我が国におけるICD-11によるコーディングの普及・教育に資する研究

文献情報

文献番号
202502006A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国におけるICD-11によるコーディングの普及・教育に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25AB1003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
山本 憲(順天堂大学(健康データサイエンス学部))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
3,630,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
WHOによって30年ぶりに改訂されたICD-11は、電子的に実装可能な階層構造、拡張コード機能、基盤用語体系を備え、ICD-10に比べ記述力と柔軟性が格段に向上した。日本ではICD-11の臨床および保健医療データシステムへの導入準備が遅れており、教育体制や人材育成の整備が喫緊の課題である。
本研究は、生成AIを活用したICD-11カスタム教材を開発し、医療職・学生・実務者が段階的に学べる体系的教材を構築・評価することを目的とする。ICD-11の完全電子化を活かし、RAG(Retrieval-Augmented Generation)法によりICD-11に準拠したe-Learning教材を開発し、リカレント教育に活用する。
1. 国際動向の整理と導入課題の抽出
各国のICD-11導入状況・教育支援ツールを調査・整理し、国内での運用課題と教育ニーズを明確化。
2. 生成AI型ICD-11教材の開発と評価
RAG方式を用い、ICD-10/11・標準病名マスターを参照したカスタムGPT教材を開発。学生・医療職・診療情報管理士を対象に実装・検証を行い、学習ログ、理解度テストなどにより教育効果を多角的に評価。
3. 段階別教育カリキュラムと指導者育成体制の構築
初学者から現場指導者までを対象とした教育モジュールを開発、コーディングスキル習得の段階的成長を支援。教育指導者層の育成にも対応する教材と研修体系を整備し、普及と持続的展開を図る。
研究方法
本研究は、ICD-11の円滑な国内導入と現場定着を支援するために、生成AIを用いた教育支援ツールを開発し、e-Learning教材として実装・評価することを目的とする。特に、ICD-11の完全電子化された構造と、WHOが提供する分類・定義文書などの多様な電子リソースを活用し、それらを自然言語で効率的に学べる生成AI型教材として再構成する。
1年目は、まず国際的なICD-11導入状況と教育ツールの現状を調査し、WHOが公開するICD-11のMMS(Mortality and Morbidity Statistics)とFoundation層、Extensionコードに関する構造・語彙の把握を行う。並行して、日本国内の医療情報・診療情報管理分野におけるICD-11教育のニーズと課題を、関連学会や教育機関等へのインタビュー調査および文献レビューを通じて明確化する。これにより、教材開発における教育内容の重点領域を設定する。

続いて、RAG(Retrieval-Augmented Generation)方式により、WHO文書やICD-11分類体系、ICD-10/ICD-11変換マッピング情報、標準病名マスター(研究分担者[大江]の協力のもと提供)などを検索可能な知識ベースとして構築し、カスタムGPTを作成する。これにより、ChatGPTがユーザーからの質問に対して正確かつ根拠に基づいた回答を返すことが可能となり、ICD-11コーディングの習得支援に有用な教育インタフェースが実現される。生成AI教材はWebベースのe-Learning形式で実装し、プロトタイプを医療系学生や診療情報管理士研修参加者に試験的に提供する。教材利用中のログ取得(滞在時間、操作履歴、問合せパターン)を通じて、初期評価を行い、改善に活かす。
結果と考察
ICD-11国際導入状況調査を行った。および、ICD-11国内病院電子カルテシステムへの導入準備状況調査を行った。クラウド版・オンプレミス版ICD-11コーディングツールシステム開発を行った。WHO英語版教材をベースにした日本語版ICD-11教材開発を行った。
結論
本研究の令和7年度においては、当初計画に基づき、ICD-11の国際的導入状況に関する包括的調査と、生成AIを活用した教材開発の基盤整備を実施し、すべての工程で一定の進捗を得ることができた。特に、WHO提供教材を翻案した日本語eLearningモジュールの構築、カスタムGPTおよびGEMモデルを用いたAI質問応答型教材の試作、ならびにオンプレミス環境におけるICD-11コーディング支援AIの開発により、ICD-11の特性に対応した多層的教育支援インフラの実現可能性を実証した。
これらの成果は、医療現場等におけるICD-11の円滑な定着を支援するための具体的な手段として活用可能であり、次年度以降の教材内容の高度化、対象職種の拡大、教育効果の実証研究に向けた足掛かりとなる。今後は、実務者・指導者を対象とした研修体系の整備とあわせて、政策的観点からも活用可能な教育モデルへと昇華させ、我が国におけるICD-11実装の加速に貢献する体制の構築を図る。

公開日・更新日

公開日
2026-06-03
更新日
2026-06-29

収支報告書

文献番号
202502006Z