糖尿病関連血管病(動脈硬化・足病変)の早期診断・治療のための高感度分子イメージングプローブの開発

文献情報

文献番号
201011009A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病関連血管病(動脈硬化・足病変)の早期診断・治療のための高感度分子イメージングプローブの開発
課題番号
H21-ナノ・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
佐治 英郎(京都大学 大学院薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小野 正博(京都大学 大学院薬学研究科)
  • 天滿 敬(京都大学 大学院薬学研究科)
  • 上田 真史(京都大学 大学院医学研究科)
  • 木村 寛之(京都大学 大学院薬学研究科)
  • 塩見 雅志(神戸大学 大学院医学研究科)
  • 関 育也(日本メジフィジックス株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
47,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病性血管病に由来する動脈硬化は心筋梗塞を高頻度に引き起こし、さらに、下肢切断に至る糖尿病足病変は患者の生命予後・QOLを著しく低下させる。従って、これらに対する適切な治療法選択のために、高精度な診断法の開発が急務である。本研究の目的は、動脈硬化及び炎症の発生・進展の分子機構を標的として、病態生理学的観点と製剤学的観点からプローブ設計を行い、炎症の存在・進展範囲・活動性のみならず、微細な動脈硬化巣の不安定性を高感度で検出・評価しうる核医学分子イメージングプローブの開発を行い、糖尿病性炎症による合併症の高精度診断・治療に資することにある。
研究方法
本研究では、1.病態生理学的観点から動脈硬化の発生・進展・不安定化に密接に関わる分子として酸化LDLおよびリゾリン脂質受容体(G2A)を、さらに感染症の炎症反応における白血球の浸潤に密接に関わる分子として、Formyl Peptide Receptor (FPR)を選択し、これらを標的とする分子イメージングプローブを設計することを計画した。また、2.製剤学的な観点から、生体内代謝耐性化技術および分子電荷制御によるインビボ標的指向性技術を構築すると共に、プローブ内に複数の放射性同位元素(RI)を導入するシグナル増幅法と高効率の標識法を設計することで高感度画像化を目指す。
結果と考察
平成22年度は、平成21年度に引き続いて各標的分子(酸化LDL、G2A、FPR)に対する複数の分子プローブ候補化合物の設計・合成・評価を行うとともに、各分子プローブの有効性評価のための評価系構築、および、情報収集を行った。また、高感度プローブの開発では、18F標識試薬である[18F]SFBの効率的合成法開発を検討した。その結果、特に酸化LDL、FPRに対する有望な分子プローブを見出すことに成功し、FPRプローブにおいてはPETを用いた炎症病変のインビボ画像化にも成功した。[18F]SFBの効率的合成に関しては、反応条件を最適化することにより平成21年度と比べてさらに大幅に反応時間を短縮することに成功した。
結論
糖尿病性血管病に由来する炎症および動脈硬化巣の不安定性を高感度で検出しうる核医学分子イメージングプローブの開発の可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2011-09-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201011009Z