価することェ重要でありそのために臨床的に意義のある指標が必要である。本研究では、5大がん(乳・胃・肺・大腸・肝)について、標準診療の普及度合いから、がん医療の評価をする「診療の質指標」(QI: Quality Indicator)を開発しAパイ鴻bト測定を行ってきた。本研究においては、パイロット測定を元に、再び専門家パネルを招集して、QIの実際の測定における優先度を決定し、広い範囲の病院で測定できるようなシステムを作る基礎とすることを目的とする。
研究方法
昨年度に引き続き、3施設において、乳癌、肺癌、肝癌について院内がん登録実務者による採録検討、及び、並行して胃・大腸・乳腺、肝、肺の順に、QI開発を担当した専門家パネルを招集し、QIの優先度評価を行った。優先順位の検討においては、「アウトカムを改善度」「実施率改善の余地」「質の代表性」「対象患者の数」の4つの観点を吟味した上で、「総合優先度」を決定した。4つの観点および総合優先度は1-5のスケールで評価した。これらの観点で、最初のQI開発の際と同様の評価手順を用いて評価を行い、最終的に総合優先度の高いものから順に外科手術・化学療法・放射線療法などの各診療分野のバランスを考慮しつつ、各臓器について10項目程度のQIを選定した。
結果と考察
各臓器でQIの優先度評価を行った。事前評価・検討会・事後評価の全作業工程は、胃癌・大腸癌・乳癌・肝癌については完了したが、肺癌は予定されて検討会が中止となり、本年度は事前評価検討のみ行った。 当初の予定通り検討を終えた臓器に関しては、総合優先度を元にして短縮版QIセットを各がん種で策定した。先行して短縮版が定められた胃癌、大腸癌については、協力3施設でパイロット採録を行ったところ、大幅な採録時間の短縮が見られ、利用可能性が確認された。検討の過程で計50QIの改訂を行った。これらはHPを改訂し、変更履歴も表示を切り替えて見えるように工夫した。以上過程により、胃癌・大腸癌・乳癌・肝癌において優先度評価とQIの改訂を行った結果、適切な測定負荷を調節して、診療の質測定を行うための実行可能性が高まったといえる。
結論
胃癌・大腸癌・乳癌・肝癌においてそれぞれ10前後の短縮版QIセットが確定した。今後測定の範囲を広めてフィードバックを繰り返すことにより、データ収集の仕組みの確立と改善へつなげる動きの構築が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020025Z