ヒト腫瘍の発生・進展・悪性化に関わる分子病態の解析とその臨床応用

文献情報

文献番号
201019023A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト腫瘍の発生・進展・悪性化に関わる分子病態の解析とその臨床応用
課題番号
H22-3次がん・一般-006
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
瀬戸 加大(愛知県がんセンター研究所 遺伝子医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 中西 速夫(愛知県がんセンター研究所 腫瘍病理学部)
  • 関戸 好孝(愛知県がんセンター研究所 分子腫瘍学部)
  • 稲垣 昌樹(愛知県がんセンター研究所 発がん制御研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,625,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は1)造血器腫瘍においてはリンパ腫の発生・進展・悪性化に関与する分子病態の解析と責任遺伝子の単離及びその診断への応用、2)消化器がんにおいては胃がんおよび大腸がんの分子病態の解明とその診断治療への応用、3)悪性中皮腫においては細胞株を用いて増殖やアポトーシス等のシグナル伝達系の小分子阻害剤による増殖阻害効果を検討、4)細胞骨格・分裂・極性における分子機構の解析によるがんの発生・進展・悪性化に関わる分子機構を解明する。
研究方法
1)EBウイルスが関与する節外性NK/Tリンパ腫鼻型(ENKTL)のゲノム異常解析と遺伝子発現解析の統合的解析による責任遺伝子の探索、2)HER2陽性胃がんおよびTrastuzumab耐性胃がんに対するLapatinibの抗腫瘍効果とその機構、3)悪性中皮腫におけるMerlin(NF2遺伝子産物)-Hippoシグナル伝達系関連シグナルの研究、4)トリコプレイン、アルバトロスの分化と増殖における役割の検討
結果と考察
1)ENKTLの6q21欠失領域の責任遺伝子はFOXO3とPRDM1であり、機能的にも確認した。発現解析並びに機能解析が決定に有力であった。2)HER2陽性胃がん細胞株に対し、Trastuzumabがin vivoの増殖抑制に有用であり、Lapatinib(Dual EGFR/HER2阻害剤)の抗腫瘍効果は、PI3K/Aktシグナル経路の遮断による。3)中皮腫瘍の13q12ゲノム欠失領域の責任遺伝子はLATS2遺伝子であり、Merlin(NF2遺伝子産物)-Hippoシグナル伝達系が80%の症例に関与していることが判明した。4)アルバトロスとトリコプレインが分化と増殖期において、細胞内の局在を変えつつ機能していることを明らかにした。
結論
1) ENKTL症例における6q21ゲノム異常領域の責任遺伝子がFOXO3とPRDM1であることを解明した。2)消化器がんの研究では、Trastuzumab耐性株に対してLapatinibとTrastuzumabの併用療法がHER2陽性胃がんならびにTrastuzumabn耐性胃がんに対する新しい治療法となりうることを示唆した。3)中皮腫瘍の研究では、YAP転写コアクチベータの恒常的活性化が引き起こされていることを明らかにした。4)アルバトロスとトリコプレインは分化と増殖に関わるbi-playerである。

公開日・更新日

公開日
2015-10-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019023Z