小児先天性疾患および難治性疾患における臨床的遺伝子診断の基盤整備

文献情報

文献番号
201018014A
報告書区分
総括
研究課題名
小児先天性疾患および難治性疾患における臨床的遺伝子診断の基盤整備
課題番号
H21-子ども・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
緒方 勤(独立行政法人国立成育医療研究センター 研究所分子内分泌研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 大喜多 肇(独立行政法人国立成育医療研究センター 小児血液・腫瘍研究部)
  • 福嶋 義光(信州大学医学部 遺伝医学・予防医学講座)
  • 斎藤 加代子(東京女子医科大学・遺伝子医療センター 遺伝医学)
  • 松原 洋一(東北大学医学部 遺伝病学分野 臨床分子遺伝学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
23,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、小児先天性疾患および難治性疾患の臨床的遺伝子診断の継続的実施を可能とする基盤を整備することである。本邦における遺伝子解析研究は、新規あるいは同定直後の既知遺伝子を対象としてなされ、臨床応用としての遺伝子診断は、その情報が公開され一般医師に広く認知されることで需要が高まる。しかし、この段階では研究メリットに乏しく、遺伝子診断の継続が困難となっている。本研究の必要性は、この乖離を埋めることにある。
研究方法
本研究の遂行にあたっては本研究で実施した遺伝子検査については、10学会が2003年に制定した「遺伝学的検査に関するガイドライン 」およびヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成17年6月文部科学省厚生労働省経済産業省告示第1号)に従っている。また、国立成育医療センターおよび各検体の収集施設において予め倫理委員会の承認を得た後、書面によるインフォームド・コンセントを取得している。
結果と考察
主たる成果は以下の通りである。(1)ミスセンス置換が、たとえ多数の健常者に見いだされなくとも病的とは断定できないことなど、遺伝子診断の有用性と共に、限界と留意点を明確に示した。(2) パラフィン切片を用いた腫瘍性疾患の遺伝子診断が可能であることを示した。(3)「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(案)に記載すべき内容の検討を行い、新ガイドライン「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」に記載する内容を提唱した。(4) 遺伝カウンセリング体制の実態調査により、医師と非医師の間の連携や臨床遺伝専門医の資格取得の意志を過半数で確認した。(5) 受益者負担としての遺伝子診断体制を、オーファンネットジャパンが、かずさDNA研究所と共同で確立した。(6) 遺伝医学系統講義の教育ツールの作成とe-learning システムの構築:倫理、カウンセリングを含む基本的な遺伝学の教育を目的として、日本人類遺伝学会および全国遺伝子医療部門連絡会議の協力を得て、18項目からなる遺伝医学系統講義のDVD収録すると共に、全国遺伝子医療部門連絡会議のホームページからの研修を可能とした。(7)上記のような様々な情報を研究班から発信するために、ホームページを設置した。
結論
上記の成果は、本邦における臨床的遺伝子診断の推進に大きく貢献すると期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-05-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
201018014Z