文献情報
文献番号
202506009A
報告書区分
総括
研究課題名
APOE遺伝カウンセリングの実態調査と体制整備に向けた課題の検討
研究課題名(英字)
-
課題番号
25CA2009
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
池内 健(国立大学法人新潟大学 脳研究所)
研究分担者(所属機関)
- 矢部 一郎(北海道大学大学院医学研究院)
- 関島 良樹(国立大学法人 信州大学 学術研究院医学系)
- 西郷 和真(近畿大学 大学病院 遺伝子診療部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬が早期アルツハイマー病を対象に本邦で臨床実装され、認知症の診療は新たな局面を迎えている。抗Aβ抗体薬の有害事象として、アミロイド関連血管異常(ARIA: amyloid-related imaging abnormalities)が知られている。ARIAはほとんどの場合、無症候性であるが、頭痛やめまい等が生じることがあり、稀ではあるが重篤な事象も報告されている。ARIAに対するリスク因子としてAPOE遺伝型が知られている。APOE ε4非保持者、ε4ヘテロ接合体、ε4ホモ接合体の順に、ARIAの発生頻度が上昇する。米国ではAPOE検査をした上で、抗Aβ抗体薬の投与について話し合うことが推奨されている。日本においては、実臨床でのAPOE遺伝学的検査は未整備であるが、体外診断薬申請がされるなど実用化に向けた準備が進められている。
APOE検査を実臨床で適正に実施するための「APOE検査の適正使用ガイドライン」(代表者:関島良樹)が令和6年度に策定された。この指針では、抗Aβ抗体薬治療の要否を検討するためのAPOE検査は適正とされた。このガイドラインの中ではAPOE検査に伴う遺伝カウンセリングの必要性と体制整備に関する課題が指摘された。さらに、AMED「アルツハイマー病疾患修飾薬全国臨床レジストリの構築と解析」(代表者:岩坪 威)において、抗Aβ抗体薬の投与施設を対象に、臨床研究下でAPOE検査を実施し、結果を開示するシステムが構築された。
このようにAPOE遺伝学的検査の臨床応用が進む中、APOE検査結果開示に基づいた適切な遺伝カウンセリングを提供することが求められている。本研究は、未発症家族をふくむカウンセリング体制の実態調査、整備に向けた課題、診察室での説明、検査、遺伝カウンセリングの診療の実践的な流れ手引きを作成する発展研究と位置づけられる。
APOE検査を実臨床で適正に実施するための「APOE検査の適正使用ガイドライン」(代表者:関島良樹)が令和6年度に策定された。この指針では、抗Aβ抗体薬治療の要否を検討するためのAPOE検査は適正とされた。このガイドラインの中ではAPOE検査に伴う遺伝カウンセリングの必要性と体制整備に関する課題が指摘された。さらに、AMED「アルツハイマー病疾患修飾薬全国臨床レジストリの構築と解析」(代表者:岩坪 威)において、抗Aβ抗体薬の投与施設を対象に、臨床研究下でAPOE検査を実施し、結果を開示するシステムが構築された。
このようにAPOE遺伝学的検査の臨床応用が進む中、APOE検査結果開示に基づいた適切な遺伝カウンセリングを提供することが求められている。本研究は、未発症家族をふくむカウンセリング体制の実態調査、整備に向けた課題、診察室での説明、検査、遺伝カウンセリングの診療の実践的な流れ手引きを作成する発展研究と位置づけられる。
研究方法
医療施設を対象にAPOE遺伝学的検査に関する実態調査を行った。APOE遺伝学的検査は、保険外診療やDirect-to-Consumer検査として現在提供されており、そのような検査において認知症や遺伝医療の専門家がどの程度関与しているのか、あるいは検査前後に十分な情報提供や遺伝カウンセリングが行われているか等を調査する。
AMED研究班「アルツハイマー病疾患修飾薬全国臨床レジストリの構築と解析」(代表者:岩坪 威)において、抗Aβ抗体薬治療実施施設においてAPOE検査結果が開示されることから、AMED研究班と連携し、検査結果開示後の遺伝カウンセリングの課題を抽出する。
APOE ε4ホモ接合体を対象とした遺伝カウンセリングにおいて、検査が未実施な家系員の中でAPOE検査を希望する一部の方に対してAPOEの遺伝学的検査を実施する。
本研究班全体で適切なAPOE遺伝学的検査に関する遺伝カウンセリング体制と実施に向けた提言を行う。APOE ε4を保持する未発症者に対する遺伝情報の保護や差別防止に対する方策を検討する等、社会的な側面からの提言も含める。そのプロセスにおいて様々なステイクホルダーと意見交換を行った。
AMED研究班「アルツハイマー病疾患修飾薬全国臨床レジストリの構築と解析」(代表者:岩坪 威)において、抗Aβ抗体薬治療実施施設においてAPOE検査結果が開示されることから、AMED研究班と連携し、検査結果開示後の遺伝カウンセリングの課題を抽出する。
APOE ε4ホモ接合体を対象とした遺伝カウンセリングにおいて、検査が未実施な家系員の中でAPOE検査を希望する一部の方に対してAPOEの遺伝学的検査を実施する。
本研究班全体で適切なAPOE遺伝学的検査に関する遺伝カウンセリング体制と実施に向けた提言を行う。APOE ε4を保持する未発症者に対する遺伝情報の保護や差別防止に対する方策を検討する等、社会的な側面からの提言も含める。そのプロセスにおいて様々なステイクホルダーと意見交換を行った。
結果と考察
抗Aβ抗体薬投与者に対して行われた製造販売後調査によると約20%(533人)に対してAPOE検査が実施された。現時点ではAPOE遺伝型検査は保険収載されていないため、施設が検査費用を負担するなどで対応していた。2024年からはAMED「アルツハイマー病疾患修飾薬全国臨床レジストリの構築と解析」においてAPOE検査が研究目的で実施可能となり、1000名以上の方がAPOE遺伝子検査を受検した。この中で、APOE検査の説明文書等を作成し、遺伝カウンセリング体制を整備した。
結論
抗Aβ抗体薬の臨床実装に伴い、APOE遺伝学的検査による情報を得ることにメリットを患者およびそのご家族、また医療提供者が感じていた。抗Aβ抗体薬を投与する主治医が活用できる説明補助文書を作成することで、APOE遺伝学的検査が実施可能であることが推察された。APOE ε4ホモ接合体の方で遺伝カウンセリングの実施が必要な場合があり、抗Aβ抗体薬を実施する自施設もしくは連携体制により遺伝カウンセリングを提供することが望ましいと思われた。
公開日・更新日
公開日
2026-06-30
更新日
-