創薬化を目指したglypican-3由来がんペプチドワクチン療法のエビデンス創出のための臨床試験

文献情報

文献番号
201015035A
報告書区分
総括
研究課題名
創薬化を目指したglypican-3由来がんペプチドワクチン療法のエビデンス創出のための臨床試験
課題番号
H21-臨床研究・一般-016
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中面 哲也(独立行政法人国立がん研究センター 東病院 臨床開発センター がん治療開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 木下 平(独立行政法人国立がん研究センター 東病院)
  • 古瀬 純司(杏林大学 医学部)
  • 池田 公史(独立行政法人国立がん研究センター 東病院)
  • 小西 大(独立行政法人国立がん研究センター 東病院)
  • 小菅 智男(独立行政法人国立がん研究センター 中央病院)
  • 石井 浩(がん研究会有明病院)
  • 國土 典宏(東京大学医学部附属病院)
  • 建石 良介(東京大学医学部附属病院)
  • 若林 剛(岩手医科大学 医学部)
  • 有賀 淳(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
  • 斎田 俊明(信州大学 医学部)
  • 木庭 幸子(信州大学 医学部)
  • 山崎 直也(独立行政法人国立がん研究センター 中央病院)
  • 尹 浩信(熊本大学 大学院生命科学研究部)
  • 中川原 章(千葉県がんセンター)
  • 原 純一(大阪市立総合医療センター)
  • 塩田 曜子(独立行政法人国立成育医療研究センター)
  • 真部 淳(聖路加国際病院)
  • 木下 義晶(九州大学 大学院医学研究院)
  • 孝橋 賢一(九州大学 大学院医学研究院)
  • 吉川 史隆(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 永井 完治(独立行政法人国立がん研究センター 東病院)
  • 佐藤 昇志(札幌医科大学 医学部)
  • 水野 正一(国立健康・栄養研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
56,508,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝細胞がんを中心としてGPC3を発現するがんを対象にGPC3ペプチドワクチンの有効性を検証する様々な臨床試験を実施し、科学的エビデンスを創出して、GPC3ペプチドワクチンの製薬企業への導出、企業治験の実施、医薬品としての承認申請までの道のりを一気に短縮することを目指している。
研究方法
1.肝細胞がんに対するGlypican-3ペプチドワクチンの臨床試験
2.悪性黒色腫を対象としたペプチドワクチン療法の開発
3.小児がんを対象としたペプチドワクチン療法の開発
4.卵巣明細胞腺がんを対象としたペプチドワクチン療法の開発
5.肺がんを対象としたペプチドワクチン療法の開発
6.ペプチドワクチン療法の効果をさらに高めるための基礎研究
結果と考察
我々は肝細胞がんのがん胎児性抗原GPC3を同定しその有用性を報告してきた。基礎研究の成果を基に、国立がん研究センター東病院において進行肝細胞がん患者を対象にしたGPC3ペプチドワクチン臨床第Ⅰ相試験を実施して、その安全性と免疫学的有効性ならびに臨床効果について報告してきたが、ついに製薬企業への導出が実現した。肝細胞がんの根治的治療後の再発予防を目指した第Ⅱ相試験は、順調に症例集積がなされており、早期の登録完了を目指す。進行肝細胞がんを対象とした腫瘍局所の免疫学的効果を評価する臨床試験もスタートした。今後症例を集積する。一方で、進行肝細胞がんを対象としたソラフェニブとペプチドワクチン療法併用の有効性を評価するランダム化比較第Ⅱ相試験は、倫理審査委員会において高度医療評価制度承認が条件となり、製薬企業に導出されたこともあって、実施することが困難となってしまった。卵巣がんの第Ⅱ相試験は登録の加速化を目指し、小児がんの第Ⅰ相試験も高度医療評価制度に申請して実施することになった。肺扁平上皮がんと悪性黒色腫の臨床試験も計画する。いずれの臨床試験も倫理面に十分配慮した上で実施する。
その一方で、ペプチドワクチン療法単独では進行がんへの効果は限定的であり、GPC3ペプチド特異的CTLクローンを用いたCTL療法や、ペプチドワクチン療法の効果を増強させるような併用療法などを、主にマウスモデルを用いて開発しており、それらの臨床応用も目指す。
結論
本研究班の強力な研究体制での質の高い臨床試験の遂行による科学的エビデンスの創出こそが、GPC3ペプチドワクチンの迅速な創薬化への近道であり、がん難民の減少、がん患者の生活の質(QOL)・予後の改善、医療費の削減など保健医療への多大な貢献につながるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-08-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201015035Z