内視鏡による新たな胃がん検診システム構築に必要な検診方法の開発とその有効性評価に関する研究

文献情報

文献番号
201019039A
報告書区分
総括
研究課題名
内視鏡による新たな胃がん検診システム構築に必要な検診方法の開発とその有効性評価に関する研究
課題番号
H22-3次がん・一般-022
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
濱島 ちさと(独立行政法人 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 検診研究部 検診評価研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 岸本 拓治(鳥取大学 医学部 社会医学講座 環境予防医学分野)
  • 渋谷 大助(財団法人 宮城県対がん協会 がん検診センター)
  • 小越 和栄(新潟県立がんセンター 新潟病院)
  • 後藤 励(甲南大学 経済学部)
  • 謝花 典子(労働者健康福祉機構 山陰労災病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省がん研究助成金研究班による「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」では、死亡率減少効果が証明された胃X線検査が推奨され、胃内視鏡検査、ヘリコバクタ・ピロリ抗体及びペプシノゲン法は証拠が不十分とされた。X線検診が実施継続に問題を抱える一方で、胃内視鏡検査は人間ドックや一部の対策型検診でも普及している。新たな胃がん検診の基盤となる内視鏡検診の有効性の確立が急務の課題であることから、症例対照研究による評価を行うと共に、内視鏡検診能の検討、無作為化比較対照研究の計画立案を行う。
研究方法
1)鳥取県4市(鳥取市、米子市、倉吉市、境港市)を対象とした内視鏡検診の症例対照研究を行った。
2)ヘリコバクタ・ピロリ抗体及びペプシノゲン法の結果別4グループを一定期間追跡した研究を PubMedより抽出し、メタ・アナリシスを行った。
3)内視鏡胃がん検診の処理能を検討するために、鳥取県米子市で内視鏡検診を実施している2施設で稼働分析を行った。
4)内視鏡検診を実施している鳥取県米子市医師会・新潟県新潟市医師会の内視鏡検診を担当する医師と、山形県山形市医師会で主として消化器内科・外科を主たる専門とする医師を対象として内視鏡処理能についてアンケート調査を行った。
5)内視鏡検診の有効性を評価するための介入研究の研究計画を立案した。
結果と考察
1)鳥取県4市(鳥取市、米子市、倉吉市、境港市)を対象とした症例対照研究により、診断日より12か月以内に内視鏡受診により33%の胃がん死亡率の減少が示唆された。
2)ヘリコバクタ・ピロリ抗体(HP)及びペプシノゲン(PG)法によるリスク別の胃がん発症について3研究のメタ・アナリシスを行った。本研究からは、リスク別の胃がん発症が異なることは示唆されるが、胃がん死亡率減少との関連は不明である。また、リスク別発症についてもサンプル数を増やし、追跡期間を延長しての検討が必要と考えられた。
3)稼働分析・アンケート調査から、内視鏡検診を行うための基礎要件や改善点が明らかとなった。
4)内視鏡検診の有効性評価のための無作為化比較対照試験・無作為割付なしの比較対照試験のプロトコルを作成した。
結論
1)鳥取県症例対照研究により内視鏡検診の有効性が示唆された。
2)内視鏡処理能検討のためアンケート調査・稼働分析を行った。
3)無作為化比較対照試験・無作為割付なしの比較対照試験のプロトコルを作成した。

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019039Z