低侵襲性体外衝撃波治療法の実用化を目指したエビデンス確立のための拠点形成

文献情報

文献番号
201015031A
報告書区分
総括
研究課題名
低侵襲性体外衝撃波治療法の実用化を目指したエビデンス確立のための拠点形成
課題番号
H21-臨床研究・一般-012
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
下川 宏明(東北大学 大学院 医学系研究科 循環器病態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 健太(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 館 正弘(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 下瀬川 徹(東北大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
56,508,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、生活の欧米化により動脈硬化性疾患が増加しており、従来の治療法では十分な効果が得られない重症例や複数の疾患を合併する症例が増えている。そのため低侵襲で身体的負担が少なく、かつ有効性の高い治療法の開発が期待されている。本研究では、低出力体外衝撃波治療の有効性のエビデンス確立と適応疾患拡大を行い、実用化に向けたエビデンス確立のための拠点形成を目指す。
研究方法
①臨床試験については、狭心症, 急性心筋梗塞, 閉塞性動脈硬化症の3疾患を対象とした臨床試験を進めている。虚血組織に低出力衝撃波を照射する。②動物実験については、ラット慢性心不全モデル, ラットリンパ浮腫モデル, マウス難治性皮膚潰瘍モデル,ラット慢性膵炎モデルを用いた実験を進めている。それぞれ不全心全体, リンパ浮腫の近位端, 皮膚潰瘍, 膵臓に低出力衝撃波を照射する。
結果と考察
①臨床試験:狭心症については、新規症例5名に治療を行った。また7月1日付で高度医療として承認され、50例の予定で新たな臨床試験を開始した。急性心筋梗塞については、新規症例1名に治療を行った。閉塞性動脈硬化症については、新規症例5名に治療を行い、中間解析において、最大歩行距離の有意な延長、自覚症状の改善、下肢血流の改善を認めた。いずれの臨床試験においても有害事象は認めなかった。②動物実験:慢性心不全については、心不全早期からの衝撃波治療が心機能低下を抑制する傾向を認めた。リンパ浮腫についてはリンパ浮腫軽減効果やリンパ管新生効果を認め、それらの結果を論文発表した。難治性皮膚潰瘍においても、低出力体外衝撃波治療により創収縮の促進を認めた。現在、論文作成中である。慢性膵炎については、ラットモデルの死亡率が高かったため、実験プロトコールの再検討を行っている。血糖値、血中インスリン、リパーゼ、トリプシンの値に両群間で差を認めなかった。今後、組織学的な検討を行う。
 以上のように、臨床試験および動物実験により、幅広い疾患で低出力体外衝撃波治療の有効性・安全性が確認されてきている。
結論
低出力体外衝撃波治療は、血管新生やリンパ管新生作用により、低侵襲で安全で有効性の高い治療法と考えられる。今後、さらに多くの疾患への応用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-09-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201015031Z