蛋白質セラピー法と中性子捕捉療法による難治性がん治療法開発

文献情報

文献番号
201011010A
報告書区分
総括
研究課題名
蛋白質セラピー法と中性子捕捉療法による難治性がん治療法開発
課題番号
H21-ナノ・一般-004
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松井 秀樹(国立大学法人 岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 宮武 伸一(大阪医科大学 脳神経外科学)
  • 小野 公二(京都大学 原子炉実験所)
  • 井口 東郎(独立行政法人 国立病院機構四国がんセンター 臨床研究部)
  • 富澤 一仁(熊本大学 大学院 生命科学研究部)
  • 伊達 勲(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 西木 禎一(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 妹尾 昌治(株式会社 ビークル)
  • 二木 史朗(京都大学 化学研究科)
  • 道上 宏之(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
49,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまでに我々が開発した蛋白質セラピー法を応用・高機能化し、がん細胞に特異的に標的化され、しかも高効率に細胞内導入できる機能を有する中性子捕捉療法(BNCT)に用いるボロン(ホウ素)製剤を開発する。本研究全体では、開発したホウ素製剤の機能脳腫瘍、また、その他の難治性がんモデル動物で実証するとともに、それらの生体内薬物動態の測定や小動物を使った安全性試験を行い、臨床試験への橋渡しを行うことを目的とする。
研究方法
ホウ素剤開発では、ホウ素のイオン集合体BSH (Na2B12H11SH)に膜透過性ペプチドを結合させて細胞導入効率を飛躍的に高めたBSHペプチドと、ナノカプセル内部にBSHを封入し、抗体で標的化した抗体付加型ナノカプセルBSH(イムノリポソーム)の2種類を作製する。作製したホウ素製剤を培養腫瘍細胞や脳腫瘍モデル動物に投与し、中性子照射を行い効果を実証していく。
結果と考察
本年度、悪性脳腫瘍に特異的に送達するMulti-BSHペプチド、および、抗体付加型ナノカプセルの作製に成功し、ホウ素デリバリーをマウス脳腫瘍モデルで検証した。一方で、BNCTに用いる京都大学原子炉実験所で開発中のサイクロトロン中性子ビームの生物学データの取得が完了し、平成23年度にはサイクロトロン中性子による臨床試験研究が開始出来る準備が整った。次年度は、BSHペプチド、BSH封入抗体付加型ナノカプセルともに、中性子照射による治療実験に入る予定である。
結論
長期休止後、点検のため使用できなかった原子炉が平成23年6月より再稼働する。23年度は、この2年間の結果を基に最適なホウ素投与濃度・投与方法で2種類の新規ホウ素製剤を腫瘍細胞に取り込ませ、腫瘍細胞レベル、さらに、担がん動物モデルが準備でき次第、腫瘍モデル動物レベルにて実際に中性子照射による治療実験を行い、BNCTでの効果を実証する。

公開日・更新日

公開日
2011-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201011010Z