固形がんの標的治療とその治療効果のMRIによる追跡を可能にする診断-治療機能一体型DDSの創製

文献情報

文献番号
201011030A
報告書区分
総括
研究課題名
固形がんの標的治療とその治療効果のMRIによる追跡を可能にする診断-治療機能一体型DDSの創製
課題番号
H21-ナノ・若手-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
西山 伸宏(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • Cabral Horacio (カブラル オラシオ)(東京大学 大学院工学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん組織に選択的に集積し、がんのMRI診断に広く利用できるMRI造影剤が望まれているが、そのような造影剤は未だ開発されていないのが現状である。また、がん化学療法においては、その有効性を的確に把握する必要があり、その目的においてMRIは有効な手段であると考えられる。そこで本研究では、研究代表者である西山が過去に開発を行い、現在、第一相臨床治験中のオキサリプラチン活性体(DachPt)を内包する高分子ミセルに、MRI造影剤のGd-DTPAを搭載し、DachPtによる治療効果をMRIによって追跡できる診断-治療機能一体型DDSを開発することを目指している。
研究方法
H22年度は、前年度までに開発したGd-DTPA/DachPt内包ミセルに関して、ヒト膵臓がんBxPC3細胞の同所移植モデルマウスを用いて固形がんのMRイメージングを行った。さらに、BxPC3細胞の同所移植モデルマウスを用いて、Gd-DTPA/DachPt内包ミセルの制がん活性評価とその効果のMRイメージングによる追跡実験を行った。
結果と考察
本年度は、膵臓がん同所移植モデルを用いた固形がんのMRイメージングにおいては、ミセルによって固形がん特異的に信号強度が増大することが確認された。また、がん組織内におけるPtおよびGdの分布を蛍光X線分析により評価した結果、PtおよびGdは正常の膵臓組織には集積せず、がん組織に特異的に集積することが確認された。さらに、Gd-DTPA/DachPt内包ミセルの制がん活性評価をMRIにより評価する実験では、Gd-DTPA/DachPt内包ミセルは、膵臓がんモデルに対しても優れた制がん活性を示し、その効果をMRIによって追跡できることが確認された。
結論
以上のように本年度は、DachPt/ Gd-DTPA内包ミセルが膵臓がんのMRIに有効であり、制がん剤による治療効果をMRIにより追跡することが可能であることが示された。このように本システムは、DDSによるがん治療効果をMRIによって追跡できるThenanostic Nanomedicineとして有望であるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201011030Z