がん性疼痛患者のQOL向上のための橋渡し研究連携拠点の構築

文献情報

文献番号
201019013A
報告書区分
総括
研究課題名
がん性疼痛患者のQOL向上のための橋渡し研究連携拠点の構築
課題番号
H21-3次がん・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
山田 芳嗣(東京大学大学院 医学系研究科外科学専攻生体管理医学講座麻酔学)
研究分担者(所属機関)
  • 眞下 節(大阪大学 医学部附属病院)
  • 小川 節郎(日本大学 医学部附属病院)
  • 細川 豊史(京都府立医科大学 附属病院)
  • 植田 弘師(長崎大学大学院 薬学系研究科)
  • 池田 和隆(東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所 分子精神医学)
  • 藤原 康弘(国立がん研究センター中央病院 臨床試験治療開発部)
  • 廣瀬 宗孝(福井大学 医学部附属病院)
  • 服部 政治(癌研有明病院 麻酔科)
  • 住谷 昌彦(東京大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん性疼痛の制圧を目指す橋渡し研究連携拠点を基礎医学者と臨床医が構築し、新規治療法の開発研究seedsの探索に加え、がん性疼痛患者の病態に応じたオーダーメイド医療を展開し麻薬性鎮痛薬の適正使用を普及すること、治療抵抗性がん性疼痛の征圧を目的とする。
研究方法
1.臨床現場のニーズに応える基礎研究シーズの探索と開発
a)難治性がん性神経障害性疼痛の発現機序解明とその治療応用、b)麻薬性鎮痛薬に対する耐性形成のメカニズムを解明する。
2.新たな橋渡し研究に向けた臨床試験プロトコールの作成
3.がん性疼痛に対する橋渡し研究の実践:がん性疼痛患者の遺伝的素因に着目した麻薬性鎮痛薬の必要量の決定や新規治療法の探索のために一塩基多型を調査する。
結果と考察
1.臨床現場のニーズに応える基礎研究シーズの探索と開発
a)ミクログリアの活性化が神経障害性疼痛発症に関与し抗菌薬ミノサイクリンがミクログリア活性化を抑制し鎮痛作用を示した。ミノサイクリンはNMDA受容体NR2AサブユニットおよびBDNFの発現抑制により麻薬性鎮痛薬の耐性発現を抑制した。臨床患者を対象としたミノサイクリンのopen label試験を計画中である。b)抗腫瘍効果を持つ抗Trk-A受容体ペプチドの侵害受容性/炎症性疼痛と神経障害性疼痛に対する鎮痛効果から新規鎮痛薬のseeds開発を行った。c)脊髄セロトニン受容体がストレス誘発性疼痛モデルでの麻薬性鎮痛薬耐性に関連していることを明らかにした。
2.新たな橋渡し研究に向けた臨床試験プロトコールの作成
国際疼痛学会が企画する疼痛を対象として臨床試験プロトコール作成の推奨事項を基に、麻薬性鎮痛薬を使用中のがん性疼痛を対象に想定した臨床試験プロトコールを開発した。
3.がん性疼痛に対する橋渡し研究の実践
a)がん開腹術後創部痛(侵害受容性疼痛)患者を対象にセロトニン受容体遺伝子多型によって麻薬性鎮痛薬に対する感受性が異なることを明らかにした。b)日本人がん関連疼痛患者の疼痛強度と炎症促進サイトカインであるレジスチンに関する一塩基多型が関連する可能性が示唆され、症例を追加して検証中である。
結論
がん性疼痛の征圧に向けて基礎研究の観点と臨床ニーズの観点の両方が相互作用的に研究展開している。基礎研究シーズの開発を実臨床に展開することを念頭におき臨床研究にも重点を置いている。

公開日・更新日

公開日
2015-10-05
更新日
-

収支報告書

文献番号
201019013Z