ゲノミクス解析に基づく白血病の新規分類法開発

文献情報

文献番号
201019041A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノミクス解析に基づく白血病の新規分類法開発
課題番号
H22-3次がん・一般-024
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
間野 博行(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 加納 康彦(栃木県立がんセンター)
  • 宮崎 泰司(長崎大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は既に収集・保存した上記白血病芽球バンク検体を用い、次世代シークエンサーによる超高精度大量シークエンス解析を行うと共にmiRNAの大量プロファイルも取得し、これらの情報に基づく白血病の新規分類法を提案すると共に、新たな分子標的療法の開発を目指す。
研究方法
造血幹細胞特異的マーカーであるCD133に対するアフィニティカラムを用いて、白血病を含む各種特発性血液疾患患者骨髄より造血幹細胞分画を純化保存する。これらBlast Bank検体に対して、次世代シークエンサーを用いて遺伝子融合、点突然変異、配列挿入・欠失の全てを検出可能な方法として、ゲノムの一部を純化するのではなく、特定のcDNAをexon captureする手法「cDNA-capture法」の開発を行う。また同定した異常遺伝子については適宜機能アッセイによりその発がんへの関与を検証する。
結果と考察
cDNA-capture法のパイロット実験としてBCR-ABL陽性慢性骨髄性白血病(CML)細胞株KCL22由来cDNAに対してカスタムexon capture法による純化を行い、次世代シークエンサー解析を行ったところ、得られたデータの約8割が標的遺伝子cDNA由来であることが確認され、さらにこのリード配列データからアミノ酸置換を伴う点突然変異を143種類同定したのみでなく、BCR-ABL融合点をまたぐcDNA断片を77リード検出する事に成功した。一方、新たな白血病治療薬として注目されているbendamustineに対して有効な治療プロトコールを検討したところ、cytarabineらと相乗作用、doxorubicinらと相加効果、methotrexateと拮抗作用を示した。また60例の正常核型AMLに対して発がん関連遺伝子変異を解析したところ、CEBPA-DM症例が全例、MPO高発現群に属している事が明らかになった。
結論
本研究事業において新たな高効率変異スクリニーニング技術自体の開発を行い、それによって多くの配列異常遺伝子を同定することに成功した。またこれらの解析を通して、白血病の薬剤感受性に関連するMPO発現量が特定のゲノム変異にリンクすることも明らかになり、ゲノム変異がMPOの発現量へ影響を与えている可能性も示唆された。

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019041Z