オンライン診療における安全性の向上と実効性の確保のために重要な診療情報や看護師が果たす役割の検討のための研究

文献情報

文献番号
202506011A
報告書区分
総括
研究課題名
オンライン診療における安全性の向上と実効性の確保のために重要な診療情報や看護師が果たす役割の検討のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25CA2011
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
原田 昌範(公益社団法人地域医療振興協会 地域医療研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 阿江 竜介(自治医科大学医学部)
  • 古城 隆雄(埼玉県立大学)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
2,856,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
元来、へき地等で限定的に認められていたオンライン診療は、COVID-19 を契機に規制緩和が進み、「D to P with N」や公民館・郵便局等での実施が制度化された。しかし、感染症流行時の医療逼迫において、患者側に同席する看護師が実施できる医行為等が十分に整理されておらず、現場の混乱を招いた経緯がある。本研究は、次なるパンデミックや季節性感染症の流行拡大等にも備え、受診者側の看護師や多職種が果たす役割を明確にし、オンライン診療の安全性向上と実効性確保に資する科学的知見を創出するとともに、持続可能な地域医療モデルを提言することを目的としたものである。
研究方法
萩市相島での離島実証、医療者・住民への質的調査、郵便局舎活用の実態調査と GIS 分析、移動式ブースを用いた多職種協働および災害時想定実証、諸外国の実施状況調査、小児領域(初期救急・5歳児健診)での対面接点連携実証を実施した。さらに分担研究として、全国の医師・看護師 81 名を対象に D to P with N における看護師の医行為等の実態調査を行った。
結果と考察
現地に専門職が介在するオンライン診療は、診療の質と安全性を大幅に向上させていた。特に看護師は高度なアセスメントを担い、身体診察の制限を補完しており、特定行為研修修了者はさらに診療の質向上に大きく寄与していた。また、郵便局や医療 MaaS 等のサードスペースの活用も、住民の医療アクセス改善に極めて有効であった。一方で、通信インフラの課題、複数機関での資格確認システムの未整備、薬局の負担、看護師のスキルによる質の差などの課題が浮き彫りとなった。
結論
オンライン診療は対面診療を補完し、有事にも対応し得る不可欠な社会インフラである。安全な社会実装に向けては、通信・情報共有基盤の整備、非医療職を含む現地支援者のトレーニング、機器管理・感染対策マニュアルの標準化など、システム面、人材面、制度面の課題解決が急務であり、地域密着型の新たな医療提供体制の構築が求められるのである。

公開日・更新日

公開日
2026-06-26
更新日
2026-07-07

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-26
更新日
2026-07-07

行政効果報告

文献番号
202506011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
対面接点連携型オンライン診療(D to P with N等)の実証と調査を通じ、看護師や多職種の介在が診療の質・安全性を飛躍的に高めることを学術的に立証した。特に特定行為研修修了看護師による高度なアセスメント能力の活用が有用であることを統計的に示した。本成果はデジタルヘルスとチーム医療の融合モデルとして高く評価され、日本遠隔医療学会や日本公衆衛生学会等で多数発表し、国内外から大きな反響を得た。
臨床的観点からの成果
オンライン診療は対面診療の完全な代替とはならないものの、病状が安定した慢性疾患の継続管理や、小児軽症例の初期評価において実用的な臨床的価値が確認された。患者側に看護師等が同席し、バイタル測定や電子聴診、迅速検査等を現地で実施することで、遠隔の医師が直面する身体診察の制限を現実的に補完できる。これにより、へき地や休日夜間の不要な救急受診を抑制しつつ、急変時や悪化時には適切な対面診療や搬送へと連携する、安全な地域医療体制の維持に寄与する。
ガイドライン等の開発
2019年〜2023年度で得られたオンライン診療における看護師の医行為範囲の実態や多職種連携の知見を基に、「へき地におけるオンライン診療等の手引き」を2025年3月に策定・発刊した。本研究にその内容が引き継がれており、多くの自治体で参照されている。
その他行政的観点からの成果
本研究班のアンケート調査結果が中医協(2025年11月7日開催)に資料として活用され、令和8年度診療報酬改定の強力な基礎資料となった。令和8年医療法改正により設置が可能となった「オンライン診療受診施設」の実装に向けたメリットや課題などを明確に資料に反映された。厚生労働省の「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会」(2025年9月29日)にて参考人として出席した。
その他のインパクト
研究成果の普及・啓発活動として、NHK「コネクト」(2025年5月30日)やNHK山口放送局「情報維新!やまぐち」(2025年6月25日)等のテレビ番組に出演し、遠隔医療の有用性を広く一般に周知した。また、郵便局を活用した診療モデルが中国新聞(2025年7月25日)に大きく掲載されるなど、多くのメディアで反響を呼んだ。さらに、JICAのプロジェクト等を通じ、海外向けにも日本の医療DXの知見を継続的に発信している。

発表件数

原著論文(和文)
1件
へき地住民のオンライン診療・服薬指導に対する利用意向(著者:古城隆雄, 阿江竜介, 西村謙祐, 原田昌範)日本公衆衛生雑誌 第72巻 第10号 783〜792頁
原著論文(英文等)
1件
Telemedicine and Willingness to Die at Home in Rural and Remote Areas in Japan. Telemedicine Reports
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
13件
研究班の代表、研究協力者は、日本遠隔医療学会、日本プライマリ・ケア連合学会、へき地・地域医療学会等で発表した
学会発表(国際学会等)
1件
市村尚之先生が、WONCA RURAL@釜山で発表
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
中医協(2025年11月7日開催)に資料を提供。厚生労働省の「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会」(2025年9月29日)に参考人として出席。
その他成果(普及・啓発活動)
3件
メディア(NHK 2件、中国新聞 1件)、JICAの視察で国際的にPR

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2026-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
202506011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,570,000円
(2)補助金確定額
3,528,283円
差引額 [(1)-(2)]
41,717円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,197,600円
人件費・謝金 316,869円
旅費 1,131,325円
その他 168,489円
間接経費 714,000円
合計 3,528,283円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2026-06-26
更新日
-