循環器系DRYラボセンターの創設とENGINEERING BASED MEDICINE(EBM)の推進

文献情報

文献番号
201012001A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器系DRYラボセンターの創設とENGINEERING BASED MEDICINE(EBM)の推進
課題番号
H20-医工・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
梅津 光生(早稲田大学 理工学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 岩崎清隆(早稲田大学 高等研究所)
  • 銭逸(早稲田大学 理工学研究所)
  • 八木高伸(早稲田大学 理工学術院)
  • 加瀬川均(昭和大学 医学部)
  • 山崎健二(東京女子医科大学 医学部)
  • 青見茂之(東京女子医科大学 医学部)
  • 村垣善浩(東京女子医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医工連携研究推進基盤研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
50,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
体験型教育環境1)技能研修室,2)GLP対応実験室,3)医療情報解析室に教育プログラムを準備することで,医理工薬の総合的知識・技術を実践学習する教育基盤を構築し,大規模な人材育成を達成すべく恒常化を達成することを目的とした.
研究方法
学術的課題に関しては分担研究報告書で詳述し,ここでは主に教育成果についてまとめる.ツインズでは,冠動脈バイパス手術の定期ラボが運営され,若手医師のトレーニングが恒常化している.全国展開で行った教育セミナーは,中小企業から大企業に至る医療機器メーカー,心臓外科,循環器内科の医師が主な対象であった.
結果と考察
技能研修室(冠動脈バイパス手術トレーニング)
週一回,通年で約50回の定期ラボを行い,のべ120名の参加者を得た.トレーニング装置が全国80施設に普及し,全国各地で行われた吻合手技をツインズで解析するという試みが開始された.導入したマイクロCT技術を駆使して,縫合部の内腔形状をデジタル化し,計算科学をベースに外科手技の定量評価を行っている.2009年度から始まった,国内学会との連動が拡大され,米国胸部外科学会等の国外展開を踏まえると,総計380名の参加となった.
GLP対応実験室(ステント耐久性・使用方法の評価)
循環器内科医や医療機器企業を主な参加者とした教育講演を継続した(年間10回).参加者はのべ500人規模である.GLP対応実験室での,治療機器の性能を科学的に評価し,臨床導入の際の安全性・有効性を提示していくスキームが企業内に浸透してきている.医療機器の血液適合性評価に関しては,ISO TC194ワーキンググループのメンバーに選ばれるなど,標準化に向けた流れが活発化している.冠動脈ステントの至適使用法に関しては,本年度は200施設を超える病院が3回拡張法を採用しており,DRYから臨床へ,が着実な成果として結びついてきている.
医療情報解析室(血流モデリング・シミュレーション)
医療機器企業を中心とし年5回の教育講演を実施し,参加者は全体で380名であった.実験結果をベースに計算結果の精度を検証し,効果と限界を議論していく段階に到達した.国内企業の中には,新規医療機器のプロダクトデザインを決めるうえで,デザインの最適化に医療情報解析室の流体解析技術を採用し,特許化に成功した事例も出始めた.
結論
総計すると平成22年度に教育プログラムの参加者は1000人規模となり,申請時当時の目標を十分に達成している.独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医療機器審査官を対象としてツインズでセミナーを実施したところ約25名の参加を得た.

公開日・更新日

公開日
2011-09-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-01-17
更新日
-

文献情報

文献番号
201012001B
報告書区分
総合
研究課題名
循環器系DRYラボセンターの創設とENGINEERING BASED MEDICINE(EBM)の推進
課題番号
H20-医工・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
梅津 光生(早稲田大学 理工学術院)
研究分担者(所属機関)
  • 岩崎清隆(早稲田大学 高等研究所)
  • 銭逸(早稲田大学 理工学研究所)
  • 八木高伸(早稲田大学 理工学術院)
  • 加瀬川均(昭和大学 医学部)
  • 山崎健二(東京女子医科大学 医学部)
  • 青見茂之(東京女子医科大学 医学部)
  • 村垣善浩(東京女子医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(医工連携研究推進基盤研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医理工薬の総合的知識・技術を実践教育するDRYラボを構築する.大規模な人材育成を達成すべく教育の恒常化を達成することを目的とした.
研究方法
ツインズに体験型教育環境1)技能研修室,2)GLP対応実験室,3)医療情報解析室を創設し,定期ラボ,教育セミナーを通して実践的で魅力ある教育を全国に普及し恒常化させる.
結果と考察
魅力ある教育は,教育を普及させ,恒常化させていく上で極めて重要である.そこで,各部屋ではオリジナリティーある学術研究を同時に推進してきた.このような取り組みから,医療機器企業からの受託研究や技術相談が増加し,最終年度には30社に及んでいる.技能研修室では,若手臨床医,GLPでは循環器内科医,医療情報解析室では,心臓・脳外科医,と教育セミナーに参加した臨床医の多様性は,DRYラボによる分野の垣根を超えた新たな出会いの実現を果たした.このような取り組みから,関連学会と連動した手術トレーニングの普及や非臨床技術の標準化に向けた取り組みが加速化している.ステントの至適拡張法に関しては,DRYラボで実証された三回拡張法が,現在ですでに全国200施設超に普及している.DRYから臨床へ,という着実な成果である.治療機器そのものの性能も大事だが,安全・安心な使用法を科学的に定量評価していくことが,臨床でのリスク低減を図っていくうえで有効かつ合理的な方法であることが臨床医に浸透してきている.
結論
技能研修室,GLP対応実験室,医療情報解析室,のそれぞれ特徴の異なる体験型教育・研究環境を整備した.技能研修室では,シミュレータによる基礎手技の反復練習から,複雑手技の訓練,最先端医療機器の操作法を含めた教育環境を提供できる.GLP対応実験室では,医療機器の評価の要となる,1)血行力学特性,2)生体適合性,3)長期耐久性,を実験学習できる環境を整備している.医療情報解析室では,医療の可視化を1)計算,2)実験,3)生体,という三側面から実践的課題のもと学習できる環境を提供している.今後,この循環器DRYラボセンターを駆使した治療リスクの低減を積極的に促進するとともに人材育成を維持していきたい考えである.

公開日・更新日

公開日
2011-09-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-01-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201012001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ツインズ内にシミュレータ技術を駆使したDRYラボセンター(技能研修室,GLP対応実験室,医療情報解析室)を創設し,Engineering Based Medicineを推進した.部屋ごとの学術課題に取り組むことに加えて,シミュレータ技術を駆使した実践的な教育環境を整備し,大規模な人材育成に向けた教育基盤を構築した.若手臨床医の技能研修は週一回のペースで恒常化され,さらなる普及を目指して国内学会との連動が進んでいる.
臨床的観点からの成果
治療機器の性能評価技術や血流モデリング・シミュレーションにおいては,循環器内科医,医療機器民間企業等を対象に全国での教育講演を精力的に行っている.2010年度のDRYラボを通じて教育の機会を得た者はのべ1000人を超えており,申請時の目標を100%以上達成している.
ガイドライン等の開発
特記事項なし
その他行政的観点からの成果
血液適合性評価に関して,本研究メンバーの一人である岩﨑准教授が,ISO/TC194ワーキンググループのメンバーに選出され,治療機器の非臨床性能評価の標準化に向けた流れが生まれている.また,PMDAとの連携による審査官の研修受け入れによる審査の質の向上へのサポート.2010年度には独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医療機器審査官を対象として 体験型教育セミナーを実施し,約25名の参加者があり,研修は大変好評であるとの評価を得た.
その他のインパクト
2009年度には,「DRYラボの将来展開およびEBMの推進」と題して将来の医工連携教育を議論するキックオフシンポジウムを開催し,バイオメディカル領域の有識者,医療機器審査官をはじめとして80名の参加を得た.ここで医療機器の申請者側の質の向上の重要性が指摘された.

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
8件
その他論文(英文等)
3件
学会発表(国内学会)
13件
学会発表(国際学会等)
9件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
梅津光生,朴栄光
僧帽弁シミュレーション実験と冠動脈吻合訓練
僧帽弁シミュレーション実験と冠動脈吻合訓練 , 4 (1) , 15-21  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201012001Z