小児心不全に対する細胞治療と単心室症由来人工多能性幹(iPS)細胞の樹立による次世代心筋再生医療法の開発

文献情報

文献番号
201018016A
報告書区分
総括
研究課題名
小児心不全に対する細胞治療と単心室症由来人工多能性幹(iPS)細胞の樹立による次世代心筋再生医療法の開発
課題番号
H22-次世代・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
王 英正(岡山大学病院 新医療研究開発センター 再生医療部門)
研究分担者(所属機関)
  • 佐野 俊二(岡山大学医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)
  • 伊藤 浩(岡山大学医歯薬学総合研究科 循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
複雑心奇形である機能的単心室症に対する修復術後遠隔期における循環不全は、従来の治療法では救命が期待できない重篤な心疾患であり、新たな治療法の開発が注目されている。本研究は、
1. 末期小児心不全に対する心臓内幹細胞を用いた自家細胞移植療法の第I相臨床試験の実施。
2. 機能的単心室症由来の心臓内幹細胞より人工多能性幹(iPS)細胞を作成し、心臓自己再生プログラムの解明。
3. 同定した心筋細胞分化誘導因子群による成熟心筋細胞への再プログラム化を目的とする。
研究方法
1. 岡山大学病院の治験センター及び遺伝子・細胞治療センターと連携をとり、臨床研究プロトコルを作成し、倫理委員会での承認後、厚生労働省へ審査資料報告を行う。
2. 学内承認受けている“ヒト心臓組織を用いた幹細胞研究”に則り、単心室症及び二心室の心疾患症例からiPS細胞をそれぞれ樹立する。
結果と考察
1. 平成22年3月に「機能的単心室症に対する自己心臓内幹細胞移植の第1相臨床試験」のプロトコルが岡山大学倫理委員会で承認され、同年5月に厚生科学審議会に申請し、平成23年1月4日に実施承認された。平成23年4月26日に第1症例に対して、世界初の冠動脈内注入法による細胞移植を実施した。細胞移植後の経過として、不整脈及び微小な心筋梗塞などの有害事象の発生もなく経過良好で、5月3日に岡山大学病院を退院された。5月24日に細胞移植後1か月目の心機能評価を行い、心駆出率は11%、心筋重量は18%とそれぞれお有意に向上した。
2. 平成21年12月より岡山大学倫理委員会の承認のもと、小児心臓手術の際に切除する余剰心臓組織用いて、ヒト心臓幹細胞クローンを精製しOct3/4/Klf4/Sox2/c-mycの4因子を細胞内導入することでヒトiPS細胞を樹立することに成功した。

結論
1. 平成23年4月26日ならびに5月17日に行われた世界初の機能的単心室症に対する心臓内幹細胞自家移植療法の安全性確認により、今後プロトコル通りに目標症例数である7症例まで安全性確認を主要エンドポイントとする第1相臨床試験を継続的に実施する。全症例に細胞移植後1年まで追跡調査し、安全性の評価を行う。
2. ヒト単心室心由来のiPS細胞ならびに二心室心のヒトiPS細胞における包括的遺伝子プログラムの解析を進めることで、ヒト心臓における自己再生機構を明らかにし、次世代の再生医療法の開発につなげていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-09-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201018016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,000,000円
(2)補助金確定額
26,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2014-05-23
更新日
-