LCAT遺伝子導入前脂肪細胞を用いた家族性LCAT欠損症患者に対する新規治療法の開発

文献情報

文献番号
201015006A
報告書区分
総括
研究課題名
LCAT遺伝子導入前脂肪細胞を用いた家族性LCAT欠損症患者に対する新規治療法の開発
課題番号
H21-トランス・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
武城 英明(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 横手 幸太郎(千葉大学 大学院医学研究院 )
  • 佐藤 兼重(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 白井 厚治(東邦大学 医療センター佐倉病院)
  • 花岡 英紀(千葉大学 医学部附属病院)
  • 黒田 正幸(千葉大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究推進研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
34,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症に脂肪細胞自己移植による持続的LCAT蛋白補充治療法を確立し、多くの難治性疾患における新規遺伝子治療法への応用の可能性を提示する。
研究方法
平成22年度は、21年度研究内容を継続した。移植後の持続的なLCAT産生を確保するための、移植細胞の生着率向上を目的とする製剤化検討として、移植細胞懸濁液に混合する足場として臨床での使用が可能なフィブリンゲルに着目、in vitro、in vivoでLCAT蛋白の分泌能を含む細胞の機能に対する効果を評価した。21年度の実績を元に患者血清を用いた患者適合性評価システムの確立研究を実施した。また、本治療法を用いた遺伝子治療臨床研究実施に向け厚生労働省への申請業務を実施し、作業委員会での審議を受け、具体的追加検討課題に関する指摘を受けた。指摘事項に対応する目的で、病態モデルでの有効性・安全性評価、並びにヒト前脂肪細胞の分化特性について検討を開始した。
結果と考察
前脂肪細胞がフィブリンゲル内で高率に脂肪細胞に成熟すること、またフィブリンゲルが前脂肪細胞の生存に寄与し、安定なLCAT補充が可能となることを明らかにした。さらにそれを向上させた自己血由来フィブリンゲルの使用に向け、多血小板血漿(PRP)ゲル適応の可能性を見出した。またin vitro検討においてLCAT遺伝子導入前脂肪細胞の分泌するLCAT蛋白が患者血清中で病態を改善できることを明らかにし、その評価系を患者の治療反応性評価システムとして確立し、オランダとの国際共同研究を開始した。ヒト前脂肪細胞は脂肪幹細胞に比べて脂肪への分化能が高いことを見出した。
結論
LCAT遺伝子導入前脂肪細胞の生着促進剤としてフィブリンゲルの適応が可能であると考えられた。本年度確立した治療反応性評価システムを用いて異なる変異・病態を示す多施設由来の患者血清を評価し、病態と移植治療法適合性との関連を検討中である。ヒト前脂肪細胞は成熟脂肪細胞に近い分化レベルを示す細胞であると考えられ、その遺伝子導入特性と共に遺伝子細胞移植治療に優れていると考えられた。作業委員会で指摘を受けた追加課題については現在検討中であり、23年度研究において臨床研究実施承認を受けるべく研究を進める。

公開日・更新日

公開日
2011-05-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201015006Z