細胞性免疫誘導型リポソームワクチンの創製に関する研究

文献情報

文献番号
201011015A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞性免疫誘導型リポソームワクチンの創製に関する研究
課題番号
H21-ナノ・一般-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
内田 哲也(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 喜田 宏(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター)
  • 高田 礼人(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター)
  • 斎藤 三郎(東京慈恵会医科大学 DNA医学研究所)
  • 赤塚 俊隆(埼玉医科大学 微生物学教室)
  • 松井 政則(埼玉医科大学 微生物学教室)
  • 石井 健(医薬基盤研究所 アジュバント開発プロジェクト)
  • 種市 麻衣子(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 横山 晶一(日油株式会社DDS事業部 DDS研究所)
  • 野崎 周英(財団法人化学及血清療法研究所 試作研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
38,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、我々がこれまでに開発した細胞性免疫誘導型リポソームワクチンを用いて、表面抗原を変異させて抗体による免疫応答から逃れるタイプのウイルスに対するワクチンを創製することを目的とし、現在開発が待たれているインフルエンザワクチン、C型肝炎ワクチン、およびエボラワクチンの開発および実用化に向けた検討を行う。
研究方法
本年度は、(1) CTL誘導型インフルエンザワクチンの臨床応用に向けた検討、 (2) CTL誘導型C型肝炎ワクチンの臨床応用に向けた検討、(3) CTL誘導型エボラ出血熱ワクチンの臨床応用に向けた検討、(4) 臨床応用に適したアジュバントの開発、(5) リポソーム結合抗原の生体内・細胞内動態の解析、(6) インフルエンザウイルス抗原に対するCTL応答のヒトにおける解析を行った。
結果と考察
細胞性免疫誘導型インフルエンザワクチンの実用化に向け、製剤設計、製造法の確立を目的とした条件検討を行った。また、我々がこれまでに同定したCTLエピトープペプチドがヒト末梢血由来PBMCを活性化する能力を有することを確認した。インフルエンザ内部タンパクにおけるアミノ酸配列の高度保存領域に関する解析を行った。この結果をCTLエピトープの選択に反映させることにより、普遍的に有効性を発揮するインフルエンザワクチンの創製が期待される。本年度新たにHCV-NS3由来のCTLエピトープが同定された。このエピトープは高効率にCTLを誘導し、かつ免疫記憶も長期に亘って維持されたことから、予防型および治療型HCVワクチンの候補物質として期待される。エボラワクチンの創製に向けた検討が行われた。昨年度のHLA-A2拘束性CTLエピトープに加え、本年度はHLA-A24拘束性CTLエピトープが同定された。リポソーム結合抗原によってCTLが誘導される作用機序につき、抗原提供細胞およびin vivoレベルでの解析が行われた。我々が開発したリポソーム結合抗原は抗原提供細胞において一般的な外来抗原とは異なる経路をたどり、MHC class-Iを介してCD8 T細胞に呈示されることが確かめられた。また、in vivoにおいては、リポソーム結合抗原によるCTL誘導にTLR9を介した自然免疫系が関与していることを示唆する結果が得られた。
結論
CTL誘導型インフルエンザワクチンの実用化に向けた検討、リポソームワクチンによるCTL誘導機序の解析、HCVワクチンおよびエボラワクチンの創製に向けた検討を行った。

公開日・更新日

公開日
2011-05-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201011015Z