文献情報
文献番号
202503011A
報告書区分
総括
研究課題名
生成AIを活用した薬事承認申請・審査関連文書作成の推進のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25AC1003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
中村 健一(国立がん研究センター中央病院 国際開発部門)
研究分担者(所属機関)
- 沖田 南都子(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 臨床研究支援部門 研究企画推進部)
- 水澤 純基(国立がん研究センター 研究支援センター 生物統計部)
- 浅野 健人(国立大学法人大阪大学 医学部附属病院未来医療開発部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
23,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、医師主導治験やスタートアップ企業による医薬品・医療機器開発が活発化している一方で、総括報告書(CSR)や承認申請関連文書の作成には高度な専門性と多大な人的負担が必要となっている。特にCSRは、治験実施計画書、統計解析報告書、有害事象報告書等の複数文書を統合し、ICH-E3に準拠した形で整合的に作成する必要があり、作成期間の長期化や品質確保が課題である。本研究では、生成AIおよびRetrieval-Augmented Generation(RAG)を活用し、CSRおよび承認申請情報サマリーを効率的かつ高精度に作成する技術基盤の構築を目的とした。令和7年度は、国立がん研究センター中央病院においてCSR自動作成ツールの汎用化と精度向上を進めるとともに、PMDAにおいて審査報告書自動作成に向けた研究環境整備および初期検討を実施した。
研究方法
生成AIおよびRAGを用いたCSR自動作成ツールを構築し、過去の医師主導治験の治験実施計画書、統計解析報告書、CSR等を参照させながら、新たなCSRドラフトを生成した。Phase1では特定試験向けに最適化したプロンプトを用いて第9章「治験の計画」を中心に生成した。これに対しPhase2では、ICH-E3に基づく章構成や必須記載事項を明示した汎用プロンプトへ変更し、複数文書を入力可能な構造へ改良した。生成結果は、研究代表者、モニター、生物統計家等からなるプロジェクトチームがレビューし、フィードバックをプロンプトへ反映するプロンプトエンジニアリングを反復した。評価は「そのまま利用可能」から「利用困難」までの5段階で行い、AI生成が困難な部分は対象外とした。
PMDAでは、審査報告書自動作成に向けたオンプレミスAI環境構築を進めるとともに、簡易環境下で公開CTD M2情報を用いたプロンプト検討を行った。また、非公開データを用いた検討に向け、製薬企業との秘密保持契約締結を進めた。
PMDAでは、審査報告書自動作成に向けたオンプレミスAI環境構築を進めるとともに、簡易環境下で公開CTD M2情報を用いたプロンプト検討を行った。また、非公開データを用いた検討に向け、製薬企業との秘密保持契約締結を進めた。
結果と考察
Phase1では、第9章において約80%が「ほぼそのまま利用可能」または「微修正で利用可能」と評価された。一方、実施していない薬物濃度測定をAIが記載するなど、ハルシネーションに相当する問題が確認された。Phase2では、ICH-E3準拠の汎用構造を導入した上で、第9章で約97%が実用可能と評価され、汎用化後も精度向上が認められた。さらに、第1章および第5〜8章の計画部分では、全項目がA〜B評価となり、実務上利用可能な水準に達した。
また、CSR作成期間は120営業日から78営業日へ短縮され、生成AI導入による業務効率化効果が示された。クラウド型構成により高性能端末を必要とせず、一般的な業務端末で利用可能であったことから、多施設展開や実運用への適用可能性も示唆された。
一方で、必須記載事項の欠落、試験デザイン説明不足、付録参照不足、重複記載などの課題も残存した。これらはAI単体の問題だけでなく、インプット文書の標準化不足にも起因すると考えられ、今後はプロンプト改善に加えて、治験実施計画書や統計解析報告書等の記載様式標準化が重要と考えられた。
PMDAでの検討では、サーバー調達遅延により本格運用には至らなかったものの、簡易環境下でも一定程度利用可能な生成結果が得られた。しかし、情報量増大に伴うハルシネーションや再現性低下が課題として認められ、出力構造を明示したフォーマット化や構造化プロンプトの重要性が示唆された。
また、CSR作成期間は120営業日から78営業日へ短縮され、生成AI導入による業務効率化効果が示された。クラウド型構成により高性能端末を必要とせず、一般的な業務端末で利用可能であったことから、多施設展開や実運用への適用可能性も示唆された。
一方で、必須記載事項の欠落、試験デザイン説明不足、付録参照不足、重複記載などの課題も残存した。これらはAI単体の問題だけでなく、インプット文書の標準化不足にも起因すると考えられ、今後はプロンプト改善に加えて、治験実施計画書や統計解析報告書等の記載様式標準化が重要と考えられた。
PMDAでの検討では、サーバー調達遅延により本格運用には至らなかったものの、簡易環境下でも一定程度利用可能な生成結果が得られた。しかし、情報量増大に伴うハルシネーションや再現性低下が課題として認められ、出力構造を明示したフォーマット化や構造化プロンプトの重要性が示唆された。
結論
本研究により、生成AIおよびRAGを活用したCSR自動作成ツールは、ICH-E3に準拠したCSR計画部分のドラフト作成において高い実用性を有する可能性が示された。特に、汎用化後も生成精度を維持・向上できること、ならびにCSR作成期間短縮に寄与することが確認された。今後は、複数試験での再現性検証、結果部分への適用拡大、インプット文書の標準化、品質管理体制整備を進めることで、治験関連文書作成業務および承認申請・審査関連文書への社会実装が期待される。
公開日・更新日
公開日
2026-06-15
更新日
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