文献情報
文献番号
201020003A
報告書区分
総括
研究課題名
エビデンスに基づいたがん予防知識・行動の普及および普及方法の評価
課題番号
H20-がん臨床・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
山本 精一郎(独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報・統計部 がん統計解析室)
研究分担者(所属機関)
- 溝田 友里(独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報・統計部)
- 倉橋 典絵(独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究)
- 田中 英夫(愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部)
- 佐々木 敏(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻疫学保健学講座社会予防疫学分野)
- 岡 浩一朗(早稲田大学スポーツ科学学術院)
- 別府 文隆(株式会社リクルートドクターズキャリア)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
18,482,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
がん予防に関して、いくつか十分なエビデンスのある生活習慣などがわかっているものの、必ずしも広く実践されているわけではない。そこで、本研究では、エビデンスプラクティスギャップを埋めるため、がん予防知識・行動の普及と普及方法の開発を行う。また、本研究では、がん予防に関する新しい規範を形成し、メディア等を戦略的に活用することで、より広い普及と社会規範としての醸成を目指している。
研究方法
本研究の最大の特色は、ソーシャルマーケティングの手法をがん予防行動の普及に取り入れる点である。ソーシャルマーケティングとは、費用効果を重視し、徹底した市場調査に基づき商品等のプロモーションを行うマーケティング手法を、公衆衛生に取り入れ、一般市民への普及啓発を戦略的に行う取り組みである。H21年度までに行った予防方法、普及方法の検討により、「禁煙・防煙」、「野菜摂取量の増加」、「身体活動の増加」の3つのテーマを柱にするとともに、がん予防の知識と行動を普及させるための教育的なゲーム(シリアスゲーム)の開発を行うこととしている。
結果と考察
最終年度である今年度は、「禁煙・防煙」を中心に進め、「就職のためにタバコを吸わない」というコンセプトについて、ソーシャルマーケティングのステップに沿って実際の普及と評価を行った。普及にあたり、メディアを活用した一大キャンペーンを実施し、調査によるエビデンス作りと調査結果のリリース、大学生を対象とするシンポジウムの開催、ウェブサイトの制作、ユーチューブへの動画配信などを行うとともに、普及効果の測定・評価も行った。本研究の取り組みや調査結果がNHK報道番組で3回、日本経済新聞など6紙の新聞、Yahoo!ニュースなど30以上のポータルサイト、数百のブログなどで紹介され、普及効果の測定・評価においても大きな成果が得られた。1回のキャンペーンでは終わらせず、今後も継続的に活動を行い、「就職のためにたばこを吸わない」という風潮作りを進めていく予定である。
結論
本研究によって、エビデンスに基づき、ソーシャルマーケティングの手法を日本のがん予防方法の普及に活用する方法が、非常に有効な手段であることが明らかとなった。研究期間は今年度で終了するが、今後も継続して、本研究班の取り組みの過程や手法、作成した普及のためのコンセプトや資材を、本研究班ウェブサイトやメディア、報告会などを通じて広く公開するとともに、地域や学校等に提供していく。
公開日・更新日
公開日
2015-05-15
更新日
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