日中間におけるがんの予防・検診・診断・治療の向上のための調査研究

文献情報

文献番号
201019016A
報告書区分
総括
研究課題名
日中間におけるがんの予防・検診・診断・治療の向上のための調査研究
課題番号
H21-3次がん・一般-014
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
井上 真奈美(独立行政法人国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 祖父江 友孝(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報統計部)
  • 片野田 耕太(独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情)
  • 林 櫻松(リン インソン)(愛知医科大学医学部 公衆衛生学講座)
  • 田中 政宏(大阪府立成人病センター がん予防情報センター 企画調査課)
  • 戸塚 ゆ加里(独立行政法人国立がん研究センター研究所 発がんシステム研究分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
18,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成20年に厚生労働省と中国衛生部間において、衛生及び医学科学に関する協力覚書が締結され、この中で、がんは、優先領域として位置づけられ、日中間の研究連携を促進することが奨励されている。これを受けて、本研究は、日中間におけるがん統計等のがん対策に必要な基礎データの相互比較・分析を行うとともに、がんの要因探索のための研究を展開していく基盤となる、両国の作業チームの編成と情報収集、日中間研究連携の具体的活動計画の策定、両国間の専門家の交流やがん予防対策研究に関するシンポジウムの開催などを調整、実現することを目的とする。
研究方法
本年度は、がん予防対策に関連する分野を軸に昨年度編成した、がん予防、がん統計、たばこ対策、疫学研究、がん関連感染症、環境発がん物質の作業チーム毎に、関係出版物やウェブサイト等の利用可能資料や科学専門誌の文献検索、及び日中専門家による会議開催や相互訪問により、情報収集を進め、本研究において設定した取り組むべきがん予防対策の主要課題について研究連携を進めた。
結果と考察
がん予防研究分野では、日中両国におけるがん要因の人口寄与割合を比較した結果、両国とも喫煙と感染が最も高かった。がん統計分野では、胃、食道、大腸、乳房、子宮、前立腺がんについて、相互に罹患および死亡データを共有して解析することで、中国、日本に共通する動向と異なる動向を確認した。たばこ対策分野では、喫煙者の禁煙行動を比較した結果、両国とも禁煙への積極性や試行率が低く、適切な禁煙サポートの利用が不十分であることが示唆された。がん疫学研究分野では、胃がんや食道がんの高率地域における新たな疫学研究手法や多角的アプローチによるリスク要因の同定について研究連携の可能性を確認した。がん関連感染症分野では、肝炎ウイルスの肝がんへの影響は、肝細胞がんでは日本・中国において明確な差がない一方、肝内、肝内胆管がんでは中華圏においてそのリスクが高く、ウイルス遺伝子型含めた検討が必要であると示唆された。環境発がん物資分野では、日本と中国に共通した環境発がん物質のヒト発がんへの関与に関して研究連携が可能であることを確認した。
結論
がん予防・対策に関して検討した各分野について、研究連携の可能な課題が明らかとなった。来年度も引き続き、各分野において具体的な研究テーマを設定し、適時適切な日中研究連携を進めていく。

公開日・更新日

公開日
2015-10-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019016Z