市町村における包括的支援体制の体制整備の評価枠組みの構築のための研究

文献情報

文献番号
202501004A
報告書区分
総括
研究課題名
市町村における包括的支援体制の体制整備の評価枠組みの構築のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23AA2002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
永田 祐(学校法人同志社 同志社大学 社会学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大夛賀 政昭(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 川村 岳人(立教大学 コミュニティ福祉学部)
  • 榊原 美樹(明治学院大学 社会学部)
  • 清水 潤子(武蔵野大学 人間科学部社会福祉学科)
  • 黒川 文子(愛知淑徳大学 福祉貢献学部)
  • 相馬 大祐(長野大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
10,241,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、平成29年の社会福祉法改正によって市町村が整備されることに努めることとされた包括的な支援体制及び令和2年の同法改正においてその整備に向けた事業として法制化された重層的支援体制整備事業の体制整備に向けた評価枠組みを明らかにすることである。
研究方法
本研究は、指標班と伴走班の二つのアプローチにより実施した。指標班では、デルファイ変法により開発した評価指標について、全国調査データを用いた統計分析(因子分析、項目応答理論、パス解析)により妥当性と構造を検証するとともに、短縮版指標および研修パッケージを開発し、その実用性を検証した。伴走班では、複数自治体を対象とした参加型アクションリサーチにより、ロジックモデルやTheory of Changeを用いた評価活動を実施し、そのプロセスと効果を分析した。
結果と考察
本年度の研究では、包括的な支援体制整備の評価枠組みの実用化に向け、指標班による評価指標の精緻化と社会実装、および伴走班による自治体における評価活動の実践的展開の両面から成果が得られた。指標班では、全国調査データの分析により、体制整備が「基盤」と「活動」の二層構造から成ることを明らかにし、とりわけ「マインドの醸成」や「分析・見直し」といった要素が事業の進展に強く影響することが示された。また、短縮版指標や研修パッケージの開発・試行を通じて、評価指標が自治体の現状把握と対話を促す実践的ツールとして機能することが確認された。一方、伴走班では、複数自治体における参加型評価の実践を通じて、ロジックモデルやTheory of Change等を用いた評価枠組みの構築と、そのプロセスが関係者の認識や関係性に与える影響を検証した。その結果、評価活動は単なる成果測定にとどまらず、関係主体間の学習や価値の共有、実践の方向づけを促すプロセスとして機能することが明らかとなった。また、地域支援や相談支援、アウトリーチ等の各領域において、評価を通じて実践の構造化や課題の可視化が進み、計画への反映や改善に向けた示唆が得られた。さらに、個別分野の研究からは、地域支援の評価における質的側面の重要性や、アウトリーチ機能の多様性、組織規模に応じた評価手法の違いなど、包括的支援体制の評価に固有の課題が明らかとなった。総じて本年度は、評価指標によるマクロな把握と、伴走型評価によるミクロな構造整理を接続することで、評価活動そのものが体制整備を促進する実践的枠組みの有効性が実証された。
結論
本研究により、包括的な支援体制の整備に対する評価は、指標による現状把握と、対話を通じた評価プロセスを組み合わせることで、より実効性の高いものとなることが示された。指標班の成果は、体制整備の構造や進展要因を明らかにするとともに、自治体が自らの状況を可視化し改善を検討するための実践的ツールを提供した。一方、伴走班の成果は、評価活動が関係者間の共通理解の形成や協働の促進を通じて、体制整備そのものを前に進める機能を有することを示した。今後は、これらの成果を研修や計画策定プロセスに組み込み、評価を業務の一部として定着させるとともに、都道府県による後方支援を通じて普及を図ることで、自治体による自律的かつ継続的な体制整備の推進に資することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2026-06-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2026-06-22
更新日
-

文献情報

文献番号
202501004B
報告書区分
総合
研究課題名
市町村における包括的支援体制の体制整備の評価枠組みの構築のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23AA2002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
永田 祐(学校法人同志社 同志社大学 社会学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大夛賀 政昭(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 黒川 文子(愛知淑徳大学 福祉貢献学部)
  • 榊原 美樹(明治学院大学 社会学部)
  • 清水 潤子(武蔵野大学 人間科学部社会福祉学科)
  • 川村 岳人(立教大学 コミュニティ福祉学部)
  • 相馬 大祐(長野大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、平成29年の社会福祉法改正において市町村の努力義務として位置づけられた「包括的な支援体制の整備」および、令和2年の法改正により制度化された「重層的支援体制整備事業」の体制整備に向けた評価枠組みを構築することを目的とした。包括的な支援体制は、複数の施策・事業・主体から構成されるため、従来の目標管理型評価では捉えにくい特徴を有している。本研究では、体制整備の状況を把握するための評価指標を開発するとともに、評価活動そのものが関係者の学習や協働を促進し、体制整備を前進させる可能性に着目した。
研究方法
本研究は、①評価指標の開発と検証を行う「指標班」と、②自治体に伴走しながら参加型評価を実践する「伴走班」の二班構成で実施した。指標班では、デルファイ変法により評価指標を開発し、全国調査データを用いて妥当性・信頼性を検証した。さらに、因子分析やパス解析を通じて、体制整備と重層事業進展の関連構造を分析した。伴走班では、9自治体を対象に、ロジックモデル等を活用した評価ワークショップを実施し、評価活動を通じた変化や実践改善プロセスを分析した。
結果と考察
指標班では、包括的な支援体制整備が、「現状把握」「ビジョン作成」「施策立案」「分析・見直し」等からなる【活動】と、それを支える「協議の場」「人材育成」「マインドの醸成」等の【基盤】による二重構造として整理できることが示された。特に「マインドの醸成」および「分析・見直し」が重層事業の進展に有意な影響を及ぼしていた。また、短縮版指標と研修パッケージを開発し、都道府県研修で試行した。伴走班では、自治体ごとに評価対象の境界を設定し、対話を通じて施策群を構造化する評価活動を展開した。その結果、評価活動は、評価枠組みの構築だけでなく、関係者間の共通理解、学習、協働関係の形成を促進する「評価のプロセス活用」として機能していた。
結論
本研究は、包括的な支援体制整備を、「基盤」と「活動」の循環構造として捉える評価モデルを提示するとともに、評価を単なる成果測定ではなく、学習と協働を通じて体制整備を推進するプロセスとして再定義した点に意義がある。標準的指標による「マクロな自己診断」と、伴走型評価による「ミクロな対話的構造化」を組み合わせることで、評価は、自治体における合意形成やガバナンス形成を支える政策ツールとなりうる。今後は、評価活動を地域福祉計画や重層事業実施計画に組み込み、都道府県による後方支援を通じて普及を図ることが求められる。

公開日・更新日

公開日
2026-06-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202501004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1)研究成果
 包括的な支援体制及び重層的支援体制整備事業を対象に、評価指標の開発と自治体における評価活動を通じた評価枠組みを構築した。全国調査や評価伴走を通じて、その妥当性や活用可能性を検証した。
(2)研究成果の学術的・社会的意義
 従来の目標管理型評価では捉えにくい包括的支援体制に対し、「測る評価」と「つくる評価」を統合した評価モデルを提示し、評価理論の発展と自治体実践の改善に寄与した。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
 本研究で開発した評価指標や評価活動の手法は、自治体における計画策定、体制整備の進捗管理、人材育成等に活用されている。評価指標は長野県、奈良県、神奈川県の市町村職員研修で活用された。また、豊田市では地域福祉計画、坂井市では保健福祉総合計画の策定に研究成果が反映された。さらに、都城市では地域福祉活動計画の協働策定、東海村では重層事業の進捗管理、倉敷市では相談支援体制の改善検討に活用されている。
その他のインパクト
 本研究を通じて、自治体職員、社会福祉協議会職員、研究者、評価実務家等による継続的な研究会・学習ネットワークが形成され、自治体間の相互学習や実践知の共有が促進された。また、評価を単なる成果測定ではなく、関係者の対話や学習、協働を促進する手法として捉える考え方が参加自治体に浸透し、評価活動そのものを体制整備に活用する実践が広がった。

発表件数

原著論文(和文)
14件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
11件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
榊原美樹・大口達也・大夛賀政昭・黒川文子他
市町村福祉行政における包括的な支援体制の整備に関する評価モデルの構築
社会福祉学 , 印刷中 (印刷中) , 印刷中-印刷中  (2026)
原著論文2
清水潤子
地域福祉活動における評価意識と評価実践
社会福祉学 , 66 (1) , 85-99  (2025)
原著論文3
清水潤平・松本道也・清水潤子
多職種協働型による包括的な支援体制の評価実践
地域福祉実践研究 , 17 , 119-129  (2026)

公開日・更新日

公開日
2026-06-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
202501004Z