多角的解析によるEBウイルス発癌を抑制する新規薬剤開発とワクチン開発

文献情報

文献番号
201019035A
報告書区分
総括
研究課題名
多角的解析によるEBウイルス発癌を抑制する新規薬剤開発とワクチン開発
課題番号
H22-3次がん・一般-018
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
鶴見 達也(愛知県がんセンター(研究所) 腫瘍ウイルス学部)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 宏(名古屋大学大学院医学系研究科 微生物免疫学 (ウイルス学講座))
  • 伊藤嘉規(名古屋大学大学院医学系研究科(小児科学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Epstein-Barrウイルス(EBV)陽性がんに対する治療法を開発するためウイルス発癌遺伝子であるLMP1の発現制御機構及びEBV再活性化の分子機構を明らかにし、それを制御する新規薬剤の開発、さらにヒトに近いレベルでの薬剤のスクリーニング系を確立し、薬効を確認することを目的とした。
研究方法
LMP1遺伝子の転写を制御する宿主因子を網羅的に同定するために、cDNA発現ライブラリーを用いたスクリーニングを遂行した。薬剤ライブラリを用いた薬剤の探索では標準阻害剤キットを使用し、EBV陽性NK細胞リンパ腫であるSNK6細胞を用いて、LMP1遺伝子の発現を抑制するような薬剤を探索した。

EBV潜伏感染からの再活性化に関与する転写因子の同定では再活性化に必須なBZLF1遺伝子の転写を制御する宿主因子を網羅的に同定するために、cDNA発現ライブラリーを用いたスクリーニングを遂行した。

摘出扁桃を用いたヒトリンパ組織モデル系の樹立では、EBVは野生株B95-8およびEGFPを発現する組み換えEBVを用い、EBV培養上清を,口蓋扁桃組織小片に直接かけて感染させ、上清および単核球のウイルスDNA量を定量的PCR法にて測定した。
結果と考察
LMP1遺伝子の転写を制御する宿主因子の同定では、これまでに2万個以上のクローンを精査し、15のヒットを得た。その内C/EBPファミリーについて解析を開始した。薬剤の探索では、現在までにLMP1遺伝子発現を抑制し、SNK6細胞の増殖を強く抑制することのできる候補物質を一つ得た。

EBV潜伏感染からの再活性化に関与する転写因子の同定では、2万個のクローンを精査して11のヒットを得た。このうち転写を抑制するJDP2 について解析を開始した。

摘出扁桃にEBV感染後、ウイルスDNA量、潜伏感染遺伝子の発現、感染12日後からは、溶解感染遺伝子の発現が確認された。EBVは主としてCD19陽性B細胞に感染していることを確かめた。さらに、抗ウイルス薬アシクロビルは濃度依存性にウイルス増殖抑制を示した。
結論
LMP1遺伝子の転写を制御する宿主因子の同定では、2万個以上のクローンを精査し、15のヒットを得え、そのうちのC/EBPファミリーについて解析を開始した。またLMP1遺伝子発現を抑制し、EBV陽性がん細胞の増殖を強く抑制することのできる候補物質を一つ得た。

EBV潜伏感染からの再活性化に関与する転写因子の同定では、11のヒットを得え、このうち転写を抑制するJDP2 について解析を開始した。

摘出扁桃を用いたヒトリンパ組織モデル系の樹立に成功した。

公開日・更新日

公開日
2015-10-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019035Z