ヒトソマトスタチン受容体を標的とするRNAアブタマーの創製とその応用による新規腫瘍診断薬および抗腫瘍薬の開発

文献情報

文献番号
201011032A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトソマトスタチン受容体を標的とするRNAアブタマーの創製とその応用による新規腫瘍診断薬および抗腫瘍薬の開発
課題番号
H21-ナノ・若手-013
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 俊伸(公益財団法人 微生物化学研究会 微生物化学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 上野 義仁(岐阜大学 工学部)
  • 竹村 茂一(大阪市立大学大学院 医学研究科)
  • 近藤 昭彦(神戸大学 工学部)
  • 荻野 千秋(神戸大学 工学部)
  • 田中 勉(神戸大学 自然科学系先端融合研究環重点研究部 )
  • 南海 浩一(株式会社 ジーンデザイン)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
SSTRはG蛋白質共役型受容体であり、これまでに5つのサブタイプが同定され、それぞれ組織特異的な発現がみられる。そして、内分泌腫瘍の殆どがSSTRを高密度に発現しており、SSTRの高発現に基づいて、腫瘍の診断や治療が可能である。現在、サブタイプ特異的作動薬および診断薬の開発が期待されている。そこで、このSSTRの各サブタイプと特異的に結合できる、また特異的に作動させる人工リガンドをRNAという高分子マテリアルを利用し、創製する。
研究方法
①結合性を基盤としたRNAアプタマー創製系の構築:ヒトSSTRを安定発現するCHO-K1細胞および組換えタンパク質を用いたSELEX法を用い、RNAアプタマーの取得を目指した。②酵母を用いたアンタゴニスト選択法開発: CAN1というカナバニン透過酵素が発現するような改変酵母を作成し、アンタゴニストが存在時のみ細胞が増殖でき系を構築した。③蛍光性アプタマーの機能性検証: TGF-βIII型受容体に対するアプタマーの構造に影響を与えない領域に蛍光性ヌクレオチドアナログを導入し、細胞表面上に発現する受容体の検出を試みた。
結果と考察
①結合性を基盤としたRNAアプタマー創製系:現在、配列を精査すると共に、32P標識したアプタマーを用いて特異性を検証している。②酵母を用いた酵母を用いたアンタゴニスト選択法:アンタゴニストの濃度依存的に酵母の増殖を観測することができた。作動性を持たないアプタマーがアンタゴニストとして機能しうるのかを検証する系の構築ができた。③蛍光性アプタマーの機能性検証: 335nmで励起し蛍光が395nm、320nmで励起し蛍光が450nmの蛍光性ヌクレオチドアナログを用いて検証した。蛍光強度が弱く条件の検討が急務である。
結論
昨年度に浮上した酵母表層提示系をスクリーニング系として用いたアプタマー作成での問題点は、SSTRを恒常的に発現する接着性の培養細胞を作成し、これらを用いるCell-based SELEXを行うこと、さらにはこれら細胞から得られた膜画分を用いることで回避を試みた。現在、配列の解析および標的への結合力の解析を行っている。また、これまでに得られているTGF-βIII型受容体に対するアプタマーの構造に影響を与えない領域に蛍光性ヌクレオチドアナログを導入し、細胞表面上の受容体の発現を検出できる「RNA診断薬」としての可能性を検証している。

公開日・更新日

公開日
2011-09-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201011032Z