バイオマーカー可溶型LR11による病的未分化細胞疾患の新規診断と標的治療の開発

文献情報

文献番号
201015040A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオマーカー可溶型LR11による病的未分化細胞疾患の新規診断と標的治療の開発
課題番号
H22-臨研推・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
武城 英明(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 白井 厚治(東邦大学 医療センター佐倉病院)
  • 代田 浩之(順天堂大学 医学部)
  • 三井田 孝(順天堂大学 医学部)
  • 中世古 知昭(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 池内 健(新潟大学 脳研究所生命科学リソース研究センター)
  • 鈴木 博(新潟大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
47,325,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究申請者が病的未(脱)分化細胞遺伝子として世界で初めてクローニングし動脈硬化の血中バイオマーカーとして産学連携で血中濃度測定系の樹立に至った病的未分化細胞や脱分化細胞に特異的に発現する可溶型受容体LR11を標的にした新規抗体療法を開発し、あわせて、血管病、血液疾患、神経疾患を対象疾患とする臨床試験計画のためのエビデンス構築を行い、世界初の未(脱)分化細胞マーカー診断に基づく病的未(脱)分化細胞疾患に対する新規治療法を提示する。
研究方法
【基礎研究】
1.LR11高発現細胞のスクリーニングとLR11中和作用に関わる用量反応試験
2.cDNA直接免疫法による網羅的可溶型LR11抗体の調整と用量反応性試験
【臨床研究】
1.冠動脈疾患 2.川崎病 3.血管病 4.白血病・悪性リンパ腫  
5. アルツハイマー病 6. 糖尿病  
結果と考察
LR11分子は細胞株で異なった発現量を示し、LR11mRNA量、膜蛋白量、放出蛋白量間で高い正の相関を示した。LR11は安定狭心症群において正常冠動脈群に比し高値を示した。安定型狭心症患者ステント再狭窄例のLR11値は非再狭窄例に比し低下していた。アルツハイマー型認知症(AD)患者髄液中の可溶性LR11は上昇していた。髄液中可溶型LR11はApoEと結合した。AML,ALL,悪性リンパ腫で有意に高値となることが判明した。AML症例において,sLR11高値群と低値群では有意に低値群が完全寛解率が高く,5年全生存率も有意に高値であった。
結論
1)急性白血病で血中LR11値が約50倍へ上昇し治療予後を規定する。
2)冠動脈狭窄例は血中LR11値が3倍増大する。
3)冠動脈疾患血管形成術後再狭窄と血中LR11値が関連する。
4)アルツハイマー病発症と血中LR11値が関連する。
5)白血病細胞樹立株がLR11高発現細胞である。
6)3種類の特異的抗体に加え直接免疫法により複数の候補抗体を獲得した。
7)直接免疫抗原の最適化のためのLR11部分高次構造が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2011-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201015040Z