文献情報
文献番号
202427006A
報告書区分
総括
研究課題名
HTLV-1キャリア妊産婦の支援体制の構築に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
23DA0301
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
内丸 薫(国立大学法人東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 関沢 明彦(学校法人昭和大学 医学部産婦人科学講座)
- 小出 馨子(学校法人 昭和大学 医学部)
- 谷垣 伸治(杏林大学医学部産科婦人科)
- 三浦 清徳(長崎大学 医学部・歯学部附属病院)
- 宮沢 篤生(昭和大学医学部小児科学講座)
- 森内 浩幸(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科新興感染症病態制御学専攻感染症免疫学講座感染病態制御学分野)
- 根路銘 安仁(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 離島へき地医療人育成センター)
- 井村 真澄(日本赤十字看護大学 大学院 看護学研究科 国際保健助産学専攻)
- 有森 直子(新潟大学保健学研究科)
- 柘植 薫(国立大学法人香川大学 香川大学医学部附属病院がんセンター)
- 山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究区分
こども家庭科学研究費補助金 分野なし 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和5(2023)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
2022年の改定版HTLV-1母子感染予防対策マニュアルでは、感染予防の観点に加えて、妊娠・出産・育児の観点からキャリア妊産婦自らが短期授乳を含めた選択を行うことが可能となるよう、乳房管理・授乳支援を十分行うことを必須条件として、短期授乳を選択肢の一つとして挙げた。これまでの当班の研究によるキャリア妊婦のウェブ調査ではこれらの授乳支援が不十分である実態が浮き彫りになり、キャリア妊産婦が短期授乳を選択できるようになるためには、出産後の授乳支援体制の一層の整備が必要であると考えられ、必要な支援体制の検討を目的とする
研究方法
1) 完全人工乳を選択したHTLV-1 キャリア妊産婦に対する支援の現状の調査
産科医療機関および行政のサポートとして子育て世代包括支援センターの関与など、行政側の支援の実態を調査し、完全人工乳を選択したHTLV-1キャリア妊産婦に必要な支援を検討するとともに、HTLV-1キャリアを対象としたウェブサイトを用いて授乳支援の実態調査を行う。
2)短期授乳を選択したHTLV-1キャリア妊産婦に対する授乳支援体制の構築HTLV-1っキャリア妊産婦支援を行う具体的な体制について先行事例の情報の収集を行い、助産師外来、授乳支援外来など適切な乳房ケアを含むフォローアップ体制の検討を行う。あわせてウェブサイトによるキャリア妊産婦対象の実態調査を行う。これらの検討結果をもとに、人工乳移行マニュアルを作成する。
3)東京プログラムの運用と産科拠点病院ネットワークの課題の抽出
東京地区の産科拠点施設、小児科協力施設による連携体制として東京プログラムを運営し、プログラム遂行上の問題点を抽出する。
4)HTLV-1母子感染予防に関する研修事業の改善の方策にかかる提言の検討
一般産科クリニックまで含めて母子感染予防対策を周知し、行政も含めたサポート体制を改善していくための研修事業の在り方について、実際に研修会を開催することで、求められる研修の在り方を検討する。
産科医療機関および行政のサポートとして子育て世代包括支援センターの関与など、行政側の支援の実態を調査し、完全人工乳を選択したHTLV-1キャリア妊産婦に必要な支援を検討するとともに、HTLV-1キャリアを対象としたウェブサイトを用いて授乳支援の実態調査を行う。
2)短期授乳を選択したHTLV-1キャリア妊産婦に対する授乳支援体制の構築HTLV-1っキャリア妊産婦支援を行う具体的な体制について先行事例の情報の収集を行い、助産師外来、授乳支援外来など適切な乳房ケアを含むフォローアップ体制の検討を行う。あわせてウェブサイトによるキャリア妊産婦対象の実態調査を行う。これらの検討結果をもとに、人工乳移行マニュアルを作成する。
3)東京プログラムの運用と産科拠点病院ネットワークの課題の抽出
東京地区の産科拠点施設、小児科協力施設による連携体制として東京プログラムを運営し、プログラム遂行上の問題点を抽出する。
4)HTLV-1母子感染予防に関する研修事業の改善の方策にかかる提言の検討
一般産科クリニックまで含めて母子感染予防対策を周知し、行政も含めたサポート体制を改善していくための研修事業の在り方について、実際に研修会を開催することで、求められる研修の在り方を検討する。
結果と考察
キャリアマザーのウェブ調査の結果では、短期授乳を選択した母親のうち、出産後1~3か月の期間に授乳支援を受けなかった母親が65.7%と全体の3 分の2 に達した。そのうち60%の母親はこの期間の授乳支援があった方がよかったとしており、短期授乳をキャリアマザーの授乳法の選択肢としてあげるためには、授乳支援体制の整備がさらに必要であることが明らかになった。支援を受けた母親が支援の提供を受けたのはやはり圧倒的に助産師・看護師であり、助産師・看護師による授乳支援体制を整備することが望まれる。一方。完全人工乳を選択した母親のうち支援を受けられなかった母親のうち20%程度に支援ニーズがあり、完全人工乳を選択した母親に対しても支援が提供できる体制の整備の必要性が示唆される。保健所・保健センターによる支援なども想定されるが、今年度実施した保健所実態調査では、キャリアマザーからの相談に対応した経験があるのは全国平均では6.1%であった。よりプッシュ型で保健所・母子保健センターなどによる支援の情報提供を行っていく必要性も示唆される。
短期授乳を選択したHTLV-1キャリア妊産婦に対する授乳支援体制の構築のため、⽇⾚看護⼤学、⽇⾚医療センター、兵庫医科⼤学看護学部のスタッフなどを研究協⼒者として追加組織し、先行事例の解析結果を行い、妊娠期から産後の⺟乳による授乳終了時期
/⼈⼯乳置き換え時期等の時間的経過を横軸に置いた具体的な⽀援マニュアル記載項⽬の検討を⾏った。
東京プログラムにおいては東京産婦人科医会誌に本プログラムについて論文を発表するなどの東京産婦人科医会内での周知に努めるなどの活動を行った。今年度、本プログラムを通じてプログラム基幹施設に1件の紹介があり、東京プログラムを見て直接東大医科研病院に受診した事例があったが、まだプログラムに乗って紹介される事例は少なく、活性化に向けての課題の検討がさらに必要である。
研修事業の在り方の検討のため、関連各学会の後援を得て第1 回のHTLV-1 母子感染予防に関する全国研修会を現地参加、ライブ配信、オンデマンド視聴などのさまざまな参加モダリティを用意して開催した。その参加形態や参加職種等の解析を通じて、今後の研修会のあり方について今後検討する予定である。
短期授乳を選択したHTLV-1キャリア妊産婦に対する授乳支援体制の構築のため、⽇⾚看護⼤学、⽇⾚医療センター、兵庫医科⼤学看護学部のスタッフなどを研究協⼒者として追加組織し、先行事例の解析結果を行い、妊娠期から産後の⺟乳による授乳終了時期
/⼈⼯乳置き換え時期等の時間的経過を横軸に置いた具体的な⽀援マニュアル記載項⽬の検討を⾏った。
東京プログラムにおいては東京産婦人科医会誌に本プログラムについて論文を発表するなどの東京産婦人科医会内での周知に努めるなどの活動を行った。今年度、本プログラムを通じてプログラム基幹施設に1件の紹介があり、東京プログラムを見て直接東大医科研病院に受診した事例があったが、まだプログラムに乗って紹介される事例は少なく、活性化に向けての課題の検討がさらに必要である。
研修事業の在り方の検討のため、関連各学会の後援を得て第1 回のHTLV-1 母子感染予防に関する全国研修会を現地参加、ライブ配信、オンデマンド視聴などのさまざまな参加モダリティを用意して開催した。その参加形態や参加職種等の解析を通じて、今後の研修会のあり方について今後検討する予定である。
結論
短期授乳を選択したキャリアマザーのうち65.7%が支援を受けておらず、そのうち約60%が支援を希望しており、キャリア妊産婦に対する授乳支援体制のさらなる整備が必要であることが明らかになった。支援体制の提言のためのマニュアルを作成中である。研修システムの標準化のために現地参加+オンラインによる全国対象の研修会を開催し、望まれる研修事業の在り方についての検討を行った。
公開日・更新日
公開日
2025-08-01
更新日
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