文献情報
文献番号
202427015A
報告書区分
総括
研究課題名
母子保健情報のデジタル化とデータの利活用を推進するための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23DA1201
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
梅澤 明弘(国立成育医療研究センター 成育こどもシンクタンク)
研究分担者(所属機関)
- 小林 徹(国立成育医療研究センター データサイエンス部門)
- 森崎 菜穂(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 社会医学研究部)
- 竹原 健二(国立研究開発法人国立成育医療研究センター研究所 政策科学研究部)
- 中井 章人(公益社団法人日本産婦人科医会)
- 板倉 敦夫(順天堂大学 大学院医学研究科)
- 中川 慧(大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学)
- 三平 元(千葉大学大学院医学研究院附属法医学教育研究センター)
- 永光 信一郎(福岡大学 医学部小児科)
- 山縣 然太朗(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 成育こどもシンクタンク)
- 中野 孝介(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 臨床研究センター 多施設連携部門 ネットワーク推進ユニット)
- 森川 和彦(東京都立小児総合医療センター 臨床研究支援センター)
- 三上 礼子(国立成育医療研究センター 臨床研究センター)
- 山本 圭一郎(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 臨床研究センター 臨床研統括部)
- 佐藤 雄一郎(東京学芸大学 教育学部)
- 植田 彰彦(京都大学 大学院医学研究科 ビッグデータ医科学)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
15,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、母子保健情報のデジタル化とその利活用に関し、産官学の関係者と連携しながら、現状の課題を明らかにし、実現可能な対応策を提案することを目的とした。ICT(Information and Communication Technology)の進展により、多様な分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、我が国でも「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づき、医療・介護・健康分野でのデータヘルス改革が推進されている。母子保健領域では、厚労省が標準的な電子記録様式を示し、地方自治体ではマイナンバーや母子健康手帳アプリを活用して情報の共有と連携が図られている。一方、情報の収集や管理、利活用方法、法的・倫理的課題などに課題が存在する。こうした状況を踏まえ、関係自治体や民間事業者へのヒアリングや事例収集を通じて、現行の取り組みの実態と課題を整理し、今後の母子保健分野におけるDXの推進に資する提言を行った。
研究方法
本研究は、①乳幼児健診健康診査票、②乳幼児健診問診票、③妊婦健康診査票に関するデータ構造、④母子保健情報データ構造標準化の概念、⑤デジタル化実証自治体の支援、⑥電子版母子健康手帳を用いた国際的な利活用動向、⑦国際動向を踏まえた法的課題の検討の7課題から構成される。手法としては、通知・資料や先行研究、自治体の実証事例、既存規格の収集・分析、政府相互運用フレームワーク(GIF Government Interoperability Framework)に基づく検討を実施。国際調査は6カ国を対象に、個人認証、本人同意、情報共有、DX課題、住民満足度を調査。法的検討では、国内法と二次利用の枠組みを分析し、各課題における関係者の実施状況と課題を整理した。
結果と考察
本研究では、乳幼児健診や妊婦健診の健康診査票・問診票のデータ構造を整理・定義し、母子保健情報の標準化に資する具体的項目分類や対応表を作成した。乳幼児健診では検査、診察所見、判定の3項目が中心であり、問診票ではICF-CY(International Classification of Functioning, Disability and Health for Children and Youth 国際生活機能分類-児童青年版)との対応可能性を検証し、特に発達項目で高い親和性が示された。妊婦健診も同様の大項目に基づく構造化が可能であり、標準項目を50項目定義、3階層での分類を提案した。データ構造標準化では、健診時期ごとの差異や情報規格の不統一性など課題を整理し、様式ではなく項目単位の標準化が必要であるとした。実証自治体の支援では、業務全体を可視化し、導入プロセスガイドを作成。国際比較では6カ国を対象に、個人同意を原則としつつ緊急時の情報共有を可能とする共通性が確認され、医療者と情報を共有するシステム整備と市民満足度調査の実施も報告された。以上の成果は、母子保健情報のデジタル化とPMH(Public Medical Hub)によるデータ利活用の基盤となり、今後は研究班、こども家庭庁、事業者の連携を強化し、制度整備と運用支援を進めることが求められる。
結論
母子保健情報デジタル化で収集すべき母子保健情報の検討、母子保健情報利活用の検討、母子保健情報収集方法の検討、法的倫理的課題を利用者ご本人、自治体、民間事業者等のヒアリングや事例収集等を通じて母子保健情報デジタル化とデータ利活用に対する課題を整理し、そのあり方を示した。
公開日・更新日
公開日
2025-09-09
更新日
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