文献情報
文献番号
201011007A
報告書区分
総括
研究課題名
超高感度電気化学イメージング技術を応用したヒト生殖細胞クオリティー診断装置の開発
課題番号
H21-ナノ・一般-001
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
阿部 宏之(国立大学法人山形大学 大学院理工学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 末永 智一(東北大学 原子分子材料学高等研究機構)
- 吉野 修(東京大学 医学部)
- 藤本 晃久(東京大学 医学部)
- 浜谷 敏生(慶應義塾大学 医学部)
- 横尾 正樹(秋田県立大学 生物資源科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(低侵襲・非侵襲医療機器(ナノテクノロジー)研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
電気化学計測(イメージング)法は、生物活動によって生じる電気化学的現象をマイクロ電極により高感度でモニタリングできる有効な技術である。本研究事業では、電気化学イメージング技術を応用した「臨床対応型細胞呼吸測定装置」を開発し、呼吸活性を指標とする新しいヒト生殖細胞クオリティー診断法の確立を目的とする。
研究方法
本研究事業の第2年度は、(1)「臨床対応型細胞呼吸測定装置」開発のための基盤技術として、(a) 超高感度マイクロ電極、(b) 非侵襲呼吸測定液、(c) 多検体測定プレート、(d) 呼吸解析ソフト等の要素技術を開発するとともに、(e) 走査型電気化学顕微鏡をベースに各要素技術をシステム化した「細胞呼吸測定システム」を製作した。また、(1) の呼吸測定システムを用いて、(2) 胚の培養や移植試験などによる呼吸測定技術の有効性と安全性の生物学的検証、(3) 医療応用のためにヒト胚や卵子の呼吸能解析を中心とした探索的臨床研究を行った。
結果と考察
研究項目 (1) では単一胚や卵子の呼吸活性を検出するための高感度マイクロ電極の安定生産システムと非侵襲呼吸測定液の開発に成功するとともに、走査型電気化学顕微鏡を基盤とする「細胞呼吸測定システム」を製作した。研究項目 (2) では、胚の培養試験や微細構造解析により、電気化学的計測技術の非侵襲性が示された。さらに、ウシ胚及びマウス胚の移植実験により、呼吸活性を指標とする胚クオリティー評価の有効性が示唆された。研究項目 (3) では、ヒト余剰胚と単一卵子の呼吸活性測定に成功するとともに、凍結保存した胚では酸素消費量が低下することが示された。呼吸量測定は、胚のミトコンドリア呼吸機能を解析する有効な技術であるとともに、胚の品質や凍結保存の影響を客観的に評価できる有効な方法であることが示唆された。さらに、ヒト胚の培養試験と微細構造解析により電気化学呼吸測定法の非侵襲性(安全性)が示された。以上、各研究項目において計画通りの研究が行われ、3年間の研究事業の第2年度として十分な研究成果が得られた。
結論
今年度は、医療応用可能な計測技術及び装置へと発展させるために不可欠の研究成果が得られた。最終目標である医療現場での利用が可能な細胞呼吸測定システムと、それを応用した「ヒト生殖細胞クオリティー診断装置」の開発に大きく貢献するものと期待される。
公開日・更新日
公開日
2011-09-09
更新日
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