アナフィラトキシン阻害ペプチドの実用化推進研究

文献情報

文献番号
201015052A
報告書区分
総括
研究課題名
アナフィラトキシン阻害ペプチドの実用化推進研究
課題番号
H20-トランス・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 秀親(医療法人さわらび会 福祉村病院 長寿医学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 奥田 研爾(医療法人さわらび会 福祉村病院 長寿医学研究所)
  • 戸苅 創(名古屋市立大学 医学部)
  • 祖父江 和哉(名古屋市立大学 医学部)
  • 岡田 則子(名古屋市立大学 医学部)
  • 多田 豊曠(名古屋市立大学 看護学部)
  • 宮原 亮(京都大学 医学部)
  • 今井 優樹(名古屋市立大学 医学部)
  • 太田 里永子(名古屋市立大学 医学部)
  • 前田 康博(名古屋市立大学 薬学部)
  • 西田 修(藤田保健衛生大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
67,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は蛋白質ペプチド鎖内に、相互にアンチセンスペプチドとして対応する配列が常に存在することを発見し、アンチセンスホモロジーボックス(AHB)と命名した(Nature Med. 1: 894, 1995)。AHB部分のペプチド断片で蛋白質の機能を阻害できることも立証した(Peptides,19:211,1998;J. Immunol., 157: 4591, 1996)。その知見を基に任意のペプチド鎖に対する相補性ペプチドを自動設計するプログラムを考案し、C5aアナフィラトキシン(特許第4106691号)を特異的に阻害するペプチドを創生できた。C5aを阻害する相補性ペプチドであるPepA (J.Immunol.172:6382,2004)のN末をアセチル化したAcPepAはエンドトキシンショック病態のカニクイザルを救命できた。重篤な敗血症患者の救命にAcPepAが有用であることをIRBの承認を得たプロトコールで医師主導型臨床治療研究を実施し救命薬開発を目指す。
研究方法
(1)前臨床安全性試験をスギ生物科学研究所㈱及び㈱新日本科学に委託して実施した。(2)前臨床安全性試験で安全性を確証し、正常人での安全性試験を実施するための実験計画を作成し福祉村病院及び名古屋市立大学病院のIRB(臨床試験審査委員会)に臨床研究実施の申請を行う。臨床治験登録(社団法人日本医師会治験促進センター)は Phase I試験ID「JMA-IIA00027」で登録した(平成21年4月6日登録)。(3)臨床治療研究を名古屋市立大学病院のIRBに提出し計画の承認を求める。
結果と考察
致死量LPSを投与したカニクイザルにAcPepAを静脈内持続投与して救命したカニクイザルの血漿を解析し、AcPepAの投与でHMGB1の上昇が抑えられていた。ブタ新生児の回盲部を結札穿孔した致死的急性腹膜炎モデルでも救命効果を認めたが、この場合にもHMGB1の上昇が抑えられていた。C5aを阻害することにより、HMGB1の放出を抑えサイトカインストームの悪循環を遮断できることが分かった。C5aは従来のC5aRの他に新たに発見されたC5L2にも反応し、この刺激が炎症細胞にHMGB1を放出させて炎症増悪を始動すると考えられた。 サル及びラットでの前臨床安全性試験で有害事象は検出されなかった。
結論
炎症細胞膜上に炎症時に発現誘導されるC5L2にC5aが反応するとHMGB1の放出を起こし、炎症の増悪反応が起こる。このC5aの作用をAcPepAが抑制することによりHMGB1の放出が抑制され、炎症増悪反応が遮断されてゼプシス病態の治療に役立つ。

公開日・更新日

公開日
2011-06-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201015052B
報告書区分
総合
研究課題名
アナフィラトキシン阻害ペプチドの実用化推進研究
課題番号
H20-トランス・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 秀親(医療法人さわらび会 福祉村病院 長寿医学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 奥田 研爾(医療法人さわらび会 福祉村病院 長寿医学研究所 )
  • 戸苅 創(名古屋市立大学 医学部)
  • 祖父江 和哉(名古屋市立大学 医学部)
  • 岡田 則子(名古屋市立大学 医学部)
  • 多田 豊曠(名古屋市立大学 看護学部)
  • 宮原 亮(京都大学 医学部)
  • 今井 優樹(名古屋市立大学 医学部)
  • 太田 里永子(名古屋市立大学 医学部)
  • 前田 康博(名古屋市立大学 薬学部)
  • 西田 修(藤田保健衛生大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は蛋白質ペプチド鎖内に、相互にアンチセンスペプチドとして対応する配列が常に存在することを発見し、アンチセンスホモロジーボックス(AHB)と命名した(Nature Med. 1: 894, 1995)。その知見を基に任意のペプチド鎖に対する相補性ペプチドを自動設計するプログラムを考案し、それを活用してC5aアナフィラトキシンを特異的に阻害するペプチド(特許第4106691号)を創生できた。C5aを阻害する相補性ペプチドのPepA (J.Immunol.172:6382,2004)のN末アミノ酸をアセチル化したAcPepAはエンドトキシンショックのカニクイザルを救命できた。敗血症患者の救命にAcPepAが有用であることをIRBの承認プロトコールで医師主導型臨床治療研究を実施し救命薬としての開発を目指す
研究方法
(1)前臨床安全性試験をスギ生物科学研究所㈱及び㈱新日本科学に委託して実施した。(2)前臨床安全性試験で安全性を確証し、正常人での安全性試験を実施するための実験計画を作成し福祉村病院及び名古屋市立大学病院のIRB(臨床試験審査委員会)に臨床研究実施の申請を行う。臨床治験登録(社団法人日本医師会治験促進センター)は Phase I試験ID「JMA-IIA00027」で登録した(平成21年4月6日登録)。(3)臨床治療研究を名古屋市立大学病院のIRBに提出し計画の承認を求める。
結果と考察
致死量LPSを投与したカニクイザルにAcPepA投与で救命したカニクイザルの血漿を解析し、AcPepAの投与でHMGB1の上昇が抑えられていた。ブタ新生児の回盲部を結札穿孔して起こした致死的急性腹膜炎モデルでも救命効果を認め、この場合にもHMGB1の上昇が抑えられていた。C5aを阻害することにより、HMGB1の放出を抑えサイトカインストームの悪循環を遮断することが分かった。C5aは従来から知られていたC5aRの他に新たに発見されたC5L2にも反応し、この刺激が炎症細胞にHMGB1を放出させて炎症増悪を始動すると考えられた。 サル及びラットでの前臨床安全性試験での有害事象は検出されなかった。
結論
炎症細胞膜上に発現誘導されるC5L2にC5aが反応してHMGB1の放出させ、炎症反応の増悪循環反応が起こる。C5aの作用を抑制するとHMGB1の放出が抑制され、炎症増悪反応が遮断されてゼプシス病態の治療に役立つ。

公開日・更新日

公開日
2011-06-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201015052C

収支報告書

文献番号
201015052Z