悪性胸膜中皮腫の診断および治療法の確立とアスベスト曝露の実態に関する研究

文献情報

文献番号
201020022A
報告書区分
総括
研究課題名
悪性胸膜中皮腫の診断および治療法の確立とアスベスト曝露の実態に関する研究
課題番号
H21-がん臨床・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
金子 昌弘(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 呼吸器腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 関 順彦(帝京大学医学部内科学講座)
  • 浅村 尚生(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 呼吸器腫瘍科)
  • 松野 吉宏(北海道大学病院病理部・腫瘍病理部)
  • 楠本 昌彦(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院 放射線診断科)
  • 岸本 卓巳(岡山労災病院 呼吸器及びアスベスト関連)
  • 井内 康輝(広島大学大学院医歯薬学総合研究科病理学)
  • 西本 寛(独立行政法人 国立がん研究センターがん対策情報センター院内がん登録室)
  • 柿沼 龍太郎(独立行政法人 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター 画像診断開発室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
82,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
悪性胸膜中皮腫(Malignant pleural mesothelioma :MPM)はアスベストの吸入関連があり、今後の増加が懸念されている。MPMによる死亡者増加に歯止めを欠けるための、早期発見と治療方法の確立を目的としている。
研究方法
班全体では、第一に全国のMPMの症例を登録するためのシステムを作成し、それに基づき登録をsい、病理所見、治療法、予後について分析を行う。第二には、一般市民に対し、問診とX線および低線量CTによる検診を行い、胸膜肥厚斑の発生頻度や分布と問診結果との関連について分析を行う。さらに個別に病理的な分析や画像的な分析も行っている。
結果と考察
前向き登録に関しては29施設から213例が仮登録、64例が本登録されているが、全国の発生件数に比べ少ない。登録の簡素化と、登録を呼びかける範囲の見直しが必要と考えられる。更に今後、この登録を継続していくための方法が問題になっている。病理的検討は他の組織への登録症例との重複が多いので独自には行っていない。一般市民への検診に関してはJapan general screening for asbestos-related diseases: JG SARDとして、26施設での9810例の検診画像に対しセントラルレビューを行い、問診データとの突き合わせも行った。MPM症例は発見できなかったが、胸膜肥厚斑の指摘に関して、低線量CTがX線に比べ優れていること、出現頻度が高年齢の男性に多く、職歴や居住地域との関連が有ることが明らかになった。また研究班に参加の個々の施設においても、文献的検討から取り扱いのガイドラインを作成、新たな腫瘍マーカーの開発、組織型分類別の予後、個別の施設での胸膜肥厚斑の出現頻度の検討、などの研究も行われ成果を上げている。これらの研究を統合することにより、MPMの自然史が解明でき、治療成績の向上が期待され、環境へのアスベスト曝露の実態も明らかになり、効率の良い早期発見方法とその対象者も明らかにすることができると考えられる。
結論
MPM症例の登録は集積の増加と継続の確立が重要である。一般市民の検診によりアスベスト暴露の実態が明らかになった。病理的な分析や画像診断方法の研究などと総合することによりMPM症例の死亡数増加に歯止めをかけることが可能になると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201020022Z