カーボンニュートラル社会におけるヘルスケアシステムの設計と転換策の提案のための研究

文献情報

文献番号
202505002A
報告書区分
総括
研究課題名
カーボンニュートラル社会におけるヘルスケアシステムの設計と転換策の提案のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23BA1002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
南齋 規介(国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環領域)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 日本のヘルスケアのサプライチェーンに脱炭素化オプションを組み込むGHG排出算定モデルを独自に開発し,ヘルスケアのカーボンニュートラル化を達成するための需要側と供給側対策の排出削減効果とその導入量を定量することを目的とする。
研究方法
医療・介護・保健衛生のヘルスケア需要が固定資本形成を含むサプライチェーンを通じて誘発するGHG排出量(カーボンフットプリント)を最新の2020年産業連関表を用いて定量化した。昨年度に開発した標的型サプライチェーン分解分析法を適用し,ヘルスケアの医療のカーボンフットプリントを英国保健サービス(NHS)の事例を参考に定めた30個の脱炭素化オプション別に分解した。また,昨年度から続けてきた市区町村別のヘルスケア関連およびその他の消費に伴うサプライチェーン全体での将来のGHG排出量推計を改良した。
 日本の各都道府県におけるCTおよびMRIの運用効率性を横断的および時系列的に定量評価した。具体的には,非効率な運用の改善に基づくライフサイクルCO₂削減ポテンシャルを定量的に推計した。2050年に日本がカーボンニュートラルを達成する経路として,電力の脱炭素化と次世代自動車に対する物質効率化、住宅・非住宅建築物の長寿命化、循環利用率の向上を仮定し,2050年までにヘルスケアに求められる資源利用の効率性を推計した,
 要支援・要介護認定者がいる世帯において、要介護者のいない世帯との消費財(介護用品、光熱費、交通費など)との差異に注目し、施設および自宅介護とGHG排出量との関係を分析した。一方,電力を中心に国のエネルギー基本計画に沿ったエネルギー移行が起きた場合に、介護需要に伴うサプライチェーン全体のGHG排出量が今後どの程度削減されうるかを推計した。さらに、介護需要を維持していくために必要な直接・間接労働力についても定量化を行なった。
結果と考察
2020年のカーボンフットプリントも顕著な減少傾向は見られないこと,固定資本形成に関連する排出はフットプリントに対する影響が大きいことを示した。医療サービスによるカーボンフットプリントを30個の脱炭素オプションの寄与に分解すると,オプションの寄与は全体の98%の排出を占めた。特に寄与の大きいオプションとして「26: 医薬品のNHS基準達成」,「8: 全国的な電力脱炭素化」,「1: 施設(電気)の最適化」,「29: 固定資本(医療)」が挙げられた。
 日本の各都道府県におけるCTおよびMRIの運用効率性を横断的および時系列的に定量評価した。特に,非効率な運用の改善に基づくライフサイクルCO₂削減ポテンシャルを定量的に推計すると,不要な機器運用に起因するCO₂排出量は医療分野全体の約7%に相当することが明らかとなった。加えて,2050年に日本がカーボンニュートラルを達成する経路として,電力の脱炭素化と次世代自動車に対する物質効率化、住宅・非住宅建築物の長寿命化、循環利用率の向上を仮定すると,2050年までにヘルスケアに求められる資源利用の効率は最大で8倍程度向上する必要が示唆された。
 電力を中心に国のエネルギー基本計画に沿ったエネルギー移行が起きた場合に、介護需要に伴うサプライチェーン全体のGHG排出量が今後どの程度削減されうるかを推計した。さらに、介護需要を維持していくために必要な直接・間接労働力についても定量化し、現状のサプライチェーン構造下では商業や農業等の介護現場以外でも労働力が新たに必要になる可能性が示唆された。したがって、介護におけるカーボンニュートラル化には、被介護者のウェルビーイングや少子高齢化で切迫する人材不足も鑑みて、介護需要そのものを抑制しつつ低炭素な介護予防策の推進が不可欠であると考えられる。
結論
 2020年の日本のヘルスケアサービスに伴う国内で生じるカーボンフットプリントを算定し,顕著な減少傾向は見られないこと,固定資本形成に関連する排出はフットプリントに対する影響が大きいことを示した。
 日本の各都道府県におけるCTおよびMRIの運用効率性を横断的および時系列的に定量評価した。特に,非効率な運用の改善に基づくライフサイクルCO₂削減ポテンシャルを定量的に推計した。
 2050年に日本がカーボンニュートラルを達成する経路として,電力の脱炭素化と次世代自動車に対する物質効率化、住宅・非住宅建築物の長寿命化、循環利用率の向上を仮定すると,2050年までにヘルスケアに求められる資源利用の効率は最大で8倍程度向上する必要が示唆された。
 介護におけるカーボンニュートラル化には、被介護者の心身と少子高齢化に伴い切迫する労働力に鑑みて、可能な限り低炭素な方法における介護予防策の推進が重要であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2026-09-02
更新日
-

文献情報

文献番号
202505002B
報告書区分
総合
研究課題名
カーボンニュートラル社会におけるヘルスケアシステムの設計と転換策の提案のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23BA1002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
南齋 規介(国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環領域)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本のヘルスケアのサプライチェーンに脱炭素化オプションを組み込むGHG排出算定モデルを独自に開発し,ヘルスケアのカーボンニュートラル化を達成するための需要側と供給側対策の排出削減効果とその導入量を定量することを目的とする。
研究方法
医療・介護・保健衛生のヘルスケア需要が固定資本形成を含むサプライチェーンを通じて誘発するGHG排出量(カーボンフットプリント)を2011年,2015年および2020年産業連関表を用いて定量化し,カーボンフットプリントの発生構造を解析した。また,新たに標的型サプライチェーン分解分析法を開発し,ヘルスケアの医療のカーボンフットプリントを英国保健サービス(NHS)の事例を参考に定めた30個の脱炭素化オプション別に分解した。加えて,市区町村別のヘルスケア関連およびその他の消費に伴うサプライチェーン全体での将来のGHG排出量推計を実施した。
 日本の各都道府県におけるCTおよびMRIの運用効率性を横断的および時系列的に定量評価した。具体的には,非効率な運用の改善に基づくライフサイクルCO₂削減ポテンシャルを定量的に推計した。2050年に日本がカーボンニュートラルを達成する経路として,電力の脱炭素化と次世代自動車に対する物質効率化、住宅・非住宅建築物の長寿命化、循環利用率の向上を仮定し,2050年までにヘルスケアに求められる資源利用の効率性を推計した,
 要支援・要介護認定者がいる世帯において、要介護者のいない世帯との消費財(介護用品、光熱費、交通費など)との差異に注目し、施設および自宅介護とGHG排出量との関係を分析した。一方,電力を中心に国のエネルギー基本計画に沿ったエネルギー移行が起きた場合に、介護需要に伴うサプライチェーン全体のGHG排出量が今後どの程度削減されうるかを推計した。さらに、介護需要を維持していくために必要な直接・間接労働力についても定量化を行なった。
結果と考察
日本のヘルスケアサービスに関するカーボンフットプリントは2011年から2015年に掛けて大きな変化はなく、その主たる排出要因も同様であり、脱炭素化に向けた排出削減策を立案することは中長期的に有効と考えられる。ヘルスケアサービスのカーボンフットプリントは現在減少傾向にあるが、日本全体のGHG排出に対する割合は増加しており、早急な脱炭素化計画と実行が求められる。2020年のカーボンフットプリントも顕著な減少傾向は見られないこと,固定資本形成に関連する排出はフットプリントに対する影響が大きいことを示した。
 日本の各都道府県におけるCTおよびMRIの運用効率性を横断的および時系列的に定量評価した。特に,非効率な運用の改善に基づくライフサイクルCO₂削減ポテンシャルを定量的に推計すると,不要な機器運用に起因するCO₂排出量は医療分野全体の約7%に相当することが明らかとなった。加えて,2050年に日本がカーボンニュートラルを達成する経路として,電力の脱炭素化と次世代自動車に対する物質効率化、住宅・非住宅建築物の長寿命化、循環利用率の向上を仮定すると,2050年までにヘルスケアに求められる資源利用の効率は最大で8倍程度向上する必要が示唆された。
 要支援・要介護認定者がいる世帯において、要介護者のいない世帯との消費財(介護用品、光熱費、交通費など)との差異に注目し、施設および自宅介護とGHG排出量との関係を分析した。一方,電力を中心に国のエネルギー基本計画に沿ったエネルギー移行が起きた場合に、介護需要に伴うサプライチェーン全体のGHG排出量が今後どの程度削減されうるかを推計した。さらに、介護需要を維持していくために必要な直接・間接労働力についても定量化し、現状のサプライチェーン構造下では商業や農業等の介護現場以外でも労働力が新たに必要になる可能性が示唆された。したがって、介護におけるカーボンニュートラル化には、被介護者のウェルビーイングや少子高齢化で切迫する人材不足も鑑みて、介護需要そのものを抑制しつつ低炭素な介護予防策の推進が不可欠であると考えられる。
結論
日本のヘルスケアサービスに関するカーボンフットプリントは2011年から2015年に掛けて大きな変化はなく、その主たる排出要因(ヘルスケアセクターの購入物)も同様であり、脱炭素化に向けた排出削減策を立案することは中長期的に有効と考えられる。ヘルスケアサービスのカーボンフットプリントは現在減少傾向にあるが、日本全体のGHG排出に対する割合は増加しており、早急な脱炭素化計画と実行が求められる。
 介護におけるヘルスケアのカーボンニュートラルについては、エネルギーの脱炭素化を進展させるとともに、低炭素な介護予防策の検討と導入における介護需要抑制に由来するGHG排出削減策の取組を進めていくことが重要であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2026-09-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202505002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
日本のヘルスケアシステムに関するGHG排出量の算定と構造分解に関する数理モデルの開発と定量化を行った。ヘルスケアシステムの脱炭素化はATACHを契機に国際的に進展する中で日本の現状を理解する上で意義がある。
臨床的観点からの成果
特記事項なし
ガイドライン等の開発
特記事項なし
その他行政的観点からの成果
特記事項なし
その他のインパクト
特記事項なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
3件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2026-09-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
202505002Z