急性期、回復期、慢性期の入院患者の疾病や治療を踏まえた患者の状況等に応じた看護・ケアに関する指標の開発及び評価体系の検討に資する研究

文献情報

文献番号
202501014A
報告書区分
総括
研究課題名
急性期、回復期、慢性期の入院患者の疾病や治療を踏まえた患者の状況等に応じた看護・ケアに関する指標の開発及び評価体系の検討に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24AA2007
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
松田 晋哉(福岡国際医療福祉大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 林田 賢史(東京大学大学院・医学系研究科・ナーシングデータサイエンス講座)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
9,150,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では急性期、回復期、慢性期の入院患者の疾病や治療を踏まえた患者の状況等に応じた看護・ケアに関する指標を開発し、診療報酬における入院医療の評価に用いるための検証を行うことを目的とする。
研究方法
本研究では1) 診断群分類支援機構を通じて収集したDPCデータ(様式1、EFファイル、Hファイル)を用いて病棟区分別に見たB項目の平均得点の分析とその結果に対するアンケート調査、2) 看護護必要度の変遷の整理【研究1】および【研究2】2018年度以降の看護必要度を含む患者データを使用した定量的な研究を対象とした文献レビュー【研究2】を行った。【研究1】では看護必要度の変遷について、「一般病棟用」の看護必要度に含まれる項目・定義、改訂の概略を整理した。また、【研究2】では看護必要度を用いた定量的な研究の文献レビューを行った。対象文献は、日本の急性期病院で、一般病棟、ハイケアユニット、集中治療室で治療を受けた患者を含む研究のうち、2018年度以降の入院患者の看護必要度データを定量的な分析に用いた研究である。医中誌WebとMEDLINEを用いて検索した。研究のプロファイル、使用された看護必要度の項目、分析での使用方法、看護必要度に関する分析結果等を抽出した。研究の概要は集計し、対象となった研究の概要を一覧に整理した。
結果と考察
1) 病棟区分別に見たB項目の平均得点の分析:病棟区分別に状態像ベースのB得点(以下、B得点1)、実施ベースのB得点(以下、B得点2)を分析した結果、いずれの得点も急性期一般入院料1から急性期一般入院料5に行くにつれB項目の平均得点は高くなっていた。また、特定機能病院入院基本料1(7:1)が最も低い値となっていた。この傾向は、平均年齢、75歳以上患者割合、要介護者割合、介護施設からの搬送割合と相関を示しており、高齢者対応という視点からは、現行の入院区分と重症度、医療看護必要度の対応は整合性があると考えられた。2) 重症度、医療看護必要度に関するアンケート結果の分析: 3213施設に送付し、656名から回答が得られた(20.4%)。看護必要度を病棟の看護師配置の調整に用いていると回答した者は267名(40.7%)であった。「活用している」と回答した者で、「調整ツールとして有効」と回答した者は128名(47.9%)であった。
A項目が{看護の手間を計測するのに有効」と回答した者は377名(57.5%)、B項目が{看護の手間を計測するのに有効」と回答した者は488名(74.4%)、C項目が{看護の手間を計測するのに有効」と回答した者は371名(56.6%)(図表5-5)であった。「看護必要度の記録の負担が大きい」と回答した者は403名(61.4%)であった。
2)看護護必要度の変遷及び文献レビュー:看護に関する業務量を客観的に把握し、適正な看護職員配置を診療報酬制度に反映させる取り組みは、1990年代に開始された。2002年度改定では、特定集中治療室において管理が必要な重症患者を対象に「重症度」が初めて導入された。2004年度にはハイケアユニットを対象とした「重症度・看護必要度」が導入された。さらに2006年度に7対1入院基本料が新設され、2008年度にはその算定要件として一般病棟用の重症度・看護必要度が位置づけられたことで、急性期一般病棟における看護量の評価指標としての役割が拡大した。2014年度には、名称が現在の「重症度、医療・看護必要度」へと変更された。2018年度改定では、医療従事者による評価を行う従来の看護必要度Ⅰに加え、診療行為実績データを活用する看護必要度Ⅱが導入され、2020年度以降、一定規模以上の医療機関において段階的に看護必要度Ⅱの要件化が進められていた。また看護必要度は、急性期入院医療における各入院基本料の算定要件として、一定基準を満たす患者の割合を評価する指標として活用されている。看護必要度に関する文献レビューでは、28件の文献が対象となった。研究対象施設数は、1施設を対象とした研究が18件(64.3%)で最多であった。研究対象患者数は5,000人未満の研究が10件(35.7%)と最多であった一方、100,000人以上を対象とした大規模研究も4件(14.3%)あった。
結論
看護負荷及び病棟マネジメントにおける重症度、医療看護必要度の有効性が確認された。ただし、排せつや認知症の評価など項目の追加と見直しが必要であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2026-06-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-22
更新日
-

文献情報

文献番号
202501014B
報告書区分
総合
研究課題名
急性期、回復期、慢性期の入院患者の疾病や治療を踏まえた患者の状況等に応じた看護・ケアに関する指標の開発及び評価体系の検討に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24AA2007
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
松田 晋哉(福岡国際医療福祉大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 林田 賢史(東京大学大学院・医学系研究科・ナーシングデータサイエンス講座)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では急性期、回復期、慢性期の入院患者の疾病や治療を踏まえた患者の状況等に応じた看護・ケアに関する指標を開発し、診療報酬における入院医療の評価に用いるための検証を行うことを目的とする。
研究方法
本研究では1) 診断群分類支援機構を通じて収集したDPCデータ(様式1、EFファイル、Hファイル)を用いて、①看護必要度のB項目で収集されているADLの状況が、医療資源の必要度(診療区分別出来高換算コスト、在院日数)、退院経路(家庭への退院、転院、介護施設等への入所)に及ぼす影響を傷病別(DPC6桁)、性別、要介護度別に検討した。DPCでは入退院時のBarthel Indexの情報が収集されていることから、このスコアとB項目のスコアとの関係性についても検討した。また、重症度、医療看護必要度の各項目(A、B,C)の入院期間中の推移についても検討を行った。DPCとしては、肺炎(DPC6=040080)、股関節大腿近位骨折(DPC6=160800)を分析対象とした。なお、股関節大腿近位骨折については、手術例と非手術例とに区分して分析を行った。さらに、病棟区分別に見たB項目の平均得点の分析とその結果に対するアンケート調査を行った。2) 看護護必要度の変遷の整理【研究1】および【研究2】2018年度以降の看護必要度を含む患者データを使用した定量的な研究を対象とした文献レビュー【研究2】を行った。
結果と考察
1) 本分析の結果、内科症例と外科症例では重症度、医療看護必要度のA、B、C項目の動向が異なることが明らかとなった。内科症例では入院直後にA項目、B項目のスコアが高くなった後、漸減するが、A項目は10日前後から、そしてB項目は60日前後から再度上昇する。他方、C項目は入院経過とともに上昇する傾向を示していた。他方、外科症例である股関節大腿近位骨折の手術例について重症度、医療介護必要度のスコアと1日当たり出来高換算コストとの関連を検証した結果をみると、外科症例の入院中の評価については、現行のA,B,C項目を用いた評価方法で、おおむね問題がないことが示唆された。病棟区分別に見たB項目の平均得点の分析:病棟区分別に状態像ベースのB得点(以下、B得点1)、実施ベースのB得点(以下、B得点2)を分析した結果、いずれの得点も急性期一般入院料1から急性期一般入院料5に行くにつれB項目の平均得点は高くなっていた。また、特定機能病院入院基本料1(7:1)が最も低い値となっていた。この傾向は、平均年齢、75歳以上患者割合、要介護者割合、介護施設からの搬送割合と相関を示しており、高齢者対応という視点からは、現行の入院区分と重症度、医療看護必要度の対応は整合性があると考えられた。2) 重症度、医療看護必要度に関するアンケート結果の分析: 3213施設に送付し、656名から回答が得られた(20.4%)。看護必要度を病棟の看護師配置の調整に用いていると回答した者は267名(40.7%)であった。「活用している」と回答した者で、「調整ツールとして有効」と回答した者は128名(47.9%)であった。
2)看護護必要度の変遷及び文献レビュー:看護に関する業務量を客観的に把握し、適正な看護職員配置を診療報酬制度に反映させる取り組みは、1990年代に開始された。その基準は診療報酬改定ごとに見直されてきた。看護必要度に関する文献レビューでは、28件の文献が対象となった。研究対象施設数は、1施設を対象とした研究が18件(64.3%)で最多であった。研究対象患者数は5,000人未満の研究が10件(35.7%)と最多であった一方、100,000人以上を対象とした大規模研究も4件(14.3%)あった。
結論
1)本研究結果より、重症度、医療看護必要度の評価を、入院期間中の看護の手間からみた入院基本料の評価に用いるためには、内科系、外科系に区分して評価することが望ましい可能性が示唆される。また、入院時の重症度、医療看護必要度の評価を退院調整に活用することの体系化も必要であると考える。この際、現状のB項目の評価で収集されていない入浴、排便・排泄の評価をどうするかが課題であると考える。さらに、病棟区分別に見た分析では全体としてはB項目の平均得点は急性期一般入院料1から5になるにつれて高くなっており、しかもこの傾向は各病棟の要介護高齢者の割合、介護施設からの入院患者割合、死亡率、平均年齢と相関していた。アンケート結果においても、B項目が看護負荷を評価するものとして妥当であるという回答が最も多かった。
2)文献レビューの結果、看護必要度は単なる算定指標に留まらず、インシデント発生や退院支援のタイミング予測といったヘルスケア・エビデンス創出の基盤として広く寄与していることが確認された。

公開日・更新日

公開日
2026-06-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202501014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
・ 重症度、医療看護必要度(以下、看護必要度)のB項目で収集されているADLの状況が、医療資源の必要度(診療区分別出来高換算コスト、在院日数)、退院経路(家庭への退院、転院、介護施設等への入所)に及ぼす影響を傷病別(DPC6桁)、性別、要介護度別に検討した。その結果、入院時の看護必要度を退院調整などの連携に用いることの有効性が示唆された。
臨床的観点からの成果
・ DPCデータの入退院時のBarthel IndexスコアとB項目のスコアとの関係性についても検討した結果、両者の相関関は高く、代替性があることが明らかとなった。
・ 重症度、医療看護必要度の各項目(A、B、C)の入院期間中の推移についても検討を行った。その結果、内科症例と外科症例とでは入院期間中の得点推移が異なることが明らかとなり、看護必要度による評価を区別する必要性が示唆された。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
・ 病棟区分別に見たB項目の平均得点の分析を行った。その結果、B項目の平均得点は急性期一般入院料1から5になるにつれて高くなっており、しかもこの傾向は各病棟の要介護高齢者の割合、介護施設からの入院患者割合、死亡率、平均年齢と相関していた。以上より、令和6年の診療報酬改定における看護必要度による病棟区分の妥当性が検証された。この分析結果については、厚生労働省の関係者を交えた班会議で共有され、省内での検討に活用された。
その他のインパクト
・ 分析結果をもとに、全国の一般病棟を持つ病院に看護必要度に関するアンケート調査を行った。その結果、看護必要度の病棟マネジメントにおける活用の有効性が確認された。他方で、介護施設等との連携に関して、看護必要度では排泄、入浴、認知機能、譫妄に関する情報がなく、それを追加すべきであるという意見が多いことが明らかとなった。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2026-06-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
202501014Z