文献情報
文献番号
201020004A
報告書区分
総括
研究課題名
受診率向上につながるがん検診の在り方や、普及啓発の方法の開発等に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 大助((財)宮城県対がん協会 がん検診センター)
研究分担者(所属機関)
- 斎藤 博(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター)
- 濱島 ちさと(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター)
- 栗山 進一(東北大学分子疫学分野)
- 平井 啓(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター)
- 小澤 信義(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
16,586,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
科学的根拠に基づいた、系統的かつ具体的ながん検診受診率向上策の開発と、対策型および任意型検診をも含めた新しい受診率計測法の開発が本研究班の目的である。
研究方法
我が国における個別検診の実態を明らかにすると共に、米国・英国におけるがん検診の受診勧奨に関するインセンティブを比較検討した。行動科学理論とソーシャルマーケティングを用いて乳がん検診の受診行動モデルを解明し、検診受診行動ステージに基づくセグメンテーションを行い、層別化された検診未受診者を対象に受診率向上策のRCT試験を行なった。女性特有のがん検診推進事業の影響を検討した。各種検診の実測値が得られる福井県にて受診率調査を行い、調査票による推計値と実測値との比較、国民生活基礎調査との比較を行い、調査票の妥当性の評価を行った。
結果と考察
我が国における対策型検診の受診形態は、集団検診から個別検診へ移行しつつあり、受診率向上には個別検診を担う、かかりつけ医による受診勧奨が効果的である。乳がん検診未受診者、大腸がん検診未受診者を対象とした研究では、行動科学理論とソーシャルマーケティングの手法を用いて対象者の特性に合わせた効果的なメッセージを開発し、網羅的な受診者台帳ファイルによる個別受診勧奨・再勧奨システム(コール・リコールシステム:CRS)を行うことが有効なことが示唆された。
女性特有のがん検診推進事業により、全国では子宮がん、乳がん検診ともに、受診率は2?3倍と大幅に増加していた。これは検診の自己負担金が無料であること以外に、個別受診勧奨などその他の要因が大きいと考えられた。受診率の計測法として標本調査は有力な方法であるが、未回答や記憶違いなどの問題を改善するには限界があった。
女性特有のがん検診推進事業により、全国では子宮がん、乳がん検診ともに、受診率は2?3倍と大幅に増加していた。これは検診の自己負担金が無料であること以外に、個別受診勧奨などその他の要因が大きいと考えられた。受診率の計測法として標本調査は有力な方法であるが、未回答や記憶違いなどの問題を改善するには限界があった。
結論
我が国において大幅な受診率向上と正確な受診率の計測を行うために、特定健診のように健康保険者番号を活用するなど、受診者の意思や記憶と関係なく、網羅的な受診台帳ファイルとの照合により、検診受診者と未受診者が確実に把握できるシステムを構築し、受診率の計測だけではなく、未受診者への再勧奨を確実に行うCRSを構築すべきである。さらに、行動科学理論とソーシャルマーケティングの手法を用いて、層別化された対象者へのテーラーメードのメッセージを届けるシステムをCRSに組み込むことが有用と考える。
公開日・更新日
公開日
2015-05-15
更新日
-