低侵襲的低周波超音波脳血栓溶解法の効果増高に関する臨床応用基盤研究

文献情報

文献番号
201015010A
報告書区分
総括
研究課題名
低侵襲的低周波超音波脳血栓溶解法の効果増高に関する臨床応用基盤研究
課題番号
H21-トランス・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
古幡 博(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 医用エンジニアリング研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 峰松 一夫(国立循環器病研究センター 内科脳血管部門)
  • 山本 晴子(国立循環器病研究センター 脳循環内科)
  • 古賀 政利(国立循環器病研究センター 内科脳血管部門)
  • 小川 武希(東京慈恵会医科大学 救急医学)
  • 持尾 聰一郎(東京慈恵会医科大学 神経内科学)
  • 羽野 寛(東京慈恵会医科大学 病理学)
  • 金本 光一(東京慈恵会医科大学 医用エンジニアリング研究室)
  • 浦島 充佳(東京慈恵会医科大学 分子疫学)
  • 鈴木 正章(東京慈恵会医科大学 病理学)
  • 福田 隆浩(東京慈恵会医科大学 神経病理学)
  • 三村 秀毅(東京慈恵会医科大学 神経内科学)
  • 丸山 一雄(帝京大学薬学部 生物薬剤学)
  • 幸 敏志(田辺三菱製薬株式会社 研究本部  薬理研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
73,143,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急性脳梗塞(AIS)患者の超急性期(発症3時間(最近では4.5時間)以内)の治療の第一選択、血栓溶解剤(rt-PA)静注療法に併用し、経頭蓋的に中周波数500KHzの超音波を照射することで溶解効率の増高を実現し、引いては副作用軽減のためのrt-PA 用量減少と治療開始時間の更なる延長を目的とした。
研究方法
次の5つの方法で研究を実施した。(1)超音波条件(500KHz、連続波)を用い、牛フィブリン塊を基本に、rt-PA用量超音波強度、高精度光学式溶解率測定装置を用いて探索した。(2)高血圧自然発症ラット(SHR)の脳梗塞モデルを用い超音波照射に対する安全性(出血率、浮腫率、梗塞率)を評価した。(3)血栓選択的バブルリポソームを作成し、その有効性をラット頸動脈血栓モデルで検証した。(4)超音波照射のみによって惹起される血栓成長抑制率を高精度光学的血栓溶解測定装置で検討した。(5)臨床研究に供する比較対照臨床成績として血栓溶解適用時の超音波画像診断再開通状態などの成績を蓄積した。
結果と考察
(1)血栓溶解療法ではt-PA用量を現行の3分の2に減らしてもその溶解率は同等となることが示された。その超音波による溶解率促進効果は、強度依存的であり、rt-PA用量に依存しなかった。従って各種用量及び超音波強度パラメータとする溶解率予測の為のノモグラフを作成することができ、欧米での用量適用時に対しても用量減少効果を予測し得た。(2)適用超音波は高血圧状態の患者に対してもrt-PA治療における出血率を超えることはなく、その安全性が示された。ただし非再開通状態での確認であったので、出血率の高い再開通おモデルでの検討が必要である。(3)血栓標的型バブルリポソームを投与した場合、血栓選択的に超音波輝度が上昇し、治療用超音波照射によって溶解率増高が示唆された。(4)超音波照射だけでも血栓成長抑制効果が強度依存的に生ずることを定量的に示した。同効果は超音波の粒子速度に比例し、その閾値を明らかにした。(5)21例の臨床成績を蓄積し、血流再開通状態の評価データを得、比較検討の基礎を築いた。なお(6)貼付け型超音波振動子による次世代経頭蓋超音波血栓溶解法に関する新技術開発の基礎的基盤を構築した。
結論
経頭蓋超音波脳血栓溶解法に関する所期の目的を達成した。次世代の新経頭蓋超音波法に関する技術開発及び臨床研究に対する準備が整えられた。

公開日・更新日

公開日
2011-07-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201015010Z