がん治療の副作用軽減ならびにがん患者のQOL向上のための漢方薬の臨床応用とその作用機構の解明

文献情報

文献番号
201019052A
報告書区分
総括
研究課題名
がん治療の副作用軽減ならびにがん患者のQOL向上のための漢方薬の臨床応用とその作用機構の解明
課題番号
H22-3次がん・一般-035
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
上園 保仁(独立行政法人国立がん研究センター 研究所 がん患者病態生理研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 塚田 俊彦(独立行政法人国立がん研究センター 研究所 家族性腫瘍研究分野)
  • 乾 明夫(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 行動医学)
  • 浅香 正博(北海道大学大学院 医学研究科 がん予防内科学講座)
  • 上田 陽一(産業医科大学 医学部 第1生理学)
  • 藤宮 峯子(札幌医科大学 医学部 解剖学第2講座)
  • 木下 優子(日本大学 医学部 緩和ケア室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
43,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん患者の抗がん剤療法による副作用の改善、ならびにがん悪液質の症状改善に、漢方薬である六君子湯が有効であるか明らかにするために、六君子湯の作用メカニズムを基礎レベルで解明することを目的とした。さらに臨床における六君子湯の有効性を検証するための臨床研究実施に向けてプロトコール作成を行った。加えて、全国のがん診療連携拠点病院ならびに緩和ケア施設を有する病院において緩和ケアを担当している医師を対象に「緩和医療における漢方療法の実態把握、ならびに漢方薬使用に関する意識調査」のアンケート調査を行った。
研究方法
新規ヒトがん悪液質モデルラットの構築を行った。またさまざまながん悪液質モデル動物を用いて六君子湯の効果についての基礎研究を行った。抗がん剤投与時ならびにがん悪液質で起こる食思不振に対する六君子湯の改善効果を検証する臨床研究プロトコール作成を行った。またプロトコール作成のデータ収集のため、後ろ向き研究を行った。緩和ケア担当医師へのアンケート調査は無記名の自記式質問紙郵送にて行った。
結果と考察
六君子湯は、本研究で確立したヒトがん細胞接種がん悪液質モデルラットや高齢モデルマウスなどの種々の動物モデルにおいて食思改善作用を示した。またストレスモデルマウスの胃運動を改善した。さらにこれらの効果を示す六君子湯の成分同定ならびにそのシグナル伝達機構の一部を解明した。
プロトコールは、現在作成途中で、緩和ケア臨床研究データセンターにおいて修正改良を行っているところである。
アンケート結果より、がん拠点病院などで緩和ケアを担当している医師の6割は何らかの漢方薬を症状改善に用いており、また7割が今後新たに種々の漢方薬を使用したいと思っていることがわかった。漢方薬を処方する際に医師が重要であると思っていることは、漢方薬が「症状改善効果(副作用軽減作用)」「がん終末期のQOL低下を改善する」「それ自身副作用が少ない」ことであることがわかった。
結論
緩和ケアを担当している医師へのアンケート結果から、漢方薬を広く臨床応用するには、漢方薬の臨床効果ならびに作用メカニズムのエビデンス確立が重要であることがわかった。さらに詳細に本研究を継続し、作用メカニズムの詳細な解明ならびに質の高い臨床試験を行っていくことが肝要である。

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019052Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
55,102,000円
(2)補助金確定額
55,102,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
利息79円および自己資金21円を含む。

公開日・更新日

公開日
2017-09-05
更新日
-