発達障害児の障害児サービス利用に係る医療受診の現状把握及び発達支援の必要性の判定のためのアセスメント方法の確立に向けた研究

文献情報

文献番号
202427020A
報告書区分
総括
研究課題名
発達障害児の障害児サービス利用に係る医療受診の現状把握及び発達支援の必要性の判定のためのアセスメント方法の確立に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23DA1701
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
内山 登紀夫(福島学院大学 )
研究分担者(所属機関)
  • 小林 真理子(山梨英和大学 人間文化学部)
  • 宇野 洋太(大正大学 カウンセリング研究所)
  • 稲田 尚子(帝京大学文学部心理学部)
  • 川島 慶子(福島学院大学 福島子どもと親のメンタルヘルス情報・支援センター)
  • 下野 九理子(大阪大学 連合小児発達学研究科)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
5,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達障害の子どもは生来性の認知障害のために障害特性に配慮した育て方や教育、すなわち合理的配慮の提供が必要である。すなわち、発達障害の子どもの発達支援は、障害特性や子どもの置かれた環境から生じうる不利益をアセスメントし、障害特性から生じうる子どもの負担を最小限にし、子どもと、その養育者のウェルビーイングを高め、子どもの社会的包摂を目指すことである。
そうした発達支援においては地域資源の活用を前提に発達障害児と保護者の支援ニーズを適切に評価し、障害児サービスの受給決定を行うことが必要である。しかし、このような障害児サービスの受給決定の基準は地域、自治体により多様であるのが現状である。例えば、受給の条件として医師の診断書提出を求めている自治体が一定数あり、受診待機の要因の一つになっている可能性も考えられている。
本研究の目的は、(1)発達障害児が障害児サービスを利用するに際しての受給決定の要件の実態を明らかにすること、(2)受給決定を担当する自治体職員などが、発達障害児が障害児サービスを利用する必要性を判定できるアセスメント方法の開発、(3)自治体が発達障害児の障害児サービスの必要性を適切にアセスメントするための手引きを作成すること、の3点である。
とりわけ、本研究における最大の目的は、障害児サービスのニーズ判定のためのアセスメントとして、課題の趣旨に応じて受給者証発行を担当する自治体職員等が子どもの障害特性・適応行動に加えて地域および家族のアセスメントを包括的かつ簡便に実施できる方法を開発する点にある。
令和6年度は、受給決定を担当する自治体職員などが、発達障害児が障害児サービスを利用する必要性を判定できるアセスメント方法の開発、および自治体が発達障害児の障害児サービスの必要性を適切にアセスメントするための手引きを作成することを目的として実施した。
研究方法
1)対象
全国の自治体の障害児福祉サービスの受給者証発行に関わる部署の職員、障害児相談支援事業所の職員、医療機関の児童精神科医、小児科医で、障害児福祉サービスの診断書発行の経験がある者を対象とし、機縁法で募集し、研究に協力が得られた23名であった。
2)手続き
 個別にインタビュー調査を実施する。まず、障害児通所支援事業サービスの受給決定のための勘案調査の場面を想定して、当該研究班が開発したアセスメントシートおよびその使用法について解説した「手引き」(付録参照)を読んでもらった。その後、架空事例3例についてアセスメントシートを用いて評価をしてもらい、また、アセスメントシートと手引きについて、対面もしくはオンライン会議システムを用いて意見を聴取した。
3)インタビュー内容
①アセスメントシートについて、使いやすそうな点、使いにくそうな点・改善したほうがよいと思われる点、②手引きについて、意見・コメントを自由に話してもらった。
4)倫理的配慮
本研究については、福島学院大学の倫理審査委員会の承認を受けて実施された(令5-院-004,令6-院-005)。Web上で調査の趣旨等、倫理的配慮事項を説明し同意を得た。
結果と考察
本研究では、発達障害児の支援ニーズを的確に把握し、公正で実効性のある障害児サービスの受給決定を可能とするアセスメントシートと手引きの開発を行った。生物・心理・社会モデルに基づくこのアセスメントツールは、子ども・家族・社会資源を5段階で評価する構成となっており、専門性の有無にかかわらず実務者が活用しやすいよう設計されている。
実用性の検証では、複数の専門職がケースビネットを用いて評定を行った結果、評価の方向性に大きな乖離はなく、有用性が示唆された。自治体職員へのインタビューからは、専門知識を持たない担当者にとって本ツールが有効である一方、サービス支給決定との整合性や実用化に向けた課題も指摘された。
さらに、医療機関・教育保育機関との連携に関する調査からは、診断書のフォーマットの明確化や業務負担の軽減、地域支援情報の共有の必要性が明らかとなった。英国の制度との比較も行い、日本の支援制度との構造的差異を再確認し、独自の多面的評価法の重要性を裏付けた。
結論
本研究は、障害児通所支援に係る受給者証発行の実態を多角的に明らかにし、その課題に対応するツールとして「手引き」および「サマリーシート」を作成した。これらは、子どもと家族の支援ニーズを包括的に評価・共有するための枠組みであり、サービス提供の質と継続性を高めるものである。
本ツールは、単なる支給日数決定の補助ではなく、医療・教育・福祉など多職種間の連携を促進し、乳幼児期から青年期までの一貫した支援を実現するための基盤としての活用が期待される。今後、全国の実務において広く活用され、支援の質向上に寄与することが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2025-08-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2025-08-01
更新日
-

文献情報

文献番号
202427020B
報告書区分
総合
研究課題名
発達障害児の障害児サービス利用に係る医療受診の現状把握及び発達支援の必要性の判定のためのアセスメント方法の確立に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23DA1701
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
内山 登紀夫(福島学院大学 )
研究分担者(所属機関)
  • 小林 真理子(山梨英和大学 人間文化学部)
  • 宇野 洋太(大正大学 カウンセリング研究所)
  • 稲田 尚子(大正大学 臨床心理学部)
  • 川島 慶子(福島学院大学 福島子どもと親のメンタルヘルス情報・支援センター)
  • 下野 九理子(大阪大学 連合小児発達学研究科)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発達障害を有する児は、生まれ持った認知特性に基づく支援が求められ、合理的配慮のもとでの養育・教育が必要とされる。発達支援の実現には、児と保護者の支援ニーズを的確に把握するアセスメントと、それに基づく障害児サービスの適切な受給決定が不可欠であるが、現行制度では自治体によって受給決定基準が異なり、医師の診断書提出を求める例もあり、受診待機による早期支援の遅れが懸念されている。
本研究は、①受給決定要件の実態把握、②行政職員や専門家が活用できるアセスメント方法の開発、③自治体向けの実用的な手引きの作成を目的とし、特に生物・心理・社会モデルに基づいた簡便かつ包括的な支援ニーズの評価手法の確立を目的としたものである。
研究方法
令和5年度は、全国の自治体・事業所・保護者を対象に半構造化インタビューおよびWebアンケートを実施し、制度運用のばらつきや判断基準の不統一、専門職の不足、相談支援体制の弱さ、医療機関の受診待機など、複数の構造的課題が明らかとなった。特にセルフプランの増加による保護者の負担や、支援の質の低下が問題視された。
令和6年度は、これらの課題を受けて「こどもの状態と環境サマリーシート」と「手引き」、および医師意見書フォーマットを開発した。これらのツールは、生物・心理・社会モデルに基づく多面的なアセスメントを可能とし、自治体職員や支援関係者による支援ニーズの可視化と情報共有を促進することを目的とし、関係者による評価検討を通じて一定の有効性・妥当性が示された。
本研究を通じ、現場の実情に即した実用的なアセスメント方法の必要性とその有効性が確認された。
結果と考察
発達障害児の障害児サービス受給決定におけるアセスメントの質の不足、相談支援体制の脆弱性、医療との連携不全といった課題が明らかとなった。多くの自治体で専門性の乏しい職員による判断や、保護者の希望がそのまま反映される実態が確認された。
これに対応するため、生物・心理・社会モデルに基づいた「こどもの状態と環境サマリーシート」と「手引き」を開発し、多面的な支援ニーズの把握と情報共有を可能とする仕組みを提案した。さらに、診断前支援の必要性を踏まえ、医師意見書フォーマットも整備した。
今後は、自治体職員の専門性向上と関係機関の連携強化を通じて、質の高い支援の実現と制度の公平性・持続可能性の確保が求められる。
結論
本研究では、障害児通所支援に係る受給者証発行の実態を多面的に調査し、制度運用上の課題を明らかにした。その上で、支援の質と継続性を高めるためのツールとして、「発達障害のある児への支給決定に関する手引き」と「こどもの状態と環境のサマリーシート」を開発した。これらは生物・心理・社会モデルに基づき、支援ニーズの包括的把握と多職種間の情報共有を可能にするものである。
特に診断書取得の遅れが早期支援を妨げている実態から、「診断前支援」の必要性が強調され、初回の受給者証発行において医師の診断書を必須としない柔軟な運用が求められる。一方で、更新時には専門的なアセスメントを推奨する。
本ツールの導入により、行政職員と支援者間の相互理解と協働が促進され、発達障害児とその家族への一貫性ある質の高い支援が可能となることが期待される。今後は、実践現場での検証と継続的な改善を通じて、制度全体の質的向上を図る必要がある。
また、支援体制の強化、医療との連携、自治体間の協力、保護者支援の充実を含む総合的な対策が不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2025-08-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-08-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202427020C

収支報告書

文献番号
202427020Z