急性心不全に対する選択的アルドステロン受容体の有効性を評価する臨床研究プロトコール作成研究

文献情報

文献番号
201015042A
報告書区分
総括
研究課題名
急性心不全に対する選択的アルドステロン受容体の有効性を評価する臨床研究プロトコール作成研究
課題番号
H22-臨研推・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
北風 政史(独立行政法人国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 良三(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 和泉 徹(北里大学 医学部 )
  • 松崎 益徳(山口大学大学院 医学系研究科)
  • 濱崎 俊光(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 浅沼 博司(京都府立医科大学)
  • 朝倉 正紀(国立循環器病研究センター)
  • 山本 晴子(国立循環器病研究センター)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター)
  • 横山 広行(国立循環器病研究センター)
  • 神崎 秀明(国立循環器病研究センター)
  • 嘉田 晃子(国立循環器病研究センター)
  • 土井 香(国立循環器病研究センター)
  • 上坂 浩之(大阪大学 臨床医学工学融合研究教育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急性心不全患者数が増加し、急性心不全に対する治療開発の必要性は高まっている。従来の急性心不全に対する治療は、救命率向上や症状の改善に主眼が置かれていたが、心不全急性期治療に臓器保護という考えを取り入れることが重要であると考え、新たな臨床試験の計画立案を目的とした。心不全急性期には、アルドステロン産生が亢進しており、慢性心不全患者に対するアルドステロン拮抗薬の長期予後改善効果が示されている。心不全急性期にアルドステロンを遮断する治療を行うことにより、急性期に心筋障害を軽減することを期待できると考え、急性心不全患者における選択的アルドステロン拮抗薬による有効性を評価する臨床研究プロトコール作成を検討することを目的に研究を進めた。
研究方法
本研究目的を達成するために、臨床チームと臨床研究開発チームに分担し、臨床研究デザインを検討した。本臨床研究プロトコール作成研究においては、当初①試験デザインの構築(盲検化、エンドポイントなど)、②試験の質を維持する方法の開発(データマネージメントなど)、③試験実施体制の確立(試験ネットワークの構築)を検討し、今後の臨床試験のプロトタイプとなるように作成することを目指した。
結果と考察
臨床研究プロトコール作成に向けて、まず全体会議を行い、研究実施の科学的・倫理的妥当性を討議した。次に、臨床チームで、対象患者、同意取得の方法、試験薬の用量設定、評価項目の選定を中心に討議した。特に、評価項目選定は難渋した。次に、臨床研究開発チームで、試験デザイン、プラセボの設定、症例数の設計などを討議した。試験薬・プラセボ投与の時期、および群設定については、かなりの討議を行った。試験デザインは、多施設共同、無作為化、プラセボ対照、並行群間、二重盲検、比較試験で行うこととなった。我が国で行う臨床試験は、出口を見据えた開発スキームを考えて行われることは少なく、その点を意識して、研究計画の開発を進め、当初の計画案から、大幅に軌道修正が行われ、医師主導型治験への適応が妥当だという結論に至った。
結論
本研究プロトコール作成研究では、急性心不全患者における選択的アルドステロン拮抗薬の有効性を評価する試験計画の作成を行ってきた。試験計画を進める上で、開発戦略を見据えて、試験デザインの設定、評価項目の設定を行うことが重要であることが認識された。

公開日・更新日

公開日
2011-09-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201015042C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究において、急性心不全に対する臨床試験デザイン作成を行った。本研究を志向することにより、急性心不全の臨床試験における様々な課題点を浮き彫りにすることができた。わが国で行われる臨床試験は出口を見据えた開発計画の中で行われることが少なく、本研究立案により、高度医療評価制度の検討も考慮されたが、最終的に医師主導型治験という枠組み適用という新たなスキームを提示することができた。
臨床的観点からの成果
本研究において下記の成果が得られた。①急性心不全治療は、症状や救命率の改善を目指した治療が主だが、臓器保護による長期生存率改善を目指した新たな治療薬開発をめざす試験計画が立案した。②急性心不全の臓器保護として、急性心不全で増加したアルドステロンを遮断することが重要であることを考慮した計画を立案した。③急性心不全を対象にした試験の評価項目に多くの議論を行い、承認申請という観点から症状、臨床的意義からは遠隔期予後の重要性が確認され、これらを評価項目に設定することが大事だと思われた。
ガイドライン等の開発
本研究は、プロトコール立案研究のため、ガイドライン等の開発に直結する研究ではない。今後、研究計画に伴い、医師主導型治験が行われ、試験が完遂され、臨床的有用性が明らかにされた場合、適応拡大による承認、および各種診療ガイドラインの改定に寄与することが期待される。
その他行政的観点からの成果
本研究による臨床試験立案を行うことにより、行政的に重要視されているわが国における臨床試験の質向上に寄与することができる。また、急性心不全の臨床試験に関するプロトタイプを構築することができ、今後の急性心不全を対象にした臨床試験開発に寄与することができる。また、現在本研究をもとに医師主導型治験へと発展し、症例登録中である。治験達成においては、新たな適応を取得できる可能性がある。
その他のインパクト
医師が計画する臨床研究開発の新たな流れの一つとして、循環器分野のみならず、各分野への参考となる研究計画だと思われる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Asakura M, Yamamoto H, Asai K,et al
Rationale and Design of the Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Multicenter Trial on Efficacy of Early Initiation of Eplerenone Treatment in Patients with Acute Heart Failure (EARLIER).
Cardiovasc Drugs Therapy. , Vol.29. (Issue2.) , 179-185  (2015)
10.1007/s10557-014-6565-2.

公開日・更新日

公開日
2015-05-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201015042Z