低線量らせんCTを用いた革新的な肺がん検診手法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201019037A
報告書区分
総括
研究課題名
低線量らせんCTを用いた革新的な肺がん検診手法の確立に関する研究
課題番号
H22-3次がん・一般-020
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中山 富雄(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター がん予防情報センター 疫学予防課)
研究分担者(所属機関)
  • 長尾 啓一(国立大学法人 千葉大学総合安全衛生管理機構)
  • 新妻 伸二(新潟労働衛生協会 プラーカ健康増進センター)
  • 吉村 明修(日本医科大学 呼吸器・感染・腫瘍内科)
  • 中川 徹((株)日立製作所 日立健康管理センタ)
  • 西井 研治(岡山県健康づくり財団附属病院)
  • 岡本 直幸(神奈川県立がんセンター 臨床研究所 がん予防・情報研究部門)
  • 佐藤 雅美(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科  呼吸器外科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
17,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国で従来行われてきた肺がん検診の効果に一定の効果があることは確認されているが、その効果は十分ではなく、革新的な診断技術を用いた検診手法の開発と導入が期待されている。本研究は、末梢性肺がんを主な標的とした低線量CT検診の有効性を評価するコホート研究(研究A)と、肺門部肺がんを標的とした喀痰細胞診の有効性を評価する研究(研究B)を行い、研究A,Bから得られた成績を元に、医療経済学的に最適化された肺がん検診システムを確立することを目的とする。
研究方法
(研究A)平成12年に設定したCT検診受診者と通常検診受診者のコホートの第3期異動調査(平成18年1月~20年12月)を、住民基本台帳による照合と死亡小票との照合による死因把握を行った。(研究B)肺門部扁平上皮がんの罹患状況の地域差が喀痰細胞診の判定のバラツキによるものかを明らかにするために、細胞検査士25名による宮城県でD以上と判定された21症例のブラインド判定を行った。
結果と考察
(研究A) 平成23年3月の時点で、今回の追跡対象となるCT検診群28,281人と通常検診群44,494人の異動情報は、ほぼ把握できた。死亡者に対しては死亡票と照合することで死因を特定した。今後解析を実施することで、平均追跡期間約8年でのCT検診の死亡率減少効果が明らかになると考えられる。
(研究B)上皮内がんあるいは境界病変がすでに診断されている21症例の発見のきっかけとなった喀痰細胞診を細胞検査士25名で再検討したところ、21例中10例の標本において陰性(B or C)という判定がなされた。もっとも多く陰性と判定されていた標本では25名中8人(33%)が陰性と判定していた。宮城県での喀痰細胞診判定の推移を1982年から2007年までグラフ化したところ、検診開始当初は、年度によっては1.4%程度であったC判定が、経験を重ねる毎に低下し、0.1%以下に収束していく傾向が見られていた。喀痰細胞診判定のバラツキは大きく、肺門部扁平上皮癌の罹患のバラツキの一因として考えられた。
結論
CT肺がん検診の有効性を評価するコホート研究は第3期追跡調査をほぼ終了した。今後解析を行い、平均追跡期間8年での死亡率減少効果を明らかにすることができる。喀痰細胞診の評価研究では、前年度明らかになった肺門部扁平上皮がんの罹患率のバラツキの一因として喀痰細胞診の判定のバラツキがあることが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019037Z