新戦略に基づく抗がん剤の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201019045A
報告書区分
総括
研究課題名
新戦略に基づく抗がん剤の開発に関する研究
課題番号
H22-3対がん・一般-028
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松村 保広(独立行政法人 国立がん研究センター東病院 臨床開発センター がん治療開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 西山 伸宏(東京大学大学院医学研究科臨床医工学部門 )
  • 丸山 一雄(帝京大学薬学部)
  • 土原 一哉(国立がん研究センター東病院 臨床開発センター がん治療開発部)
  • 百瀬 功(財団法人微生物化学研究会 微生物化学研究センター沼津創薬医科学研究所)
  • 上野 隆(順天堂大学医学部生化学第一講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
38,548,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
工学系マテリアルとしてはポリマーミセルによる抗がん剤デリバリー、リポソームによる遺伝子デリバリー、生物系マテリアルとしては抗体抗がん剤複合体の有用性を検討する。いずれは抗体と工学系マテリアルとのハイブリッド化を行う。がんと血液凝固といった病態生理学に立脚した新たなDDSの開発戦略を展開する。
研究方法
1) 外因系凝固のトリガー因子のTissue Factor (TF) に対する抗体の開発とDDSへの応用
2) オキサリプラチンの活性体DACHPtの環状RGDペプチド付加ミセル内包体の細胞毒性評価
3) バブルリポソームと超音波によるインターロイキン12遺伝子治療の開発
4) 新規プロテアソーム阻害剤の開発
5) オートファジー阻害剤のスクリーニング
6)  BRCA2遺伝子変異陽性膵癌PARP1阻害剤の感受性の検討。
結果と考察
結果
1) 抗ヒト、抗マウスTF抗体の作製に成功し、ヌードマウス移植ヒト腫瘍に両者とも選択的に集積した。悪性グリオーマでTFが高発現 していることを確認した。
2) RGD付加DACHpt内包ミセルは一部のがん細胞で毒性の増強が確認された。
3)バブルリポソーム・超音波によりインターロイキン12遺伝子導入に成功し、顕著な抗腫瘍効果を認めた。
4) 新規のプロテアソーム阻害剤チロペプチン誘導体を見いだした。
5) 新規のオートファジー阻害剤CB112B03とCB153C07を見いだした。
6)  膵がん細胞Capan-1においてもBRCA変異陽性乳癌モデルで提唱されているSynthetic lethalityが成立していることが示唆された。
考察
DDS製剤は工学系のナノ粒子に抗体などのパイロット分子を搭載することにより有効なナノキャリアになることが証明された。分子標的剤もDDSとの組み合わせが重要と考える・

結論
第2世代のDDSは工学系マテリアルと生物系マテリアルのハイブリッドであり、さらなる効果および安全性の増強が認められ、臨床評価すべきと考える。

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019045Z