文献情報
文献番号
202501016A
報告書区分
総括
研究課題名
同位体分析を用いた戦没者遺骨の所属集団判定の高精度化
研究課題名(英字)
-
課題番号
24AA2009
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
米田 穣(東京大学 総合研究博物館)
研究分担者(所属機関)
- 陀安 一郎(総合地球環境学研究所 基盤研究部)
- 覺張 隆史(金沢大学 古代文明・文化資源学研究所)
- 澤藤 匠(蔦谷 匠)(総合研究大学院大学 統合進化科学研究センター)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
21,116,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、戦没者遺骨収集事業における所属集団判定の精度向上を目的とする。現在、DNA鑑定や形質鑑定、埋葬資料、遺留品等から総合的に判定しているが、環境要因によりDNA取得が困難な事例や他指標の信頼性が乏しい場合が課題である。令和4年度から日本人戦没者の同位体比の確率分布域を作成しているが、日本人である蓋然性を示すのみで外国人の可能性を否定できない。米国人はDPAAにより同位体情報が集積されているが、アジア・太平洋域の現地住民の情報は不足しており、日本人戦没者と現地住民の判別には独自の同位体情報整備が必要である。
研究方法
研究1では、昨年度に採取したインドネシア現代人集団の歯牙104点について、歯冠部からエナメル質粉末を採取して炭酸塩に含まれる炭素・酸素同位体比、歯根部からコラーゲンを抽出して炭素・窒素同位体分析に供して、インドネシア現代人集団データベースを構築した。
研究2では、来年度分析予定のフィリピン現代人集団の試料として、5地域の大学歯学部等で抜去され所有権放棄された歯牙155点を採取し、性別・年齢・居住地域・滞在年数などの情報も収集した。
研究3では、昨年度採取したインドネシア現代人集団103試料についてストロンチウム同位体分析を行った。
研究4では、エナメル質からストロンチウムを単離する可搬式自動前処理装置の試作機に不具合が発生したため設計を見直し、新たに試作機を製造し、コラーゲン用に改造した試作機を設計した。
研究5では、PNG現代人集団データベースと日本人戦没者の同位体データを比較し、2集団で帰属集団判定に有効な統計学的手法を検討した。
研究2では、来年度分析予定のフィリピン現代人集団の試料として、5地域の大学歯学部等で抜去され所有権放棄された歯牙155点を採取し、性別・年齢・居住地域・滞在年数などの情報も収集した。
研究3では、昨年度採取したインドネシア現代人集団103試料についてストロンチウム同位体分析を行った。
研究4では、エナメル質からストロンチウムを単離する可搬式自動前処理装置の試作機に不具合が発生したため設計を見直し、新たに試作機を製造し、コラーゲン用に改造した試作機を設計した。
研究5では、PNG現代人集団データベースと日本人戦没者の同位体データを比較し、2集団で帰属集団判定に有効な統計学的手法を検討した。
結果と考察
研究1と3では、インドネシア現代人集団検体104点について各種同位体分析を実施し、コラーゲンの炭素・窒素同位体比データ104点、歯エナメル質の炭素・酸素同位体比95点、ストロンチウム同位体比103点を得た。先行研究で報告された考古学遺跡の人骨・動物骨の同位体データと比較して、日本人戦没者との比較データして有効でることを確認した。
今年度データを得たインドネシア現代人集団データベースを、日本人戦没者データと比較したところ、5項目のロジスティック回帰モデルは判別的中率87.2%を示した。また、パプアニューギニア現代人集団と確実戦没者で6項目モデルを構築したところ判別的中率94.2%と改善した。
研究2では、フィリピン歯科医師会所属の現地共同研究者から、ルソン島北部50、南部35、パナイ島30、レイテ島30、ミンダナオ島10の抜去歯牙155点を受領し、いずれもインフォームドコンセントを得て日本に持ち帰った。
研究4では、エナメル質からのストロンチウム単離および歯根部からのコラーゲン抽出を行う可搬式自動前処理装置の試作機を新たに設計した。
研究5では、昨年度構築したパプアニューギニア現代人集団データベースと先行研究の同位体データを比較し、統計解析ツールを検討した結果、Pythonのscikit-learnパッケージが有望であることを見出した。
今年度データを得たインドネシア現代人集団データベースを、日本人戦没者データと比較したところ、5項目のロジスティック回帰モデルは判別的中率87.2%を示した。また、パプアニューギニア現代人集団と確実戦没者で6項目モデルを構築したところ判別的中率94.2%と改善した。
研究2では、フィリピン歯科医師会所属の現地共同研究者から、ルソン島北部50、南部35、パナイ島30、レイテ島30、ミンダナオ島10の抜去歯牙155点を受領し、いずれもインフォームドコンセントを得て日本に持ち帰った。
研究4では、エナメル質からのストロンチウム単離および歯根部からのコラーゲン抽出を行う可搬式自動前処理装置の試作機を新たに設計した。
研究5では、昨年度構築したパプアニューギニア現代人集団データベースと先行研究の同位体データを比較し、統計解析ツールを検討した結果、Pythonのscikit-learnパッケージが有望であることを見出した。
結論
令和7年度はインド根下現代人集団104検体について同位体分析を実施し、歯エナメル質の炭素・酸素・ストロンチウム同位体比と、歯根部コラーゲンの炭素・窒素同位体比のデータベースを構築した。硫黄同位体比は測定条件を確立し令和8年度に測定する。インドネシア現代人集団データと日本人戦没者の5項目を統合してロジスティック回帰モデルを構築し、判別的中率は87.2%となった。またパプアニューギニア現代人と日本人戦没者の6項目を統合した場合は、判別的中率は94.2%に改善した。インドネシアとパプアニューギニアのいずれでも複数の同位体比の応用、現地住民と日本人戦没者の所属集団判定に有効であることが示された。令和8年度にはPythonのscikit-learnパッケージを用いてさらなる判別率の向上を目指す。
フィリピンでの有用性は。今年度採取した抜去歯牙155点を令和8年度に各種同位体比を測定して検証する。
また、現地での前処理を可能とするSr同位体分析用の可搬式自動前処理装置の改良と、コラーゲン抽出用の可搬式自動前処理装置を設計し、海外での遺骨収取事業における同位体分析の実現にむけて前進した。
フィリピンでの有用性は。今年度採取した抜去歯牙155点を令和8年度に各種同位体比を測定して検証する。
また、現地での前処理を可能とするSr同位体分析用の可搬式自動前処理装置の改良と、コラーゲン抽出用の可搬式自動前処理装置を設計し、海外での遺骨収取事業における同位体分析の実現にむけて前進した。
公開日・更新日
公開日
2026-06-22
更新日
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