ICFの多様な現場での実用化と統計への応用に向けた研究

文献情報

文献番号
202502004A
報告書区分
総括
研究課題名
ICFの多様な現場での実用化と統計への応用に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25AB1001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
向野 雅彦(国立大学法人北海道大学 北海道大学病院リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 深(杏林大学 医学部)
  • 小松 雅代(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 予防医療学分野)
  • 古元 重和(北海道大学 大学院医学研究院 社会医学分野 医療政策評価学教室)
  • 諏訪 さゆり(千葉大学大学院看護学研究科)
  • 三上 幸夫(広島大学病院 リハビリテーション科)
  • 木下 翔司(東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座)
  • 大工谷 新一(北陸大学)
  • 泉 良太(聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部 作業療法学科)
  • 稲本 陽子(藤田医科大学 保健衛生学部保健学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
3,243,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国際生活機能分類(ICF)は、WHOの中心分類として、疾病や災害が個人および社会に及ぼす影響を生活機能の観点から多角的に表現することを可能にし、国際疾病分類(ICD)と相補的に活用することで疾病統計の充実に寄与することが期待されている。しかし、1,600を超える項目数や定義の難解さから、国レベルでの標準的評価手法の確立や統計への大規模な活用には至っていない。
本研究は、(1) 多職種が共通利用可能な標準的評価基準・採点マニュアルの整備、(2) 既存の臨床スケールからICFへの点数換算を可能とするリファレンスシステムとしてのICFツールの整備、(3) WHOおよび国際学会との連携による国際動向の把握、に取り組み、ICFの円滑な実用化と疾病統計への応用を実現することを目的とする。
研究方法
(1)採点マニュアル改訂
212 項目(第二レベル)それぞれに1~4点の具体例 3,670 例を作成した。未整備だった環境因子について、模擬症例を用い、認知インタビューを通じて基準案を作成するプロトコルを作成した。
(2)臨床スケールとICF 評価点の項目対応表と点数換算
MMSE・FBS・HDS-R など6 尺度の項目をICF (第2/3レベル) の項目に対応表を作成した。専門職アンケートで換算表を試作し、点数換算表の作成を試行した。
(3)国際的な評価ツールの調査
文献調査を行い、 WHODAS 2.0、ICF コアセット、ClinFIT といった、ICFを基礎とした代表的な臨床ツールについて整理した。
結果と考察
(1-1) 採点マニュアルへの具体例追加:ICFの心身機能・身体構造・活動と参加の第二レベル212項目に対し、医療従事者6名による5,300例の短文症例の評価とリハビリテーション専門職6名による具体例パネル合議を経て、各項目の1〜4点に対応する3,670例の短文症例リストを作成し、ドラフトマニュアルに追加した。
(1-2) 環境因子の評価点基準作成に向けた基礎資料の整備:これまで評価基準が未策定であった環境因子について、Prodingerらの環境ミニマムセット12項目を網羅する模擬症例を15症例(急性期・回復期・生活期各5症例)作成し、リハ専門医のレビューを経て、6名の医療専門職による採点セッションおよび認知インタビュー用の基礎資料と作成プロトコルを確立した。
(1-3) ICFの最新動向の反映:2024年からのICF現代化(LinearizationとFoundationからなる新分類構造への移行)について、WHOの資料に基づきマニュアルへ説明を追加した。
(2-1) 既存評価スケールとICFの対応表作成:MMSE、FBS、TUG、ASIA impairment scale、HDS-R、RSSTを対象に、ICD-11 V章、ICF第二レベル、第三レベル以上の対応項目を含む項目対応表を新規作成した。
(2-2) 点数換算表の予備調査:MMSE、FBS、HDS-Rを対象としたリハビリテーション専門職への点数換算予備調査を実施し、次年度の関連職能団体協力による全国調査の準備を整えた。
(3) 国際動向の把握と成果発信:WHO-FIC協力センターネットワーク年次会議(2025年10月、ジュネーブ)でポスター発表2件、国際リハビリテーション医学会ISPRM年次大会(2025年11月、マラケシュ)で口述発表1件を行い、生活機能・障害リファレンスグループ(FDRG)における普及推進策、ClinFIT等の国際的ICF評価ツールの最新動向を収集した。
結論
今年度は、マニュアルの整備、リファレンスシステムとしてのICFツールの整備、国際動向の把握、により、ICFを臨床に実装するための資料の作成に取り組んだ。これらの取り組みは、疾患を横断してICFを活用できる仕組みを整え、臨床家のフィードバックを反映した採点基準やマニュアルの改訂を行うことで、現場での実用性を向上させることを目的としている。次年度には、環境因子採点基準案の作成と多職種デルファイ法による検証、既存評価スケールとICF評価点との対応に関する全国調査、ならびにフィールドテストを実施し、資料の完成と社会実装の推進に向けた取り組みを進める予定である。

公開日・更新日

公開日
2026-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
202502004Z