文献情報
文献番号
202501019A
報告書区分
総括
研究課題名
患者ニーズを踏まえた在宅医療提供に向けた多職種連携、タスク・シフト/シェアの推進に向けた課題把握研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25AA2003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 就将(国立大学法人東京科学大学 大学院医歯学総合研究科政策科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 柏木 聖代(国立大学法人東京科学大学 大学院保健衛生学研究科)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
7,039,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、在宅医療現場において最適なタイミングで必要な医療が提供できないため患者が不利益を被る具体的な状況、医師、看護師が実際に果たしている役割・課題について明らかにするとともに、患者ニーズを踏まえた在宅医療提供に向けた多職種連携、タスク・シフト/シェアの推進に向けた課題を把握することを目的とした。
研究方法
令和7(2025)年度は以下の方法で研究を実施した。1)令和6(2024)年度に医療資源の少ない地域に所在する120診療所ならびに53訪問看護ステーションの質問紙調査データを用い、過去6か月以内に在宅医療患者の急な容体悪化の検出、迅速対応、実施された処置、および有害転帰を分析した。2)医師少数地域におけるタスク・シフト/シェアの推進に向けた課題ならびに解決策の検討するために、特定行為研修受講のための代替看護師派遣を実施している地域の関係機関・者へのヒアリング、3)日本の看護師の特定行為研修に関する文献検討、4)プレマリケアにおけるナースプラクティショナー(NP)導入効果に関する文献検討による訪問看護ステーションならびに高齢者施設への特定行為研修修了者の導入効果を測定するための評価指標の検討、5)日本における訪問看護ステーションで従事する特定行為研修修了者の地理的分布の記述、6)令和7(2025)年度に実施した訪問看護ステーションを対象とした全国調査データを用い、特定行為研修を修了した訪問看護師の能力と訪問看護ステーションへの導入効果を検討した。
結果と考察
1)過去6か月以内に在宅医療患者の急な容体悪化が報告されたのは、診療所で32.8%、訪問看護ステーションで64.2%であった。診療所における最も頻度の高い徴候や症状は、呼吸状態の悪化、意識レベルの低下、および心停止であり、訪問看護ステーションでは意識レベルの低下と低酸素血症であった。医療資源の少ない地域においては、訪問看護師が急な容体悪化の把握・初期対応者として、ケアエスカレーション、救急搬送の手配等を行っていることを明らかにした。
2)医師不足、看護師不足などの医療課題を抱えている当該地域では、医師、看護師間でのタスク・シフト/シェアの一方策として、特定行為研修修了者の活用が進められていた。一方、こうした地域において特定行為研修を受講するためには、代替看護師の派遣は不可欠であり、研修修了者がスムーズにその活動を行うためには、特定行為研修修了者を代替看護師として派遣することは効果的であると考えられた。
3)日本の特定行為研修に関する文献検討(67文献)結果、2019年以降に増加傾向がみられ、病院を対象とした研究が半数以上を占めていた。特定行為研修の教育および研修・教育機関に関する研究が多く報告されていた。一方、特定行為研修修了者の導入効果を検証した研究は少なく、在宅医療における報告は見当たらなかった。今後、在宅医療における特定行為研修修了者の導入効果の検証が求められる。
4)プライマリケアにおけるNPの導入効果23件の一次論文のレビューを行った結果、研究デザイン、実施環境、対象集団にはばらつきが見られたものの、NP主導のプライマリケアは概して入院や救急外来受診の減少と関連していた。
5)訪問看護に所属する特定行為研修修了者が配置されている二次医療圏は、大都市型および地方都市型二次医療圏が9割以上であり、過疎地域型二次医療圏での配置は少なく、特に過疎地域型二次医療圏では大きな偏在が生じていることが示唆された。
6) 訪問看護ステーションを単位とした横断調査では、特定行為研修修了者配置と患者アウトカムとの明確な関連を認めなかったものの、特定行為研修修了者を配置している訪問看護ステーションの回答から、利用者・家族の安心感の向上や早期対応体制の強化、利用者の救急外来受診回避に寄与している可能性が示された。また、臨床推論能力尺度の得点は特定行為研修了者の方が高値であったことから、特定行為研修が臨床推論能力の向上に寄与している可能性が示唆された。
2)医師不足、看護師不足などの医療課題を抱えている当該地域では、医師、看護師間でのタスク・シフト/シェアの一方策として、特定行為研修修了者の活用が進められていた。一方、こうした地域において特定行為研修を受講するためには、代替看護師の派遣は不可欠であり、研修修了者がスムーズにその活動を行うためには、特定行為研修修了者を代替看護師として派遣することは効果的であると考えられた。
3)日本の特定行為研修に関する文献検討(67文献)結果、2019年以降に増加傾向がみられ、病院を対象とした研究が半数以上を占めていた。特定行為研修の教育および研修・教育機関に関する研究が多く報告されていた。一方、特定行為研修修了者の導入効果を検証した研究は少なく、在宅医療における報告は見当たらなかった。今後、在宅医療における特定行為研修修了者の導入効果の検証が求められる。
4)プライマリケアにおけるNPの導入効果23件の一次論文のレビューを行った結果、研究デザイン、実施環境、対象集団にはばらつきが見られたものの、NP主導のプライマリケアは概して入院や救急外来受診の減少と関連していた。
5)訪問看護に所属する特定行為研修修了者が配置されている二次医療圏は、大都市型および地方都市型二次医療圏が9割以上であり、過疎地域型二次医療圏での配置は少なく、特に過疎地域型二次医療圏では大きな偏在が生じていることが示唆された。
6) 訪問看護ステーションを単位とした横断調査では、特定行為研修修了者配置と患者アウトカムとの明確な関連を認めなかったものの、特定行為研修修了者を配置している訪問看護ステーションの回答から、利用者・家族の安心感の向上や早期対応体制の強化、利用者の救急外来受診回避に寄与している可能性が示された。また、臨床推論能力尺度の得点は特定行為研修了者の方が高値であったことから、特定行為研修が臨床推論能力の向上に寄与している可能性が示唆された。
結論
医療資源の少ない地域においては、訪問看護師が中心となり、利用者の急な容体悪化の把握・初期対応者として、エスカレーション、救急搬送の手配等を行っていた。さらに、訪問看護ステーションで従事する特定行為研修者は非修了者に比べて、高い臨床推論能力を有しており、特に医療資源の少ない在宅医療現場での活用は、タスク・シフト/シェアや多職種連携の課題解決策として有効である可能性が示唆された。今後、詳細な効果検証を進めていく必要がある。一方で、看護職員数が限られ特定行為研修の受講が困難な離島・へき地における特定行為研修を受講できる環境整備と修了者の活動の普及が課題であることも明らかになった。こうした課題解決策を試行している地域での実施プロセスや実施上の課題の把握、効果検証が求められる。
公開日・更新日
公開日
2026-06-22
更新日
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