食道がん化学放射線療法後局所遺残再発例に対するタラポルフィリンナトリウム(レザフィリン)及び半導体レーザー(PDレーザー)を用いた光線力学療法の多施設第Ⅰ/Ⅱ相試験

文献情報

文献番号
201015037A
報告書区分
総括
研究課題名
食道がん化学放射線療法後局所遺残再発例に対するタラポルフィリンナトリウム(レザフィリン)及び半導体レーザー(PDレーザー)を用いた光線力学療法の多施設第Ⅰ/Ⅱ相試験
課題番号
H21-臨床研究・一般-018
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
武藤 学(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 矢野 友規(国立がん研究センター東病院)
  • 飯石 浩康(大阪府立成人病センター)
  • 中村 哲也(獨協医科大学)
  • 西崎 朗(兵庫県立がんセンター)
  • 滝沢 耕平(静岡県立静岡がんセンター)
  • 石川 秀樹(京都府立医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
56,580,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食道がん化学放射線療法後の遺残再発に対する救済治療を新世代PDTで行い、臓器温存が期待できる根治的低侵襲救済治療法の開発を行うこと。
研究方法
タラポルフィンナトリウム(レザフィリン)及び半導体レーザ(PDレーザ)を用いた次世代PDTの食道における安全性を、大型動物(ビーグル犬)を用いた前臨床試験で確認する。引き続き、レザフィリンPDTは、早期肺癌でのみ承認されており、食道癌自および化学放射線療法後の遺残再発に対する救済治療に対する適応はないため、レザフィリンPDTの食道における安全性とPDレーザの推奨容量を決定する第I相試験と、その至適レーザ照射量による有効性をみる第II相試験を行う。
結果と考察
レザフィリンPDTによるイヌ食道の組織障害面積(mm2)は、25J/cm2では照射部位に一致した変化であったが、50J/cm2、100J/cm2では照射部位周囲にも組織障害は広がっていた。組織障害の深度は、いずれのレベルでも筋層以深まで認められたが、照射量が増加するにつれ、その程度は強かった。とくに100J/cm2においては組織学的に漿膜外組織の炎症性変化と壊死を伴っていた。これらの結果より、ヒト食道癌を対象とした本臨床試験のPDレーザ照射量の増量設定は、レベル1をイヌの安全域25J/cm2の倍量である50J/cm2から開始し、次レベルは、肺癌の照射量を考慮し、レベル2:75J/cm2、レベル3:100J/cm2と設定することにした。倫理委員会承認後、食道がん化学放射線療法後局所遺残再発例に対するレザフィリンPDTの多施設第I/II相試験を開始し、平成22年10月5日に第I相部分のレベル1の第1例目が登録され、平成23年2月までにレベル2の3例、計6例が登録された。レベル2まではDLTになる有害事象がないことを確認した。
結論
食道がん化学放射線療法後の遺残再発に対する救済治療を新世代PDTで行い、臓器温存が期待できる根治的低侵襲救済治療法の開発を目指す前臨床試験、臨床試験を開始することができた。本試験の成果により食道がんに対する新らたな低侵襲治療のオプションが増えることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-09-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201015037Z