文献情報
文献番号
201015018A
報告書区分
総括
研究課題名
重症川崎病患者に対する免疫グロブリン・ステロイド初期併用投与の効果を検討する前方視的無作為化比較試験
課題番号
H20-臨床研究・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
佐地 勉(東邦大学医療センター大森病院 小児科)
研究分担者(所属機関)
- 森川 昭廣(北関東アレルギー研究所)
- 小林 徹(群馬大学 医学部)
- 中村哲也(群馬大学 臨床試験部)
- 荒川浩一(群馬大学 医学部)
- 小川 俊一(日本医科大学 医学部)
- 三浦 大(東京都立小児総合医療センター 循環器科)
- 竹内一夫(埼玉大学 教育学部)
- 阿部 淳(国立成育医療センター 研究所)
- 野村 裕一(鹿児島大学 医学部)
- 原 寿郎(九州大学 医学部)
- 浜岡 建城(京都府立医科大学 小児循環器科)
- 市田 蕗子(富山大学 医学部)
- 加藤 太一(名古屋大学 医学部)
- 鮎沢 衛(日本大学 医学部)
- 布施 茂登(NTT東日本札幌病院 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
54,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
重症川崎病患者に対する免疫グロブリン(IVIG)・プレドニゾロン(PSL)初期併用療法のIVIG療法に対する優越性をランダム比較にて検証する。
研究方法
研究デザインは多施設共同前方視的非盲検無作為化比較試験(PROBE法)。対象患者はリスクスコア5点以上の重症川崎病患者。IVIG群はIVIG 2g/kgを24時間で投与しアスピリン 30mg/kg/日を併用。IVIG+PSL群はIVIG群の治療に加え、初期からPSL 2mg/kg/dayを3回に分けて静注。解熱と全身状態改善が確認できれば5日後に内服に変更し、CRPが0.5mg/dl以下となった時点から15日間かけ漸減中止。主エンドポイントは登録後4週までの冠動脈病変合併頻度、副次的エンドポイントは登録後4週の冠動脈病変合併頻度・冠動脈内径Zスコア値、登録後解熱するまでの日数、追加治療の頻度、登録後1週2週のCRP値・重篤な有害事象出現頻度とした。200例時点で一回中間解析を実施する計画とした。平成23年度は中間解析の結果を基に、試験中止もしくは続行の最終判断を行った。
結果と考察
200例登録(2010年6月11日)後の観察期間終了後、心臓超音波検査の中央解析を実施し、主エンドポイントに明らかな統計学的有意差を認めたため、独立した効果・安全性評価委員会の勧告により同12月2日に正式に症例登録中止。症例登録期間中、123例がIVIG群に、125例がIVIG+PSL群に無作為割り付けされ、適格基準外6例を除外した242例を解析対象とした。冠動脈病変合併頻度はIVIG+PSL群で有意に低頻度であった(登録中 3% vs 23%, P<0.001: 登録後4週3% vs 13%, P=0.014)。冠動脈内径Zスコア値は登録後1週・2週・4週の全時点でIVIG+PSL群が有意に低値であった(全てP<0.001)。さらに、登録後解熱するまでの日数(P<0.001)、追加治療の頻度(P<0.001)が有意に少なく、登録1週・2週後のCRP値も有意に低値であった(共にP<0.001)。重篤な有害事象の出現頻度は同等であった。この結果、冠動脈病変形成阻止の治療必要数は5、追加治療阻止の治療必要数は4であり、IVIG+PSL療法は極めて優れた臨床経過の改善効果があることが証明された。
結論
重症川崎病患者に対するIVIG・PSL初期併用投与は冠動脈予後と臨床経過を改善させる。
公開日・更新日
公開日
2013-07-11
更新日
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