新しい薬物療法の導入とその最適化に関する研究

文献情報

文献番号
201019043A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい薬物療法の導入とその最適化に関する研究
課題番号
H22-3次がん・一般-026
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
田村 友秀(国立がん研究センター中央病院 呼吸器腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 南 博信(神戸大学医学部附属病院)
  • 小泉 史明(独立行政法人国立がん研究センター研究所)
  • 桑野 信彦(九州大学大学院薬学研究院)
  • 掛谷 秀昭(京都大学大学院薬学研究科)
  • 杉本 芳一(慶應義塾大学薬学部)
  • 岡本 勇(近畿大学医学部)
  • 野口 眞三郎(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 西尾 和人(近畿大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
56,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
分子標的治療薬を含む新しい薬物療法の最適化を目指し、臨床検体を用いたトランスレーショナル研究を中心とした基礎・臨床の一連の研究により、効果・毒性のバイオマーカー探索、感受性/耐性規定因子の解析を行う。さらに見出された新たな標的に対する創薬を試みる。
研究方法
本研究組織は、研究代表者の他、8名の分担研究者で構成する。基礎研究においては、施設の倫理規定等に従って、動物実験には適正飼育を行い、苦痛を最小限に抑えるよう配慮した。臨床研究においては、ヘルシンキ宣言、臨床研究およびヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針等に従い、IRB承認、被験者の同意を必須とし、個人情報を厳守した。
結果と考察
今年度は、以下の成果を得た。(1) TP53変異よりTP53-signiureが化学療法効果と良好な相関を示した。(2) EGFR-TKIによる急性肺障害に関わる多型ABCB1のrs28364274を同定した。(3) 第2世代EGFR-TKIはT790M耐性細胞のTS発現を抑制し、TS標的抗癌剤の効果を増強した。(4) HGFはSnailを介して肝癌のEMTを誘導するが、ソラフェニブにより抑制される。(5) ABCB5はタキサン耐性を誘導し、vanadate-sensitive ATPase 活性を持つ。(6) プロテオミクス解析で、Trastuzumab耐性に関わるタンパクを同定した。(7) EGFR-TKI耐性に、PTEN発現と転写因子Egr-1の核内発現消失が関与した。(8) HIF活性化を抑制する化合物としてアンサマイシン系化合物cytotrienin Aを見出した。
結論
TP53-signiureが化学療法効果と良好に相関した。 EGFR-TKIによる急性肺障害に関わる多型を同定した。第2世代EGFR-TKIはTS標的抗癌剤の効果を増強する。HGFは肝癌のEMTを誘導し、ソラフェニブで抑制される。Trastuzumab耐性関連タンパクを同定した。 EGFR-TKI耐性にPTENが関わる。HIF抑制作用からリード化合物を見出した。
本研究で得られた、分子標的薬の効果毒性など薬力学的作用のメカニズム、規定因子の解明は、治療効果の予測バイオマーカーとして有望であり、最適
化/個別化治療への応用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-01-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019043Z