文献情報
文献番号
201011014A
報告書区分
総括
研究課題名
テロメラーゼ依存性蛍光発現ナノバイオ・ウイルス製剤を標識薬剤とする高感度リアルタイム微小癌転移イメージングシステムの開発
課題番号
H21-ナノ・一般-008
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 俊義(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
40,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
天然に存在する生物由来の蛍光タンパク質は、至適な波長の励起光を吸収することにより強い蛍光を発し、導入した細胞を生きたままの状態で可視化することができる。GFPをはじめとする蛍光タンパク質を用いた分子イメージングは、最先端の生命科学の研究や技術開発には広範囲に利用されているが、医療への応用は未だ研究段階であり、実際にヒトに臨床応用された事例はない。本研究では、新たに鏡視下手術用の高感度蛍光感知機能を付与したビデオスコープを試作し、大動物でその操作性と有用性を評価することで、最近の腹腔鏡・胸腔鏡手術の普及に対応した、より実践的な低侵襲治療の確立を目指す。
研究方法
「かぜ」症状の原因となるアデノウイルス5型を基本骨格とするTelomeScanは、癌細胞で選択的に増殖してGFP蛍光を発する。初年度である平成21年度は、GFPを可視化することができる高感度蛍光感知ビデオスコープの試作機を作成した。研究2年目となる本年度は、高感度蛍光感知ビデオスコープ第2号試作機によるミニブタの組織におけるGFP遺伝子発現の検出を試みた。
結果と考察
GFP遺伝子発現非増殖型アデノウイルス(Ad-GFP)をH1299ヒト肺癌細胞に感染させ、24-48時間後に遠心にて回収、ペレット状にして、全身麻酔下のミニブタに経口的内視鏡にて粘膜下に、あるいは開腹にて胃壁漿膜下に注入し、高感度蛍光検出ビデオスコープ第2号機にて蛍光観察を行ったところ、GFP蛍光が明瞭に検出可能であった。また、GFPより深部の微小癌組織を高感度に検出するために近赤外蛍光遺伝子Katushkaを搭載する非増殖型アデノウイルス(Ad-Katushka)の遺伝子改変を行った。Ad-Katushkaをヒト胃癌細胞(MKN1、MKN45)、ヒト大腸癌細胞(SW620、SW480)に感染させたところ、48時間後に明瞭な近赤外蛍光発現が観察された。
結論
大動物において高感度蛍光検出ビデオスコープ試作機にてGFP遺伝子発現による蛍光を可視化することができた。
公開日・更新日
公開日
2011-09-21
更新日
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