生殖補助医療により生まれた児の長期予後の検証と生殖補助医療技術の標準化に関する研究

文献情報

文献番号
201018018A
報告書区分
総括
研究課題名
生殖補助医療により生まれた児の長期予後の検証と生殖補助医療技術の標準化に関する研究
課題番号
H22-次世代・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
吉村 泰典(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 苛原 稔(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 梅澤 明弘(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所生殖・細胞医療研究部)
  • 竹下 俊行(日本医科大学付属病院産婦人科)
  • 齊藤 英和(独立行政法人国立成育医療研究センター母性医療診療部)
  • 緒方 勤(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所小児思春期発達研究部)
  • 久慈 直昭(慶應義塾大学医学部)
  • 兼子 智(東京歯科大学市川総合病院産婦人科)
  • 有馬 隆博(東北大学未来医工学治療開発センター)
  • 宇津宮 隆史(セントルカ産婦人科)
  • 田中 温(セントマザー産婦人科医院)
  • 末岡 浩(慶應義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
37,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では第一に、生殖補助医療(以下ART)由来児の精神的・身体的発達を含む長期予後調査、第二にARTの品質管理と次世代への影響の検証、第三に生殖医療の新たな枠組み構築という、三つの課題を実現することを目的とした。
研究方法
長期予後調査関しては、不妊夫婦の長期予後への意識調査、および先行調査として現在1-2歳の子供を持つART妊娠例にアンケート調査を送付した。またARTの品質管理と次世代への影響の検証に関してはPrader-Willi症候群(PWS)における分子遺伝学的解析と先天性ゲノムインプリンティング病に関する発症頻度調査を行った。生殖医療の新たな枠組み構築について、本年度は広汎性子宮頸部摘出術後のARTによる妊娠の周産期予後について解析を行った。
結果と考察
長期予後調査に関しては、第一に不妊夫婦はART出生児の予後調査の必要性は認識しているが、データは医療機関同士での共有によるシステムを望み、母子健康手帳利用は希望しないものが多い。第二に、現在1-2歳の子供を持つART妊娠例3346症例、ART以外の不妊症妊娠症例1066症例、および自然妊娠例1810症例に対し、母子手帳に記載された身体発育・精神運動発達に関する質問事項、KIDS乳幼児発達スケールの3種からなるアンケート調査を送付し、来年度解析を予定している。
ARTの品質管理に関しては、第一に高齢出産が母性ダイソミー発症の交絡因子であることをPWSにおける分子遺伝学的解析から明らかにした。第二に先天性ゲノムインプリンティング病に関する発症頻度調査を行い、Beckwith-Wiedemann症候群、Silver-Russell症候群は最近5?10年間に急増していることがあきらかになった。
生殖医療の新たな枠組み構築について、広汎性子宮頸部摘出術後のART妊娠では予防的頸管縫縮術を行った症例であっても妊娠28週未満の早産分娩が起こる危険性が高く、不妊治療を要した症例で高くなる傾向が示唆された。

結論
現在わが国で不妊治療をうけている夫婦の長期予後調査に対する意識調査から調査の必要性を認識している事が明らかになってきたことから、個人情報保護と抵触しない同意確認体系を構築することが必要である。
ARTの品質管理と次世代への影響の検証に関しては、インプリント病の頻度が増えていること、および交絡因子として出産年齢の高齢化が関係していることがあきらかになった。

公開日・更新日

公開日
2011-09-14
更新日
-

収支報告書

文献番号
201018018Z