文献情報
文献番号
201019050A
報告書区分
総括
研究課題名
QOLの向上をめざしたがん治療法の開発研究
課題番号
H22-3次がん・一般-033
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
江角 浩安(独立行政法人 国立がん研究センター東病院)
研究分担者(所属機関)
- 林 隆一(独立行政法人 国立がん研究センター東病院)
- 井本 滋(杏林大学医学部付属病院)
- 齋藤 典男(独立行政法人 国立がん研究センター東病院)
- 佐々木 寛(東京慈恵会医科大学)
- 荒井 保明(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院)
- 池田 公史(独立行政法人 国立がん研究センター東病院)
- 武藤 学(京都大学大学院医学系研究科)
- 全田 貞幹(独立行政法人 国立がん研究センター東病院)
- 宮下 光令(東北大学大学院医学系研究科)
- 小松 浩子(慶応大学看護医療学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第３次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
75,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書（概要版）
研究目的
QOLの高いがん治療法の為の、基盤的な技術・概念を生み出し、臨床導入を行う。１）根治性を犠牲にせず、失われる生体機能の最小化を可能とする新しい治療法の開発、２）がんの治療あるいは進展に伴って損なわれた生体機能、生活の質の回復・向上のための治療法の開発、３）がん治療やがんの進行の後にも残された機能の活用によるＱＯＬ向上の技術開発、４）がん治療に伴い傷害されるＱＯＬの多様性、個別性を超えた評価法の開発を目指す。
研究方法
１）治療困難な膵癌の化学療法の開発、及び牛蒡子エキスの第一相、第二相試験の実施、２）食道、頭頚部早期がん発生メカニズム解明から表在進展の取り扱い、喉頭温存の基準の確立、３）骨盤内臓全摘術回避適応判断法の開発、４）婦人科がん術後下肢リンパ浮腫予防手術の開発臨床試験、５）乳癌術後機能温存のため免疫療法の検討、６）有痛性骨盤内腫瘍ラジオ波凝固療法の第I/II相試験、有痛性骨腫瘍経皮的セメント注入術第II相試験の実施、７）治療後消化管狭窄対策の手技の標準化、８）消化管術後患者の＜食＞リハビリテーションプログラムの作成、９）臓器別QOL評価指標開発。
結果と考察
アルクチゲニン含有エキス臨床試験開始準備した。６月から登録予定。頭頸部早期がん病変に MET、CXCR7、CD44の関与の解明、手術適応のためのDual-energy Source CTの有用性を確立した。経口腔的下咽頭がん切除術式のため新たな針状メスを開発した。臨床試験を予定。「子宮頚癌および後腹膜開腹術の術後下肢リンパ浮腫改善に関する検討」の症例登録を終了し経過観察中。骨癌外科では、膀胱尿道吻合の縫合不全率が高いことにたいしFlapの臨床比較試験を準備。頭頸部領域の化学放射線治療完遂のため「皮膚炎管理プログラム」を開発し「皮膚炎管理プログラムを用いた頭頸部放射線治療患者管理：前向き介入試験」を終了、解析中。がん患者の主観的QOLを測定する尺度として、HCC18,BIL21,HDC29日本語版の開発を行った。
結論
がん患者の保持すべき、改善すべきＱＯＬは個別性が高い。本研究班では、機能を保持する事、失われた機能を再建する事、代償する事などを中心に研究、医療側からの視点での研究が中心であった。看護の視点を活用し、より患者側からの評価を取り入れることを試みた。また、国際的なＱＯＬの評価尺度を導入するための準備を開始した。本研究は広い意味での緩和医療技術を適用し、治療法を緩和医療の観点から作り直す作業として行ってきた。今後は、患者側の評価を取り入れた試を強化する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2015-10-06
更新日
-