ICT技術を利用した新規安全性情報報告の基盤構築に資する調査研究

文献情報

文献番号
202503002A
報告書区分
総括
研究課題名
ICT技術を利用した新規安全性情報報告の基盤構築に資する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23AC1004
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
花岡 英紀(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 土井 俊祐(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 舟越 亮寛(亀田医療大学 総合研究所)
  • 正司 真弓(千葉大学 大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
11,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、電子カルテ情報から安全性報告対象の情報を一次抽出して、電子カルテシステム搭載端末から安全性報告を行うシステム(電子カルテ報告システム)の基盤構築とその普及展開に向けた提言の策定を目的とする。
研究方法
本研究の成果を広く普及するため、具体的な提案を含めて提言を取りまとめる。
また、システムの実装に向けた提言を取りまとめる。
結果と考察
<システム開発班の検討>
2年目までの研究成果をもとにPDCAサイクルを回し、2年目までに構築したプロトタイプ報告システムの改良版として、電子カルテと連動する紙媒体の報告書と同様のインターフェイスを持つ報告システムを開発した。構築したシステムは、先行開発したプロトタイプシステムと同様に、同じテストデータの入力から同じHL7 FHIR形式の出力データが得られることを確認した。構築したシステムをユーザビリティ班に引き渡し、研究班としてユーザビリティ調査を実施した。
<ユーザビリティの検討> 
令和7年度は、電子カルテ報告システムのユーザビリティを改善するために、電子カルテ報告システム(A.電子カルテから直接報告できるシステム、B.電子カルテとは独立してインターネット上から報告できるシステム、C.紙の報告書と同様のインターフェースで報告できるシステム)のうち、千葉大学医学部附属病院電子カルテ内に実装されたA.C.を使用し調査を行った。
ユーザビリティ調査については、引き続き調査研究に御協力頂いた「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の7つの専門作業班(具体的には、代謝・その他WG、循環器WG、精神・神経WG、抗菌・抗炎症WG、抗がんWG、生物WG、小児WG)のメンバー、また日本病院薬剤師会から推薦された実務経験者、その他、PMDAから推薦された市販後副作用報告に精通する専門家、の中から今年度も継続してご協力いただけ、かつ千葉大学医学部附属病院に来院される日程調整の付いた24名
に実施した。
ユーザビリティアンケートでは、A,Cいずれのシステムにおいても既存報告と比較してユーザビリティは同定度~高いという評価が多かった。
ユーザビリティ調査において、
A,Cいずれの報告システムにおいても既存報告と比較して同程度~高いという評価が多かった。特に、「既存システムと比較した利便性」では、電子カルテに直接報告できるAの報告システム の評価が高く、次に紙の報告書と同様のインターフェースで報告できるシステム C となった。電子カルテとのインターフェースの統一性や、一部項目の自動入力等が重要と見受けられた。一方で、「入力欄の使いやすさ」では5点以下の割合が他の質問と比較してやや高かった。入力欄の柔軟性が低いことへの指摘や、自動入力できる項目の少なさ、画面遷移の煩雑さ、入力後確認時の視認性が低いといった指摘も受けた。
これらの研究の結果を受け、「ICT 技術を利用した新規安全性情報報告の基盤構築に資する調査研究 令和5-7年度
研究成果報告」として簡易版のパンフレットを作成し、本研究に協力いただいた研究協力者117名に送付した。
結論
本研究の成果を踏まえ、医薬品安全性報告や予防接種副反応報告における今後の政策策定において、対応策を提言する。この提言が実現されることにより、本研究で扱う報告のみならず、ひいては我が国における症例情報収集全体が飛躍的に効率化されることを望む。

公開日・更新日

公開日
2026-08-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-08-05
更新日
-

文献情報

文献番号
202503002B
報告書区分
総合
研究課題名
ICT技術を利用した新規安全性情報報告の基盤構築に資する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23AC1004
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
花岡 英紀(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 土井 俊祐(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 正司 真弓(千葉大学 大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学)
  • 舟越 亮寛(亀田医療大学 総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
電子カルテ情報から安全性報告対象情報を一次抽出し、電子カルテシステム搭載端末から安全性報告を行う仕組みの基盤構築 と、その 普及展開に向けた提言の策定 を行う。
研究方法
【R5年度:基礎調査・環境整備】
システム構築に向け医療従事者に対するユーザビリティ調査方法を検討した。
システムの仕様策定に向けて電子カルテシステム搭載端末からPMDAへ伝送する際の標準規格を検討した。
・電子カルテ環境の調査、端末整備(3台設置)
・HL7 FHIRおよびJASPEHR実装ガイド(ver0.5.5)の調査
・ユーザビリティ調査方法の検討
・現状把握アンケート(84名)の実施

【R6年度:実装ガイド構築・プロトタイプ開発・ユーザビリティ調査】
副作用報告システムのプロトタイプを構築する。プロトタイプを使用したユーザビリティ調査を実施し、その調査結果を取りまとめ、改善点の有無を検討する。
HL-7 FHIR準拠標準規格について厚生労働省標準規格と整合を図るため中間報告として提言を取りまとめる。
・医薬品安全性情報報告 HL7 FHIR実装ガイド ver0.1.0 の作成
・電子カルテ連動型システム(A)とWeb型システム(B)のプロトタイプ開発
・84名によるタスクベースユーザビリティ調査

【R7年度:電子カルテ内実装版の評価・最終提言】
本研究の成果を広く普及するため、具体的な提案を含めて提言を取りまとめる。
また、システムの実装に向けた提言を取りまとめる。
・文書システムに類似した新様式の報告システムの開発
・プロトタイプ、改良タイプの報告システムを使用した現地ユーザビリティ調査(24名)の実施
・3年間の成果を踏まえた政策提言書 の作成
結果と考察
1. システム構築の成果
HL7 FHIR準拠の実装ガイドを国内で初めて体系化した。また、電子カルテ連動型・Web型・紙様式模倣型の3種の報告システムを開発し、電子カルテ環境とクラウド環境で同一FHIR出力が得られることを確認した。以上より、標準化されたデータ伝送の実現可能性を示した。

2. ユーザビリティ調査の成果
ユーザビリティ調査については、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の7つの専門作業班(具体的には、代謝・その他WG、循環器WG、精神・神経WG、抗菌・抗炎症WG、抗がんWG、生物WG、小児WG)のメンバー、また日本病院薬剤師会から推薦された実務経験者、その他、PMDAから推薦された市販後副作用報告に精通する専門家の先生方の延べ117名先生方に協力いただいた。複数年にわたるユーザビリティ調査にて、新報告様式の報告所要時間は既存報告と同等(電子カルテ連動型の中央値15分、Web型10分・紙様式模倣型20分)であり、明らかな負担となるものではないことを確認した。
電子カルテ内に実装した2種の報告システムは電子カルテからのコピー&ペーストが行いやすいという情報の取得しやすさが強みであり、「利便性」の点で高評価であった。一方で日付の曖昧入力制限、投与量の単位入力制限、画面遷移の煩雑さ、電子カルテからの自動入力項目の編集不可等があり、「入力欄の使いやすさ」は課題を浮き彫りにする結果となった。これらを受けて、改良点としては下記が挙げられた。
・自動入力の拡充(診療記録・検査値・投薬情報)、入力欄の柔軟性向上(曖昧日付、単位入力、繰り返し入力)
・視認性向上(未入力箇所のハイライト、プレビュー機能)
・画面遷移の簡素化
・報告書の電子カルテ登録による二重作業の解消

D.考察(3か年総括)
本研究は、標準化(FHIR)・実装(電子カルテ/WEB)・評価(ユーザビリティ) を一体的に行った国内初の社会実装型研究である。
3年間の調査により、標準化された安全性情報報告の技術的基盤は構築可能である。電子カルテ連動型は利便性が高く、現場の期待も大きい。一方で、入力欄の柔軟性や自動入力の不足が実装上の課題
であることが明らかとなった。
これらの知見は、医薬品安全性報告のみならず、予防接種副反応報告、感染症届出、その他症例情報収集 にも応用可能であり、我が国の医療情報基盤の高度化に資する。
結論
本研究により、HL7 FHIR準拠の安全性情報報告実装ガイドの構築、電子カルテ連動型報告システムの開発、多施設・多職種によるユーザビリティ評価、改良点の抽出と政策提言の策定 を達成した。
本提言が実現されることで、症例情報収集の効率化・標準化が飛躍的に進むことが期待される。

公開日・更新日

公開日
2026-08-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-08-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202503002C

収支報告書

文献番号
202503002Z