治癒切除不能進行胃癌に対する減量手術の意義に関する研究

文献情報

文献番号
201020011A
報告書区分
総括
研究課題名
治癒切除不能進行胃癌に対する減量手術の意義に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
辻仲 利政(国立病院機構 大阪医療センター がんセンター 外科)
研究分担者(所属機関)
  • 岩崎 善毅(東京都立駒込病院 胃外科)
  • 円谷 彰(神奈川県立がんセンター 消化器外科)
  • 塩崎 均(近畿大学医学部 上部消化管外科)
  • 梨本 篤(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 栗田 啓(国立病院機構四国がんセンター 上部消化管外科)
  • 寺島 雅典(静岡県立静岡がんセンター 胃外科)
  • 宮代 勲(大阪府立成人病センター 消化器外科)
  • 肥田 圭介(岩手医科大学 外科)
  • 高金 明典(函館厚生院函館五稜郭病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
17,866,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
治癒切除不能な進行胃がんに対する減量手術の意義は、最も科学的に信頼できるランダム化比較第3相試験により検証する必要がある。
本研究は、減量手術の意義を検証する世界で始めてのランダム化比較第3相試験であり、JCOG初の国際共同試験として行われる。
研究方法
JCOGプロトコール(JCOG0705)に記載された方法に従って研究は行われる。
治療計画として、化学療法単独群(A群)では登録後14日以内にS―1+CDDPによる化学療法、減量手術群(B群)では登録後21日以内にプロトコール治療を減量手術およびS―1+CDDPによる術後化学療法を開始する。B群で行う減量手術は、開腹による胃切除およびD1郭清を原則とし、完全なD2郭清や他臓器の合併切除は許容しない。本試験の主要評価項目は生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間および有害事象発生割合とした。登録期間4年、追跡期間2年とし、必要症例数は両群合計330名とした。
結果と考察
平成23年3月における登録症例数は、日本では58症例であり、韓国では50症例である。両国から定期モニタリングレポートが提出され、相互検討を行い、研究の同質性を担保した。いままでに11回の日韓研究者会議を開催した。韓国側のデータセンター(ソウル大学)とJCOGデータセンターの相互訪問と意見交換を継続して行っている。
両国でのサーベイランスの結果から、本研究の対象となる患者数は、胃がん発生の多い両国においても比較的少ないことが判明した。本試験は登録に時間がかかっているが、得られた結果のもつ意義は大きく、科学的重要性も高い。
定期交流により、研究推進への共同意識が形成され、相互情報交換も機能してきており、国際共同研究に対する経験が蓄積されてきた。
結論
研究の遅れはあるが着実に集積が進んでおり、最終結果が得られる可能性が高い。 健康危険情報
は両国において、健康危険事象が発生した場合の対応システムを確立している。現在までに、治療に関連した重篤な健康危険事象が計2例発生した。急送報告をJCOG効果安全性評価委員会に提出し、回答を得た。回答を日本の研究者には班会議にて周知し、韓国研究者にはリエゾン事務局を通じて、各IRBに報告してもらった

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

文献情報

文献番号
201020011B
報告書区分
総合
研究課題名
治癒切除不能進行胃癌に対する減量手術の意義に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
辻仲 利政(国立病院機構 大阪医療センター がんセンター 外科)
研究分担者(所属機関)
  • 岩崎 善毅(東京都立駒込病院 胃外科)
  • 円谷 彰(神奈川県立がんセンター 消化器外科)
  • 塩崎 均(近畿大学医学部 上部消化管外科)
  • 梨本 篤(新潟県立がんセンター新潟病院)
  • 栗田 啓(国立病院機構 四国がんセンター 上部消化管外科)
  • 寺島 雅典(静岡県立静岡がんセンター 胃外科)
  • 宮代 勲(大阪府立成人病センター 消化器外科)
  • 肥田 圭介(岩手医科大学 外科)
  • 高金 明典(函館厚生院函館五稜郭病院 )
  • 辻本 広紀(防衛医科大学校 第一外科 上部消化器外科)
  • 柿原 直樹(京都第二赤十字病院 外科)
  • 市倉 隆(防衛医科大学校 第一外科 上部消化器外科)
  • 竹中 温(京都第二赤十字病院 外科)
  • 山上 裕機(和歌山県立医科大学 第二外科)
  • 河内 保之(新潟県厚生連長岡中央病院 外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
治癒切除不能な進行胃がんに対する減量手術の意義は、最も科学的に信頼できるランダム化比較第3相試験により検証する必要がある。
本研究は、減量手術の意義を検証する世界で始めてのランダム化比較第3相試験であり、JCOG初の国際共同試験として行われる。
研究方法
JCOGプロトコール(JCOG0705)に記載された方法に従って研究は行われる。
治療計画として、化学療法単独群(A群)では登録後14日以内にS―1+CDDPによる化学療法、減量手術群(B群)では登録後21日以内にプロトコール治療を減量手術およびS―1+CDDPによる術後化学療法を開始する。B群で行う減量手術は、開腹による胃切除およびD1郭清を原則とし、完全なD2郭清や他臓器の合併切除は許容しない。本試験の主要評価項目は生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間および有害事象発生割合とした。登録期間4年、追跡期間2年とし、必要症例数は両群合計330名とした。
結果と考察
平成23年3月における登録症例数は、日本では58症例であり、韓国では50症例である。両国から定期モニタリングレポートが提出され、相互検討を行い、研究の同質性を担保した。いままでに11回の日韓研究者会議を開催した。韓国側のデータセンター(ソウル大学)とJCOGデータセンターの相互訪問と意見交換を継続して行っている。
両国でのサーベイランスの結果から、本研究の対象となる患者数は、胃がん発生の多い両国においても比較的少ないことが判明した。本試験は登録に時間がかかっているが、得られた結果のもつ意義は大きく、科学的重要性も高い。
定期交流により、研究推進への共同意識が形成され、相互情報交換も機能してきており、国際共同研究に対する経験が蓄積されてきた。
結論
研究の遅れはあるが着実に集積が進んでおり、最終結果が得られる可能性が高い。健康危険情報
は両国において、健康危険事象が発生した場合の対応システムを確立している。現在までに、治療に関連した重篤な健康危険事象が計2例発生した。急送報告をJCOG効果安全性評価委員会に提出し、回答を得た。回答を日本の研究者には班会議にて周知し、韓国研究者にはリエゾン事務局を通じて、各IRBに報告してもらった。

公開日・更新日

公開日
2015-05-15
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201020011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
対象の条件設定が困難であることや症例集積の困難性から、いままで無作為比較試験が行われて来なかった。本試験が減量的胃切除の意義を問う世界で初めての臨床試験であり、日韓共同試験体制を構築して第3相試験を行っていることの学術的観点からの意義は高い。国際共同試験に関する経験が蓄積され、今後の共同試験を企画実行するために役だっている。
臨床的観点からの成果
確立したエビデンスがないため、高度進行がんに対する治療ガイドラインの提案が困難であった。本研究対象は、外科切除を優先することに意義があるか、化学療法を第一義的治療として行うべきかの境界領域に位置している。本研究の対象よりも高度に進行した胃がんには化学療法が第一であり、進行度がより低い場合は切除術が第一となるとの判断基準を示した点において、臨床医の治療選択に役立っている。
ガイドライン等の開発
2010年10月に改訂された胃がん治療ガイドラインにおいて、減量的胃切除には「明らかなエビデンスがなく臨床研究の位置づけである」とされ、「現在、化学療法と減量手術を比較する日韓合同の臨床試験が行われている」と記載された。本試験が進行していることにより、減量手術の位置づけがなされた。無条件に減量手術や化学療法を行うことに関して、注意喚起がなされるようになった。
その他行政的観点からの成果
日韓共同研究を行うことにより、日本と韓国の研究者の相互交流が促進され、相互理解が高まった。お互いの優れた点を評価し、成果を共有できる基盤が形成された。日本胃がん学会と韓国胃がん学会の交流も始まり、世界の胃がん治療をリードするために次回TMN改訂に向けた活動が開始された。
その他のインパクト
特記事項なし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
23件
その他論文(英文等)
32件
学会発表(国内学会)
24件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2015-10-06

収支報告書

文献番号
201020011Z